夕暮れの放課後【光ヶ丘→未夢】

作:聖 叶都

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未夢に思いを寄せるオリキャラが出ます。
名も無い脇ですが。


「あの。光月さん君のことが好きだったんだ。」
放課後の下駄箱。
校内でもなかなかの人気を博している少年が自信ありげに呟いた。
「え、あのっ。その、ご…ごめんな…。」
「西園寺と付き合ってるって本当なの?」
「ち…違います!付き合ってません。」
気にはなっているけど。
未夢は思わず言葉を飲み込んだ。
「じゃあ俺と付き合ってよ。大丈夫。絶対後悔させないから。」
何の根拠に…。思わずあきれ返りそうなことを言いながら、男は未夢の細い手首を掴み引寄せた。
「ちょ…っ!いやっ!」
「平気さ。」
未夢の唇が危険にさらされる。

「なにしてるの?」

凛とした声が響いた。

「望くん?!」
「光ヶ丘?」

おざなりの笑顔に、瞳だけを剣呑な光に染めた光ヶ丘がそこに立っていた。

「止めなよ。嫌がってるじゃないか。」

男の腕から、未夢を引き返す。

「お前には、関係ないだろ?」
「関係あるよ。未夢っちは友達だから。…悪いことは言わない。止めたほうが良い。」

光ヶ丘の眼光が更に強くなる。その様にいつものおちゃらけた彼の姿はない。

「ちっ。わかったよ。」

脂汗を浮かべ、負け犬は去った。
光ヶ丘を取り巻く空気が、ふっと緩む。
「あ、ありがとう…。」
ようやく未夢は、言葉を話すことが出来た。
「大丈夫かい?全く女の子に無体なことをしようなんて。信じられないね。」
もういつもの光ヶ丘だ。
「すごく…怖かった…。」
気付くと、未夢の瞳から涙がこぼれていた。
その涙を見ないようにするかのように、光ヶ丘が未夢の身体を抱き締める。

「ねぇ、未夢っち。もうちょっとこのままで居てもいい?実は、僕怖かったから。腰が抜けちゃって。」

勿論。嘘。
立てないのは、未だ恐怖に震える未夢の方だ。
そんな彼の大人な優しさに未夢の心は震えた。

「ありがとう…。」

聞こえるか、聞こえないかくらいの小さい声で、未夢が呟く。
差し込む夕日がオレンジ色だった。




あははは。駄文失礼しましたー!(逃亡



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