Wander each love

★LAST Play★

作:西光ゆな

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私が起こした交通事故。
私が奪ったのは由香の母親。
悪かったとずっと思っている。
由香の母親という事実はたった今、知ったけれど。
ずっと、罪悪感を背負って生きているのに。
恨みは人を変えさせてしまう・・・・。

Wander each love
★LAST Play★








「私はアンタの幸せを奪おうって思った。
恨みを晴らすにはコレしかないのよ!」




涙を流しながら言う由香。
その様子を愕然とした顔で見る未夢。



自分の母親を奪われてしまった苦しみ。
母はいつも由香を笑わせてくれた。
そんな母親をこいつが・・・・。










「あたしは彷徨に恋をした。初恋だったわ。
でも彼は全く振り向いてくれなかった。
彼が恋しているのはアンタだった。
また、またあたしの幸せを邪魔する存在。
だから彼を利用して、アンタを消そうと思ったのよ」
「でも・・・彷徨まで利用する必要ない!
好きなら、利用なんてしないはずだよ・・・由香ちゃん」
「うるさい!」



彷徨を利用した由香が許せない。
未夢だって彷徨が好き。
だからこそ、そんな理由で利用するのは、信じられない。








「もういいわ、あたしがやるから・・・・帰っていいわ」
「「「「「「「へい」」」」」」」







手下どもは去っていった。
そして由香は未夢にカツカツと音を立てて近づく。
未夢は険しい表情になる。
由香の手には、光るものが握られていた。










































「アンタなんて消えてしまえばいいのよ!」




















もう、ダメだ。
私は16年の生涯を閉じる。
そう覚悟した瞬間、由香が声をあげた。




















「彷徨・・・!」




彷徨の手からは血が出ている。
未夢を庇ったのだ。
由香の手から光るものが落ちる。
未夢は唖然とした。



「何で・・・、彷徨・・・ここにいるの?」
「こいつの電話を聞いてな」


彷徨が由香を指差す。
由香は真っ青な顔になって彷徨を見た。



「聞いたって・・・まさか、彷徨・・・さっきの・・・」
「オレが本気じゃないということ、知らないだろ。
オレが平尾高校に戻った本当の理由・・・・」
「知るわけ無いじゃない!
でも彷徨、もう1回付き合おうってアレは・・・・?」
「嘘に決まってるだろ。ただのふり」


由香は崩れ落ちた。
自分のことが彷徨に見透かされていた。









「オレが好きなのは、未夢だけだ。
未夢を傷つけるヤツはたとえ元カノだろうと許さない」







































「未夢っ・・・大丈夫か・・・?」
「彷徨・・・手・・・」


死闘の末、由香は完全降参した。
「もう、アンタ等に構わない」
そういい残し、この場を去っていった。
残された2人は、互いを心配した。





「ゴメンな、未夢。散々傷つけて・・・オレのせいだ」
「ううん、私の過去のせい・・・ゴメンね、彷徨」






私たち、遠回りして苦しんだね。










「好きだ、未夢」
「うんっ・・・大好き、彷徨」



でも最終的に手に入れられた幸せ。
これからを歩んでいこう、2人で。
















Wander each love
彷徨う、互いの恋心





                  
 


                    Fin・・・・?
























瞳さんが影で動いていたのは、彷徨も未夢も知らない・・・・・・・・・。









                                Fin


・・・・瞳さんは彷徨が戻った理由を知っていて、
広い情報網を使って彷徨を由香の通話現場に遭遇させたのであります。

完結しました。
ちょっと終わり方に納得の出来ないゆなです。
でも、まぁうまく締めたから良いか・・・(あは・・・
最初は彷徨をとられた恨みにしようと思ったけど、
それじゃあ、浅いと思い直し、お得意の過去を入れました。
ちょっと残酷な描写を入れてしまいましたが、二度とないと思います。

それではありがとうございました。

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