作:水上うらら
わたしの心も
あの 空のように
いつか・・・晴れ渡る日が来るよね?
大丈夫
きっと・・・・・・・・・
「すいません・・・プリント・・・忘れました・・・。」
今日は、あのプリントの提出日。
水野先生には、『忘れた』と言ってごまかした。
こんな気持ちのまま、提出はできない。
今日中に どうにかしなきゃ・・・
でも・・・・・・・・・
朝 誰よりも早く起きた。
彷徨と一緒に 学校には行かなかった・・・
ななみちゃんと綾ちゃんに 道で会えて ほっとした。
二人とも 彷徨の話には 触れないでいてくれた・・・。
時間は 止まってはくれない。
そんなこと わかっている。
・・・わかってたって・・・
動かなきゃ・・・・・・・・・・・・
--------------------。
・・・・・・・・・・・・そして今 昼休み。
まだ、彷徨には・・・何にも言えてない。
こんなんじゃ・・・・・・だめだよねっ・・・・・・
「や〜っと数学終わったよ〜・・・あの先生、授業の延長すると止まんないんだよね〜・・・
・・・やっとご飯っ♪♪みっゆ〜、お弁当食っべよ〜っ!!♪」
「うんっ・・」
二人の間に座る。
そっとお弁当を開く。
ワンニャーが、朝早く起きて 一生懸命つくってくれた・・・お弁当。
でも・・・食べる気になれなかった。
少しだけ 卵焼きを食べて、 そっとお弁当を閉じる。
「あれっ・・・未夢ちゃん、もう食べないの・・・?」
「うんっ・・・・・・朝ご飯、食べ過ぎちゃって・・・・・・・・・」
もちろん、・・・・・・嘘。
二人に嘘を付くのは、とっても嫌だった
でも、二人を心配させるのは・・・・・・もっと嫌。
だから・・・・・・・・・・・・・・・
「そっかぁ・・・」
「あのっ・・・わっ、わたし、ちょっと・・・出かけてくるねっ!!!」
「い〜ってらっしゃ〜い♪」
「迷わないでね〜♪」
「迷わないよぉっ!!もー・・・」
屋上に行こう・・・
なんとなく、空が見たくて。
わたしの心と反対の、晴れて、すっきりとした青空・・・
◇◆◇
あと6分で、昼休み。
授業なんて、ひとつも聞いていない。
おれは、未夢のことだけをずっと考えていた。
・・・もう、未夢の好きな奴は自分じゃない・・・ってわかった・・・のに・・・
気になるんだ・・・っ
だって・・・おれは まだ 未夢の事・・・・・・・・
朝、一緒に学校に行けなかった。
未夢は、おれよりも早く起きるようになった。
おれの顔を見なくなった・・・・・・
なんで?
その『理由』がわからない自分が もどかしく 情けなかった・・・
きーんこーん...かーんこーん...
そっと未夢の顔を見る。
見てるこっちが寂しくなるような・・・・・・
・・・その顔を見ていたくなくて、ふい・・・っと横を向く。
「や〜っと数学終わったよ〜・・・あの先生、授業の延長すると止まんないんだよね〜・・・
・・・やっとご飯っ♪♪みっゆ〜、お弁当食っべよ〜っ!!♪」
びくっ!!!
なんだ・・・・・・天地の大声か・・・
どうも、『未夢』という単語が入ってる言葉に反応してしまうようで・・・
あ〜・・・・・・もう、いやだ。
気付かない内に目で追っている。
・・・未夢だって・・・迷惑なはずなのに・・・
「あれっ・・・未夢ちゃん、もう食べないの・・・?」
なんだ・・・・・・?
