見えない気持ち

第五話*嘘と誠*

作:瑞穂

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「か、彷徨・・・どうしてここに・・・」

未夢は呆然と彷徨を見上げる。
しかし、彷徨は質問に答えずに、眉をひそめた。

「お前・・・泣いてたのか?」
「な・・・泣いてなんかないよ!」

未夢は慌てて俯く。

「もう・・・ほっといて・・」

涙声になりながら、小さくそれだけを言って、下を向きながら出て行こうとする未夢。
彷徨は未夢が通れないように立ちはだかった。

「ほっとけないんだ!」

彷徨のその台詞に、切ない声色に、はっとして顔を上げる。
視線がぶつかる。
未夢の頬に、彷徨がそっと触れた。
何か言いたそうに口を開け、言いにくそうに視線をそらした彷徨。
固まったように彷徨を見上げる未夢。

「・・・。」
「・・・ごめん。」

しばらくして、彷徨の口から出てきたのは謝罪の言葉。

「え・・・」
「だから・・悪かった。」
「何が・・・」

放心状態の未夢。
その未夢を見つめながらなんとも言えない表情を返す彷徨。

「・・・。昼・・・」
「・・・」

わけがわからないと言ったように彷徨を見上げる未夢。
彷徨は、諦めたようにため息をついた。

「デパートで言ったこと・・・あれ嘘だから。」
「!?」
「悪かった・・・」
「何で知って・・・」

混乱する未夢。
だって、何で彷徨は自分が泣いている理由を知っているのだ?
いや、そんなことはどうだって良い。
今彷徨はなんと言った?
昼間デパートで言ったことが嘘?
・・・嘘?


「未夢。」
「?」

彷徨に名前を呼ばれて。
彷徨を見つめた。


唇を奪われる。


放心状態の未夢。
その未夢に向かって優しく微笑む彷徨。

「好きだよ。」
「!」

その一言を聞いて。
一番聞きたかった人から。
一番聞きたかった言葉を聞いて。

嬉しくて。
また涙が出てくる。

(ああ、私、彷徨のこと好きなままで良いんだ・・・)

未夢は彷徨に抱きついた。
彷徨は少し頬を染め、いつものようにべっと舌を出す。

「彷徨のバカ!バカバカバカ!本当に悲しかったんだから・・・」

言いながら、彷徨の胸に顔をうずめる。
彷徨が優しく未夢の頭をなで、抱きしめる。


「・・・ごめん。」
「バカ。許してあげない・・・」


口ではそんなコトを言っても、未夢は彷徨から離れない。
そんな未夢に微笑んで。
あることを思いつく。


「そうだ。未夢。」
「・・・ん?」

顔をうずめたまま返事をする未夢。
彷徨は、いたずらっ子のような顔をして。

「俺今から風呂入るんだけど・・・」
「?」
「一緒に入るか?」
「!?!?!?」

ビックリして彷徨から離れる未夢。
一瞬にして真っ赤になる。

「ばっ・・・バカ///」

そんな未夢に笑って。

「じゃ、脱ぐぞ。」

そう言ってベルトに手をやる彷徨。
慌ててますます後ずさる未夢。
プイっと横を向いて、さらに顔を赤くして。

「か、彷徨なんて知らない!!」

そう言って未夢は走り去った。

だが、彷徨は追わない。
追う必要がない。



もう、思いは通じ合ったのだから。
もう、彷徨の前から・・・未夢は消えないのだから。


これからは・・・
これからも・・・ずっと二人一緒に。




END


終わりましたw
ここでの第二段。見えない気持ち。
最後まで読んで下さった方々、本当にありがとうゴザイマス^^
読んでくださった方が、少しでも楽しんでいただけましたなら幸いですw
書き終わって、なんか・・・やっぱりまだまだですねって感じです;;一話、一話もなんだか短いし(汗
最後になりましたが。この小説、HPの方と同時進行になってしまい申しわけありありませんでした(ぺこり
それでは、今回はこの辺で。

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