作:瑞穂
彷徨は庭を駆け抜けた。
一目散に庭のはずれの塔を目指す。
(あれか!?)
目の前に古い塔が見えてくる。
と、塔の前に誰か倒れていた。
(あれは・・・?)
彷徨は走りながら目を凝らす。
だんだんと距離が近づいて。
(げ、花小町・・・なんでこんなところに?)
彷徨は走るスピードを落とし、クリスが起きないようにと、そっと側を通り過ぎた。
中へ入り階段を駆け上がる。
最上階に着いたとき、彷徨は息を切らし、流れてくる汗をぬぐいもせず、輝くベッドへと歩み寄る。
そのベッドの上に眠るのは金の髪の美しい少女。
(未夢・・・やっと見つけた)
未夢は微笑を浮かべて、キラキラと輝くベッドに眠っていた。
いい夢でも見ているのだろうか?
頬をピンク色に染め、小さく寝息を立てている。
彷徨は未夢を見つめ、優しく微笑む。
そっと髪に触れて、梳いた。
そのままそっと、未夢の髪に口付ける。
「もう逃がさないからな。」
そっと耳元に口を寄せ、小さくささやいて。
王子様は、呪いをかけられて眠っている、お姫様にキスをした。
゜+.゜☆*。
西遠寺の朝。
居間で彷徨はしかめっ面をしていた。
絵本の中で出来た傷は、やはり起きた時にも残っていて。
彷徨は今、ワンニャーに消毒してもらっていた。
ワンニャーの両足にも包帯が巻かれている。
側ではルゥが首をかしげて二人を見つめていた。
「ワンニャー、後は包帯巻くだけだろ?それなら俺一人で出来るし、朝飯の用意頼んでもいいか?」
「そうですか?でわ、わたくしは朝ご飯作ってきますね!」
「あぁ、頼むよ。」
「かしこまりました〜」
そういって、ワンニャーは足が痛いのか歩かずに、尻尾をぐるぐる回して台所へと飛んでいった。
彷徨が足に包帯を巻き終わって、手に包帯を巻いていると。
「おはよー。」
未夢が居間に入ってきた。
未夢は眠っていたから記憶にないかもしれないが、呪いを解くためとはいえ、彷徨は未夢にキスしたのだ。
何となく照れてしまい、彷徨は未夢を見た後、ふいっと顔をそらして手に包帯を巻く。
だが、片方しか手を使えないので巻きにくい。
「彷徨!その怪我、どうしたの!?」
未夢がビックリして彷徨の側に駆け寄る。
「いや、別に。」
「別にって!血が出てるじゃない!」
「たいしたことねーよ。」
未夢は、そっぽを向いてしまった彷徨を見ていた。
なんだかやりにくそうに包帯を巻いてる彷徨。
「・・・彷徨。」
「・・・ん?」
「包帯、まいてあげようか?」
「・・・いいよ。」
「いいから!貸して!」
そういって、未夢は彷徨の手から包帯をひったくった。
楽しそうに、くるくると彷徨の腕に包帯を巻く未夢。
そんな未夢を見つめる彷徨。
穏やかな時間が流れていた。
「出来た!」
「サンキュ。」
「えへへ〜どういたしまして!」
照れたように顔をほころばせる未夢。
ふすまが開き、ワンニャーが居間に朝食を運んできた。
未夢と彷徨も、手伝うために立ち上がった。
と、その時。
時計を見た彷徨が目を見開く。
「おい!未夢!」
「え?」
「のんびり食べてたら遅刻だ!」
「え!?もうそんな時間!?」
焦って未夢も時計を確認する。
「早くしろ!置いてくぞ!」
「ま、待ってよ〜」
二人して急いで朝食を食べ、西遠寺を飛び出し学校へ駆け出した。
END
あぁw短編のつもりが結構長くなってしまいました^^;
でも、最後まで書けた小説はコレが初めてなんですよw
ここで書かせてもらってから、小説書くのが楽しくて♪
毎日何時間もパソコンの前に座ってました((笑
完成してよかったw
なんか最後のほうが変な感じになってしまいましたが。。。
いつか、自分で満足のいく小説かけるようになりたいですw