作:瑠璃宮 恋
いつからだっけ
貴方をマトモに見れなくなったのは
いつからだっけ
貴方が他の男(ヒト)とはちょっと違うって気づいたのは
・・・大切すぎて
怖いよ・・・
(初めは少しシリアスです。「少しでもダメよ!」という方はお控え下さい。)
完璧・・・1話
私は貴方が大好きです。
でも・・・貴方にとって、私はなんなのかな?
「・・・・・彷徨っ・・・私っ」
「・・・未夢?」
「彷徨のコトが好きっ・・・」
「・・・未夢・・・」
彼の瞳が揺れる。
それはもう、ぐらぐらと。
私の胸に、不安がよぎった。
「ごめん・・・未夢・・・。お前のことは・・・そういう対象には・・・見れないんだ」
「・・・・・・・・。そ・・・・・っ・・か・・・・・」
もしかしたらと。
自惚れていた。
彼も私が・・・好きなんじゃないかと。
もう、全て。
何もかも・・・届かない。
「・・・・・・・・・・!!」
目を開けたら、いつもの西園寺の天井が目に入った。
「あれ・・・・・?」
さっきのは・・・夢・・・?
「・・・・・・何あれ・・・・・」
ひどい。
どうしよう。
正夢かなあ・・・・・?
こうなったのは・・・全部。
あの時の・・・景色がまだ目に残っているから。
彷徨が・・・。
クリスちゃんを振った。
あんなに美人なクリスちゃんを。
「俺には・・・大切な奴がいるから」と言って。
真剣に、真っすぐに、クリスちゃんを見つめた彷徨の瞳。
あの綺麗な瞳を曇らせて、泣き崩れたクリスちゃん。
下校中、たまたま現場をみてしまって。
私もあんなふうに振られるのかと思うと。
胸が痛くて・・・。
苦しくて・・・・・。
耐えられなかった。
「あ・・・・・」
どうしよう。
また・・・・・涙が・・・・・。
「・・・・・・ふ・・・っ・・・・やぁ・・・・何・・・・で・・・・・」
ボロボロと出てくる涙を、おさえきれなくて。
声を押し殺すのに一生懸命で。
背後からくる人影に、未夢は気づかなかった。
「未夢?」
「・・・・・!?」
・・・少し低めのトーンの声。
背中を向けているはずなのに、見透かされているようなこの感じ。
「かな・・・・た・・・?」
「・・・どうした・・・?泣いてんのか・・・?」
違うと言いたいのに、声が出ない。
ふるふると首を横に振る未夢を見て、彷徨はもっと近づこうとする。
「・・・・いで・・・・」
「・・え?」
「来ないで・・・っ」
「・・・・み・・・」
「不用意な優しさで・・・私を揺るがせないで・・・」
「未夢・・・?」
「っく・・・・・・ひぐっ・・ふ・・ぇぇぇ・・・」
小さな肩を震わせて。
声を押し殺して泣く。
小さな小さな未夢。
「なぁ・・・・・どうしたんだよ」
後ろからそっと。
包み込むように、彷徨は未夢を抱きしめた。
「・・・・・っ・・・・や・・・」
「未夢」
「離してよぉ・・・」
「ヤだ」
そのぬくもりはとても暖かくて。
心の鍵を解かされそうで。
未夢はそれが、すごくすごく、怖かった。
「未夢・・・なんで泣いてるんだ・・・?」
「・・・・バカ彷徨」
「・・・・・・・・・・あ?」
「彷徨のせいよ」
「・・・・・オレなんかしたっけ?」
「した」
「何を?」
「すっごくすっごくひどいコト、いっぱいいっぱいした」
「・・・・・なんだよ」
「・・・・・・・・・・なんで・・・クリスちゃんを振っちゃったの・・・?」
「・・・え?」
「あんなに可愛くて・・・お料理も上手なクリスちゃんを・・・」
「・・・お前・・・」
「なんで・・・振っちゃったの・・・」
「俺と花小町がくっつけばいいと思ってんのか・・?」
「そうじゃない、そうじゃないよ」
でも。
あんなに完璧なクリスが振られるということは。
それ以上の「完璧」が求められるわけで。
・・・未夢には届かない、壁の高さだった。
「・・・・・私だって」
「・・・・・ん?」
「私だってねぇっ」
ぐるんと彷徨の方に向き直る。
その怒ったような目つき。
でも可愛らしさが残っていて。
「彷徨のコト、大好きなんだからっ」
本人は怒って言っているのだろう。
でも。
怒っていてこのセリフ。
「・・・・・・く」
「・・・・・・あ」
「・・・・くっ・・・・・くくっ・・・・・・く・・・・」
「な・・・・・・っ何よーーーーっ!!!なんで笑うのー!?」
「だ・・・・・ってお前・・・・」
「ひっど〜いっ!」
「そっ・・・・・かぁ・・・・・っ未夢は・・・・俺が・・・・・・」
「・・・・・あっ、あっ、あっ、だだだだ、だからねっ・・・それは・・・・あの」
「・・・好き・・・なんだろ?」
不敵な笑み。
何も言えなくなってしまって。
やっぱり彷徨はズルい。
「・・・・・・・・・・・ふんだっ」
そっぽを向いてしまった未夢に、彷徨はますます笑って。
「・・・なぁ・・・オレが花小町に言ったさ」
「え?」
「『大切な奴』って誰だかわかるか?」
「・・・・知らないわよ、そんなこと」
「・・・未夢だよ」
「・・・・・へ」
「世界で一番、未夢が大切だ」
う・・・・・・・・・・・・そ・・・・・・・・・・・?
だってだって・・・・・・
「私・・・料理も出来ないし・・・」
「知ってる」
「ドジだし・・・」
「あぁ」
「・・・・・・何にも・・・・いいところなんて・・・」
「それでも、オレは未夢が大好きなんだ」
未夢の良い所はたくさんあるけど、という言葉は、あえて彷徨は飲み込んだ。
「う、う、う、嘘だぁっ」
「・・・ここまできて・・・認めろよ、バカ未夢」
「だだだ・・・・・だってだってぇ〜っっ」
「じゃぁさ・・・・・」
「・・・・・ぁぇ・・・・・?」
耳元で、そっと囁く。
「キスでもしたら・・・信じる?」
「ばっ!!!!」
「お〜お〜・・・・・いい反応返してくれるね」
「・・・・・かぁなぁたぁぁぁぁぁ!!!??」
「だってお前が認めないから」
「だからってねぇっ・・・」
怒ることに熱中して。
オレを見上げていることに忘れている未夢。
しかも。
向き合っているだけあって。
・・・結構近距離。
(・・・・・いい位置じゃねぇ?)
ふとそう思って。
気が付いたら。
顔を近づけて。
そっと。
キスしてた。
あ、柔らかい。
なんて咄嗟に思ってしまって。
こんなにもコイツに酔いしれているのかと。
・・・我ながらバカだと思った。
「・・・・・・・・・なっ」
「・・・・・紅いな」
「なにすんの〜〜〜〜〜っ!!!!!」
「・・・・・恋人達の誓いの証?」
「っっ・・・・・・彷徨のバカぁ!!!」
バカでもいいよ。
お前と一緒にいられるなら。
知ってた?
男ってのはな、
「完璧」よりちょっと欠けてた方が
萌えるんだぜ?
い〜や〜ぁぁぁぁぁ!!!!
彷徨様が・・・・・別人だわ・・・・。。。
る〜らら〜彷徨さ〜ん
どうしちゃったの〜♪
ごめんなさい。ギャグです。
瑠璃宮 恋