作:瑞穂
「か、彷徨・・・どうしてここに・・・」
未夢は呆然と彷徨を見上げる。
しかし、彷徨は質問に答えずに、眉をひそめた。
「お前・・・泣いてたのか?」
「な・・・泣いてなんかないよ!」
未夢は慌てて俯く。
「もう・・・ほっといて・・」
涙声になりながら、小さくそれだけを言って、下を向きながら出て行こうとする未夢。
彷徨は未夢が通れないように立ちはだかった。
「ほっとけないんだ!」
彷徨のその台詞に、切ない声色に、はっとして顔を上げる。
視線がぶつかる。
未夢の頬に、彷徨がそっと触れた。
何か言いたそうに口を開け、言いにくそうに視線をそらした彷徨。
固まったように彷徨を見上げる未夢。
「・・・。」
「・・・ごめん。」
しばらくして、彷徨の口から出てきたのは謝罪の言葉。
「え・・・」
「だから・・悪かった。」
「何が・・・」
放心状態の未夢。
その未夢を見つめながらなんとも言えない表情を返す彷徨。
「・・・。昼・・・」
「・・・」
わけがわからないと言ったように彷徨を見上げる未夢。
彷徨は、諦めたようにため息をついた。
「デパートで言ったこと・・・あれ嘘だから。」
「!?」
「悪かった・・・」
「何で知って・・・」
混乱する未夢。
だって、何で彷徨は自分が泣いている理由を知っているのだ?
いや、そんなことはどうだって良い。
今彷徨はなんと言った?
昼間デパートで言ったことが嘘?
・・・嘘?
「未夢。」
「?」
彷徨に名前を呼ばれて。
彷徨を見つめた。
唇を奪われる。
放心状態の未夢。
その未夢に向かって優しく微笑む彷徨。
「好きだよ。」
「!」
その一言を聞いて。
一番聞きたかった人から。
一番聞きたかった言葉を聞いて。
嬉しくて。
また涙が出てくる。
(ああ、私、彷徨のこと好きなままで良いんだ・・・)
未夢は彷徨に抱きついた。
彷徨は少し頬を染め、いつものようにべっと舌を出す。
「彷徨のバカ!バカバカバカ!本当に悲しかったんだから・・・」
言いながら、彷徨の胸に顔をうずめる。
彷徨が優しく未夢の頭をなで、抱きしめる。
「・・・ごめん。」
「バカ。許してあげない・・・」
口ではそんなコトを言っても、未夢は彷徨から離れない。
そんな未夢に微笑んで。
あることを思いつく。
「そうだ。未夢。」
「・・・ん?」
顔をうずめたまま返事をする未夢。
彷徨は、いたずらっ子のような顔をして。
「俺今から風呂入るんだけど・・・」
「?」
「一緒に入るか?」
「!?!?!?」
ビックリして彷徨から離れる未夢。
一瞬にして真っ赤になる。
「ばっ・・・バカ///」
そんな未夢に笑って。
「じゃ、脱ぐぞ。」
そう言ってベルトに手をやる彷徨。
慌ててますます後ずさる未夢。
プイっと横を向いて、さらに顔を赤くして。
「か、彷徨なんて知らない!!」
そう言って未夢は走り去った。
だが、彷徨は追わない。
追う必要がない。
もう、思いは通じ合ったのだから。
もう、彷徨の前から・・・未夢は消えないのだから。
これからは・・・
これからも・・・ずっと二人一緒に。
END
終わりましたw
ここでの第二段。見えない気持ち。
最後まで読んで下さった方々、本当にありがとうゴザイマス^^
読んでくださった方が、少しでも楽しんでいただけましたなら幸いですw
書き終わって、なんか・・・やっぱりまだまだですねって感じです;;一話、一話もなんだか短いし(汗
最後になりましたが。この小説、HPの方と同時進行になってしまい申しわけありありませんでした(ぺこり
それでは、今回はこの辺で。