さようならを言う前に

-皆赦し編- 「For you」

作:朴 ひとみ

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私は孤独でした。
大切にしてくれる人を突き放したから。

私は孤独でした。
この明るい世界に別れを告げたから。

でも本当は孤独じゃありませんでした。
突き放した大切は人は私を許したから。






─────彷徨は、過労だった。



























お医者さんの話によると、1日〜2日で目が覚めるらしい。




私は、彷徨の看護をしようと思った。
彷徨をこんなにしたのは、私だから。












ブルブル、ブルブル。














携帯のバイブがなる。
きっと客からだ。
メールも、百件ぐらいたまっているだろう。
私は携帯の電源を切った。





















「あ・・・」
鞄を落としてしまった。
あのお金が入った鞄。
入院費はここから出そうと、持ってきたのだ。
(拾わなきゃ・・・)
そう思い、鞄に手をのばすと何か、白いものが見えた。







(・・・手紙?)







白い封筒に、『未夢へ』と書いてある。

───間違いない、彷徨の字だ。

封を開ける。そこには紙が一枚。


















『未夢へ

本当に・・・何と言っても許してくれないと思うけど・・・ごめん。

未夢、500万用意しろって言われたとき、俺本当に喜んだよ。

───これでやっと前の関係に元通りになる

って。金じゃなんともならないって心の奥では分かっていたのにな。
でも、未夢をこんな裏の世界へ入らせてしまったのは紛れもない、俺だ。
未夢がこれで幸せになれるのなら、俺はそれに従う。
・・・ありがとうな、ずっと俺の我が儘聞いてくれて。

途切れた紐が、再び一本になれないように。
俺らの紐も、一本になれなかった。

それでも。

俺はまだ、未夢のことを愛してる。
これからも、ずっと、ずっと。

・・・・・・じゃあな。』




















手紙はそこで終わっていた。




「ウワァァァァァァァン!!!!!!!」
私は泣いた。
もう、これ以降涙が出ないほど。
彷徨が、どれだけ私を愛してくれてるか知ってしまったから。
「ごめんね・・・ごめんね・・・!!私、貴方のことを憎んでた。なぜ、捨てたのだろうって。
でも、本当は・・・心の奥では、まだ愛してたんだね。」





涙が、頬をつたう。
私はそんなことお構い無しに彷徨の手を握った。













反応は、ない。












「お願い・・・お願いだから・・・目を覚ましてよ・・・」











早く言いたい。
この気持ちを。
















君にさようならを言う前に。



















「好き・・・!!」
















自ら光を出さなかった月が、光を出した。



月は、太陽となった。




















「   」














「・・・え?」








いつの間にか、未夢が握っていた彷徨の手には、生気が灯っていた。












「彷徨・・・?」













「俺も・・・未夢のことが・・・好きだ。」




















光が、灯った。



















「・・・・・・・・彷徨!」




「な、なんだ?」



私は彷徨の頬をつねった。






「はぁ!?」
「馬鹿馬鹿馬鹿っ!!勝手に倒れちゃって!!」
私はへたりこんだ。
「・・・未夢?」
「本気で・・・心配したんだからね・・・!!」
彷徨は無言で私の涙を拭く。









「っく・・・私・・・もっと彷徨の顔を見たい・・・声を聞きたい・・・触れたい・・・想いたい・・・!」

「・・・未夢・・・」

「彷徨は、途切れた紐は一本にはなれない・・・そう書いてたね。でも・・・結べば・・・!」
彷徨はそれを聞くとフッと笑った。

「一本になる・・・か。」

私はそれを聞いて頷いた。







「ねぇ、彷徨・・・・・・・一緒に住もう?」
すると彷徨は「ったく、仕方がねぇな」と言うと私の頭を撫でた。


それから、私達は一緒に彷徨のアパートに住むことになった。












彷徨の方が、大学から近いしね。




















そして、私は『ムーン』という名を捨てた。
裏の世界からも、足を洗った。














・・・ねぇ、彷徨。


私、気付いたことがあるんだ。






真実の愛を知った人間は、誰よりも強くなる。
そこには、性別の違いや富みの違いなどなんにもない。・・・・・・・って。









ハハハ、大袈裟かな?








でも、私はこれを信じる。





だって、彷徨が証明してくれたじゃない?





私、娼婦になって感じた。








仮初めの愛なんて、真実の愛と比べたら本当に、ちっぽけなものだって。






ありがとう、気付かせてくれて。






I love you.













愛してるよ、彷徨。











だから、さようならを言う前に、心からの「好き」を。












For you.











間をあけてしまっていてすいません・・・
朴です。
ついつい終わったよ・・・!
これ、途中で彷徨が未夢を殺すようにしようかなぁ・・・と思ったのですが、やっぱりハッピーエンドのほうが良いのか?と思うようになり。
こう、なんか、皆さんの期待を裏切りたいなぁ・・・と思ったのですが。
これでも良いかな・・・と思うようになり。
あ、この前私がだした「wall paper」シリーズですが、今度からちょくちょくWEB拍手の方で発表しようと思いますv
更新情報は小説の後書き欄で書きますね^^

では、最後までありがとうございました。





11/11 跡部のキャラボイスを聞きながら 朴ひとみ.

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