作:瑠璃宮 恋
会いたい
会いたい
会いたいよ
貴方に一番・・・
・・・・・・会いたい
信心
「ぅぅっ寒い〜・・・もう秋かぁ・・・早いよね〜」
もう9月。
夜になってもエアコンなしでいられるのは、周りの空気が冷たいせい。
「早く寝ようっと・・・」
ふらふらとベッドへ向かう未夢。
今日はなんだか、体がぐらぐらする。
そして、その瞳はゆらゆらと揺れていた。
「・・・・・・・・・・・・静かだ」
ひんやりとした冷たい空気。
ピンと張った感じ。
どうにも未夢には耐えられなかった。
「・・・どうしよう・・・?」
散々迷うと。
ルゥの笑顔が頭に浮かんだ。
「ルゥくん・・・・・」
それは、暖かくて。
すごく心が、ぽかぽかして。
いつもはそれで、満足して眠れるのに、今日は眠れなかった。
「・・・・なんでかな・・・?」
ふと。
無意識のうちに、言葉が出てくる。
「彷徨・・・」
・・・・・・・・・・。
え!?
何で私・・・今・・・『彷徨』って・・・?
変だ。
今の私は変だ。
「彷徨」って言っただけで、胸が熱くなってくる。
どんどん苦しくなってくる。
「こ・・・困ったよう・・・」
会いたいと思うと、声が聞きたくて。
声が聞きたいと思うと、会いたくて。
今は夜中の1時。
彷徨だって、起きている筈はない。
もしかしたら。
今日はパパもママも、大学の同窓会へ行っていて。
・・・私は「一人」に弱いから。
一番身近な彷徨に、会いたくなったのかもしれない。
「・・・・電話・・・しちゃ・・・怒られるかな・・・?」
そりゃぁ、そうであろう。
なんてったって、今は夜中の1時。
はっきり言って、向こうだって迷惑であろう。
「でもでもでもっ・・・・・・・う〜・・・・」
会いたい。
その気持ちが未夢の背中を押して。
西園寺へと繋がる、数字のボタンを一つずつ、押していた。
Trururururu・・・・・・・
「・・・・・・はい、西園寺です」
「・・・・・・・・!?」
でた。
彷徨だ。
なんで?
どうして?
こんな時間まで何やってるの?
疑問が一気にあふれ出してくる。
「・・・・・・もしもし?」
「ぁ・・・・・ぁの・・・っ」
「未夢か?」
「・・・・・ぅん・・・・・」
「どうしたんだよ、こんな時間に・・・・」
「彷徨こそ・・・なにやってたのよ」
「ん?あぁ・・・まぁ・・・色々と・・・・・な」
「ふ〜ん」
「お前は?」
「えっと・・・・」
彷徨のことを考えて、眠れなかったなんて。
恥ずかしくて言えないよ。
「・・・・・私も、『色々』だよ」
「そっか」
言葉に出さなくても、わかる気がした。
きっと彼も。
私のことを考えてくれてたのかな?
「なぁ、未夢」
「え・・・・・?」
「お前・・・声ちょっとかすれてるぞ」
「ふぇ・・・平気・・・・だよ、何でも・・・ない・・・」
「・・・・・・今からそっち・・・行こうか?」
「いいよ・・・・おじさまが心配するでしょ?」
「今日出かけてるんだよ。中学の同窓会だってさ」
「うちも・・・大学の同窓会だって」
「「同じだな(ね)」」
ふふっと笑って。
この時間がいつまでも続けばいいと思ったけれど。
ぐらりと視界がくらんで。
「未夢?・・・・未夢!!!」
彷徨の声だ。
どうしたの?
彷徨。
私はちゃんと・・・・・ここに・・・
いるよ・・・・・・・・・・。
頭の隅で、彷徨に返事をして。
私はパタリと倒れたのだった。
未夢ちゃん倒れました。
ごめんなさいっっ(>_<)
・・・一触触発ですよ。
・・・・・・・今の私に触れてはなりません。(←不機嫌