道に迷ったコイゴコロ

1

作:妖緋

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床に落ちたそれが涙だって

2人に話しかけられるまで気づかなかった

心配そうに私を見る2人に笑ってみたけど

涙は止まらなかった―――





















いつもどおりの生活を送っていたはずだった。

彷徨がたくさんの女子生徒にかこまれるのだって、いつものこと。

「うっひゃー、今日もすごいなぁ、彷徨」

「ほんっとに西遠寺君ってモテるね〜」

「だよねだよねー」

未夢とななみと綾で、そんな話までしていた。

それが、ちょっとしたことがきっかけで大きく変化してしまうのだ。





3人で廊下を歩いていたときだった。

前方から、未夢のよく知る声が聞こえてきた。

「・・・彷徨の声・・?」

「あれ、ほんとだ」

「周りにいる女の子、1年生じゃない?」

何故か物陰に隠れながら、3人は1年生に囲まれた彷徨をみていた。

最初は小さかった声が、だんだんと大きくなってきていた。



「西遠寺先輩!」

「光月先輩と付き合っているって本当ですか!?」

「い、いや・・・付き合っては・・ないけど・・・」

「けど?けどってことは光月先輩が好きってことですか?」



核心をつかれ、彷徨は動揺しているようだった。

ななみと綾がニヤリ、とする。

「西遠寺君の本心がきけるじゃない」

「こんな質問で答えに迷うはずないわよねー」

ドキドキと未夢の心拍数が上がる。

3人でこっそりと彷徨をみていると、しばらくして彷徨の声が聞こえた。



「俺は・・・」

「「「「俺は?」」」」

「俺は、未夢の事なんか好きじゃ、ない・・・」





もういくぞ、と彷徨は去っていった。

1年生の女の子達が喜んでいるその陰で、未夢は悲しい表情をしていた。

ペチャン、と涙が床に落ちた。

「「未夢(ちゃん)・・・」」

自分が泣いているという事実に、未夢は驚いているようだった。

ななみと綾に大丈夫、と笑いかけたものの涙はそう簡単には止まらなかった。










皆様、改めて初めまして。妖緋と申します。
思い切って参加したはいいものの、高校生活が意外に大変で
なかなか小説の投稿などもできないでおりました。
久しぶりにちょっとほのぼのした時間ということで、この小説を書き始めたのはいいのですが
今後の展開も今のままだとすごくベタになりそうです(汗)
ちょっと捻った展開を考え中なので、続きを楽しみにしていただけるとありがたいです。
(まったく捻れなかったらごめんなさい)

5月5日 最後の方、加筆させていただきました。これで区切りよくなったかな(^^;;

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