でぃせんばー・ぱずる

〜 あとがき 〜

作:山稜

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 暑い時期に寒い時期の話を書くのは…結構辛かったですね。
 おまけに、毎度のように話が伸びて伸びて…なにが7話で終わるんだか。
 幸い、これを書き始めるとすぐに梅雨寒になったので、少しでも助かりました。

 さて、この話。
 静かな存在感の彷徨に対して、激しいアピールの望。その間に立って、気軽に周囲との調和を図る三太は、そばにいる存在ならば好感度が高いのでは…と、わたしは思っています。そんなわけで前々から、三太中心の―やはり、恋のエピソードになるのですが―話を書きたいと思っていました。

 世間では「三太のお相手は天地ななみ」と相場が決まっているようです。彼女はアニメオリジナルキャラですが、さっぱりした性格で、他の級友に比べて落ち着いた雰囲気が、落ち着きのなさそうな三太とのコントラストで、関係を描きやすいということもあるのかもしれません。実際、わたしも「わんだりんぐ・どりーむず」の一節として三太とななみの淡い恋をプロットしたこともあります…結局それは、陽の目を見ることはありませんでしたが。

 ななみの原型と言えるのは、原作に登場する未夢の級友でしょう。
 このコは名前が明らかではありませんが、未夢・クリスの席の近くで、いつも一緒にお弁当を食べているようです。また、未夢の母・未来がシャトルに乗ると会見したのをいち早くクラスに知らせに来たり、朝早く西遠寺に突然取材に現れた報道陣を三太や望・クリスとともにごまかしに来たりと、未夢の友人として結構活躍しています。ただこのコは、彷徨に憧れている描写もあるので、その部分は天地ななみからは切り離されて別のキャラクターになっているようです。

 さて、彷徨や望と違って、三太はごく普通の男の子です。ですから、恋愛というものに関しても、彷徨や望のように中学生という早い時期に運命の出会いをする、というのではなく、ごく普通の淡いものから順に経験していくでしょう。となると、中学生の頃の恋愛を、そのまま成就させるということはなくて、これからいろんな女の子と交際していくと思います。

 ということは、三太がななみと交際を始めたとしたら、いつかふたりは別れなければならなくなります。しかし、アニメオリジナルとはいえファンの皆さんの―わたしもそうですが―思い入れのあるキャラである「ななみ」を、別れという前提で描くのはしのびない…という理由で、わたしはななみを登場させませんでした。代わりに、ななみの原型らしき級友に「天野かおり」という名前を持ってもらい、三太の憧れの人になってもらったわけです。
 「かおり」も、ななみ同様さっぱりしてますし、おばあちゃんには弱いです。ななみとよく似ています。ですが、かおりはななみではありません。そのあたりは、割り切って楽しんでもらえると幸いです。

 最終的に三太の今回のお相手となった佐倉涼子ですが、このコは全くのオリジナルです。三太の性格から言って、もてるなら年下のコだろう…ということなのと、…実は、このコには実在のモデルがいます…わたしではありませんよ!?
 現実の彼女は、先輩くん(やっぱり三太みたいなところのある人です)とは、なかなか「かみ合う」ことができず、うまく気持ちを伝えることができませんでした。先輩くんも、うまく受け止めることができなかったようで、はた目ながら、どちらも心残りだったように感じます。そんなふたりも、せめてお話の中なら、ということで…。
2002.6.30 山稜


追記:アニメに出てくる、前述の別のキャラクターの名前について情報をもらいました。西遠寺ファンクラブ(?)の4人はそれぞれ、さおり・さゆり・かおり・しおりというのだとは聞いていましたが、この中で前髪をピンでとめている、青から黒い髪でおかっぱのコが「かおり」だそうです。なまじ間違ってはなかったかな?
(2002.7.13)


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