ばっと未夢のいるほうを向く。
・・・それだけで、大体の状況が・・・・・・よめた。
「うんっ・・・・・・朝ご飯、食べ過ぎちゃって・・・・・・・・・」
それ・・・嘘・・・だろ・・・。
何があったんだよ・・・・・・・・・っ
二人に笑って手を振り、教室の外に出る未夢。
もどかしい。
はぁ・・・・・・
一つ、ため息をつく。
弁当を持ち、三太の席の隣に座る。
机を向かい合わせに直す。
座って、弁当を開けようとした。
・・・はっきりいって、あまり食欲は・・・・・・なかったけど。
「ね〜〜ぇっ、さーいおんじくんっ♪」
びくっ!!!!
ぼーっとしていたから、かなり驚いた。
「なっ・・・誰だっ!?」
「誰だっ!?・・・って・・・わたし、小西綾です〜っ!!
ひどいなぁ・・・西遠寺くん・・・クラスメイトの名前を忘れるなんて・・・」
「こっ・・・・・・こっ・・・に・・・し・・・・・・?なんだよ・・・・・・驚いた・・・」
「あはっ、ごっめ〜ん♪あのねぇ、ちょっとした相談にぃ、乗ってほしいんだなぁ♪」
相談か・・・
どうせ、また演劇大会かなんかの事だろう・・・。
今、そんな気分じゃないけど・・・
・・・・・・断ると、更に怖くなるし・・・・・・
「・・・・・・・・・別にいいけど・・・」
「やった!!・・・じゃぁ・・・12:40に小教室3に来てくれる?」
・・・そういうと、小西は教室をスキップで出て行った。
本気で、演劇大会のことだと思っていた。
・・・今、それどころじゃないのに・・・と。
しょうがなく、小教室3へと急ぐ。
12:40・・・っていったら、あと2分ほどしかない。
しかも、小教室3っていったら、新校舎にある教室じゃないか・・・
ガラッ
ドアを開けたら、天地と小西がいた。
「あっ・・・・・・西遠寺くん・・・」
そういい、二人は立ち上がる。
「相談・・・・・・って何なんだ・・・?」
天地が言いづらそうに口を開く。
「それが・・・・・・相談ってゆーか・・・・・・未夢・・・のことなんだけど。」
どくんっっ
「あの・・・さ・・・こんなことしたらお節介・・って思われるかもしれないけど・・・・・・
・・・彼女・・・できたり・・・告白されたり・・・した?」
は?
天地がいった言葉の意味が・・・しばらく呑み込めなかった。
「は・・・ぁ・・・?な・・・にいって・・・・・・」
「ほんとのこと言って・・・これじゃ・・・わたしたち・・・・・・」
なぜそんな事を聞いてきたのかわからなかった。
「・・・・・・おれに彼女なんて・・・いない。本当だ。
・・・しかも・・・ここ1週間告白された覚えもないけど・・・それが?」
これは、本当のこと。
二人は、『うそぉ・・・』といったように顔を見合わせる。
そんなの・・・おれが聞きたいし・・・
「だから・・・それが何なんだよ・・・?」
「じゃあ・・・未夢の事・・・・・・・・・好き?」
「っっ!!!?」
思いもかけない言葉に、心臓が跳ね上がる。
顔が・・・熱くなってゆく・・・
「み、未夢は・・・おれ以外にすっ・・好きな奴が・・・いるっぽい・・・けど・・・っ」
こういうときの10秒はやけに長い。
・・・早くっ・・・・何か言ってくれ・・・!
「ぇっ・・・・・・・・・そんなわけないよっ!!
だってだってだって、未夢ちゃんの好きな人は西遠寺く・・・・・・・・・ぅあ・・・」
「あ〜やぁ〜っ・・・」
「ごめっ・・・ごめんなさぁぁいっ」
い・・・・・・ま・・・なんて・・・・・・?
みゆが おれを?
「え・・・あの・・・・・・・・」
「だっ、だから・・・・・・・・・未夢ちゃんは西遠寺くんが好き・・・なの!」
えっ・・・・・・・・・
嘘・・・だろ・・・。
嘘と 言ってほしい。
だって・・・・・・未夢が おれのことを好きなんて・・・・・・
頭の整理がつかない。
「嘘なんかじゃないよっ!!ほんとうっ!!未夢が泣きながらゆってたんだからぁっ!!」
ソ レ ハ ホ ン ト ウ ?
もう、何も考えられない。
気が付いたら、未夢を探すため 走り出していた。
君の 笑顔が 欲しい
・・・・・・それだけが、おれの足を 前に 進めていた・・・。
どこに・・・・・・いるんだ・・・・・・
おれは学校中を走り回った。
擦れ違っている・・・?
いや、そんなわけない・・・未夢は一ヶ所に止まっているはず。
他に未夢が行きそうな所で まだ 行ってない場所は・・・・・・
はっ・・・!
屋上。
まだ 行ってない場所は 屋上だけ。
そこにいるよな?
・・・いてくれよ・・・っ
はぁ・・・ はぁっ・・・・・・
息が切れる。
そんなのは お構いなしに 走り続ける。
屋上の前の、階段への扉。
階段を上って行く。
その間に、未夢はどこかへ消えていってしまうかもしれない。
『いる』と 決まったわけでもないのに・・・
もどかしい。
ほんの少しの距離がとても怖い。
バンッ!!と扉を開けようとした。
でも・・・・・・やめた。寸前のところで。
そっ・・・と扉を開く。
カチャ・・・
少しの隙間から覗いてみる。
いた・・・・・・っ
見つけた・・・
未夢に気付かれないように近付き、
震える手で 未夢を 抱き寄せた。
◇◆◇
わたしはしばらくの間 空を見上げて続けていた。
はぁ・・・・・・いつ言おう。
ぐいっ!!
「っっっ!!!???」
な、なななななにぃっっ!!
温かいものがわたしを包む。
ふっと、頭の中に、漫画の主人公が妖怪に切りつけられる場面が浮かぶ。
おばけーーーっ!!!???
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ@%&$#*〜〜っっ!!!」
「うわぁーっっ!!」
ぱっとわたしを抱き寄せていた何かが離れる。
聞きなれた・・・声。・・・って、そんなわけないよね・・・
ついに・・・幻聴まで・・・・・・
やばいなぁ〜・・・。
あはは〜っと笑いながら振り向いてみる。
「ぇっ・・・・・・・・・?」
一瞬、全てが止まった。
あなたが誰だか 分からなかった。
「み・・・ゆ・・・?」
「かっ・・・・・・な・・・・・・た?」
「み・・・つけた・・・・・・」
ぐいっと もう一度 抱き寄せられる。
「ぇっ・・・あっ・・・・・・ちょっ・・・・・・かな・・・た・・・?」
どうして?
好きな人が・・・いるんじゃないの?
彼女が・・・いるんじゃないの?
どうして 彷徨は わたしを 抱き締めているの・・・・・・?
わたしの心臓の音、絶対彷徨に聞こえてる。
ダメなのに・・。
ダメだ・・・ってわかってるのに・・・
彷徨のこと、 突き放せなかった・・・
◇
いつまで ここで 抱き締められていたんだろう。
昼休み終了のチャイムで、わたしは はっと我に返った。
なんでわたし、抱き締められてるんだよぉ〜・・・
「か、か、彷徨っっ!!そ、その、5時間目、始まるっ!!」
「別にいい。 サボる。」
「さ、さぼるって・・・じゃぁ・・・あの・・・・・・は、離して・・・」
「・・・・・・やだ」
どくんっ!!!
わたしの体は これ以上 動かない。
どうしよう・・・・・・
どうすればいいの・・・?
と、いきなり わたしを抱き寄せていた腕が すっと緩まる。
な、なんなのっ・・・??
そう思い、
わたしは彷徨の顔を見上げる。
「未夢・・・・・・おれ・・・未夢の事・・・好きだ・・・。」
「へっ?か、彷徨・・・?何言って・・・」
わかんない。
かなた・・・・・・何言ってるの・・・・・・?
「おれは・・・・・・未夢が・・・・・・好きなんだ・・・」
「まっ・・・・・・・・・彷徨・・・彼女・・・いるんじゃない・・・の・・・?」
「だからぁ〜・・・なんでみんな・・・・・・はぁ・・・
・・・・・・おれに彼女はいない。だっれからも告白された覚えもない。
何の誤解したか知らないけど・・・おれの好きなのは・・・・・・」
ぐいっと彷徨の顔が近付く。
なっ、なななななななっっ・・・!!?
どくんっ!!!
ぎゅっと目を瞑る。
・・・・・・・・・・・・なにも・・・起きない。
「・・・?」
そっと目を開ける。
目の前に、彷徨の顔。 ち、近すぎるよ・・・っ
その瞬間。
一瞬だけ、目の前が暗くなった。
ふっと彷徨の睫毛があたる。
「・・・・・・//未夢 だけだ。・・・覚えとけ」
「ーーーーー♪%&+*@Ь>/////ーーーーーっっっっ!!!!!」
何言ってんだよっ・・・ そう言い くすっと笑う彷徨。
さらに顔が近付く。
「なぁ・・・未夢から返事、聞かせてもらってないんだけど。」
「ぇっ・・・ぅぅ〜・・・あ・・・えっとぉ・・・その・・・」
かなたがあたしのことをすき?
本当? 嘘? 冗談・・・?
わかんないよ・・・・・・
わたしはかなたのことすきだけど
・・・・・・・・・かなた・・・
「未夢・・・・おれのこと、・・・嫌い・・・?」
嫌いじゃない。大好き。だいすき・・・・・・・・・
ぶわっ・・・と涙が溢れ出る
あなたからは 一生聞けないと 思っていた言葉。
いいの?
こんなに幸せで いいの?
すぅっと息を吸い、
・・・言いたくて・・・言えなくて・・・ 苦しかった言葉を・・・紡ぐ。
「っ・・・・・・・・・・・・す・・・・・・き・・・・・・・・・か・・・・・・なた・・・が・・・・・・」
「・・・ほ・・・んと・・・・・・・・・?」
「ぅ・・・・・・彷徨は・・・・・・・・・わたしなんかで・・・・・・いいの・・・?」
「なんで?」
「だって・・・・・・神村さんに・・・・・・っ・・・告白されて・・・」
「はぁ?・・・されてねーよ・・・。未夢だけだ・・・って言っただろ?」
「ほんと・・・?」
「うん。」
「ほんと・・・?」
「ほんとだって」
ぎゅっと 彷徨に 抱き締められる。
彷徨の体温はとても温かくて・・・
わたしには ちょうどよかった・・・・・・
抱き締めたまま 離したくなくて
わたしたちは しばらくずぅっと そのままだった。
ねぇ 彷徨
わたしたち こんなところ見られたら 大変なことになっちゃうねっ・・・
ついに最終(前)話。・・・壁紙、青空。
これがやりたくて10yearsの壁紙は8.5話まで全て黒を選んでました。
・・・ちなみに、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、
文字→桃・白,壁紙→星 が未夢ちゃん視点
文字→青・白,壁紙→ハート が彷徨くん視点
文字→紫・白,壁紙→月 がななみちゃん・綾ちゃん視点 だったりします。
わかりやすいかな?・・・と思って・・・第9話は特別です。
そいえば、小説内で第四中学に、勝手に新校舎つくってすいません。。笑
最後近くのらぶな場面はどきどきしました。。。。。書いてて////うひーーっっ
彷徨くんの性格 ちょっと違うじゃないですか・・・。。
そこは〜・・・目を瞑ってやってください。。
では。また・・★第10話で♪(まだ続くのか
水上うららでした〜