千甘〜せんかん〜 最終話

作:瑠璃宮 恋


好きよ、好き。

誰よりも、好き。

でも、でもね。

・・・私には・・・足りないの。

可愛さ、純粋さ、優しさ・・・全て。

・・・貴方に必要なもの、全部が私には足りない。

・・・見たくないの。

見たくない。

貴方のその、全てを見透かすような瞳。

きっときっと、私に全てが「足りない」ってバレてしまったら。

・・・貴方のその綺麗な瞳を・・・曇らせたくない。

・・・嫌われたくない。

「特別」じゃなくてもいいから・・・せめて・・・

今のままでいさせて。


千甘〜せんかん〜 最終話

気まずい。

気まずすぎる。

あの後から、彷徨とは一言も喋ってない。

・・・話せなかった。

・・・・・・私に足りないもの、全部がバレてしまいそうで。

ただでさえ、ドジなのに。

・・・余計、ものをこじらせるだけだろうと思ったから。

明日なんて、来なければ良いと願ったけれど。

・・・時は酷いもので。

決して止まることなく、時を進めていくのであった。

☆★☆★☆★☆

次の日は土曜日。

昨日の疲れと、「彷徨がいる」という緊張に、未夢はしばらく布団の中にうずくまっていた。

・・・ガラガラ・・・。

んぁ?

何の音だろ・・・?

多分・・・誰かが外に出てった・・・って音だよねっ?

彷徨だっ彷徨に違いない!

だってよく三太君と遊びに出かけるもんね!

そうだよ、絶対そうに決まってる!

だったら・・・今がチャンスじゃないかぁ!!

いそいそと普段着に着替える未夢。

・・・やけに静かだ。

ワンニャーとルゥくんがいれば、もっと騒がしいはずなのに・・・

「・・・・・・・・・・!」

大失敗。

さっき出て行ったのは、どうやらワンニャーとルゥくんだったらしい。

・・・彷徨が本を読んでいる。

どっ・・・・どうしたらいいですか・・・?

固まった未夢。

パラパラとページをめくっている彷徨。

ダメだ、何もいえないよ・・・・・。

黙ったまま、何か飲もうと冷蔵庫へ未夢は向かった。

・・・・・・と。

「ねぼすけ未夢、無視すんじゃねぇよ」

「・・・・・・!」

彷徨が。

話しかけてくれた。

脳裏には、彷徨と一緒に笑いあった日々が甦ってくる。

いっつもいっつも。

一緒だったんだ。

その度に、「あぁ、好きなんだ」って実感して。

すっごくすっごく。

幸せだったんだ。

でも。

「好きなんだ」って思ってるだけで。

口には出していなかった。

・・・怖くて。

・・・何かが足りないとか、色々と理由をつけて。

気持ちを出すのを、恐れていた。

・・・・・・・・私・・・・・・

・・・・・・・・私は・・・・・・・・

あの頃から・・・・・・・全然変わってない・・・・

くるりときびすを返して。

向かう先は、彼の元。

後ろを向いて本をずっと読み続けている彼に。

色々なものと気持ちを、ずっと覆い隠してきた彼に。

全てを伝えようと、未夢は決めた。

後ろからぎゅっと抱きしめて。

彷徨の、ページをめくる音が止まって。

全ての時が、止まったような気がした。

「・・・・・・未夢?」

「・・・ごめんね」

「え?」

何も言えなくて。

でもね、もう大丈夫。

ちゃんと自分と向き合えたから。

ちゃんと自分の気持ち、わかったから。

「好きです」

「・・・・・・・・!」

「今も、前からずっと」

「・・・・・・・」

「彷徨が好きなの」

「・・・・・・・・・」

彷徨は未夢の声に、じっと耳を澄ませていた。

「でもね・・・私、付き合うとかとういうの、よくわかんなくて」

「・・・・・・」(未夢らしいな)

「一緒に居れば居る程・・・嫌われちゃいそうでっっ・・・」

えぐえぐと、自分の背中で泣き出した彼女を見て、彼は。

(・・・なんていうか・・・・・まいるよなぁ)

彼女の全てに。

なにもかもが可愛らしくて。

一途で。

けなげで。

守ってやりたい、と心から思う。

「そんな理由で、俺は・・・」

「そんな理由!?」

「あ、悪ぃ」

「・・・・・・・・(キッ)」

「でも」

彷徨は未夢に向き直った。

涙目で睨まれて、そんな表情も[可愛い]なんて思ってしまうのだから。

自分も相当、やきが回ったものだ。

「・・・嬉しいよ」

「・・・・!」

[すごく意外です]といわんばかりに目を見開いた未夢。

「なんだよ、その目は」

「だ、だって・・・」

「なんでもいいよ」

「え?」

「お前の話す事、なんでも面白いから」

「・・・・・(喜んでいいのか・・・?)」

「それに」

「?」

「お前は何でも溜め込んじまうところがあるから」

「・・・・・・」

「なんかあったら、すぐ言えよな」

「・・・・・・はい」

頷いた未夢に、彷徨はふわりと微笑んだ。

「かっ彷徨こそっ!」

「あ?」

「・・・何でも言ってね」

「・・・・・わかった」

「悪い事とかもちゃんと!」

「・・・・はいはい」

「我慢しないでねっ!」

「・・・・・・・・・・っ」

どーいう意味だ、そりゃ。

未夢にとっちゃぁ、[悪い事も溜め込まずに言え」って事だと思うけど。

・・・・・・・違う意味にも聞こえるぜ?

・・・・・まぁ、そういう事は、このお子様にはまだわかってないと思うから。

はぁっと溜息を付いた後、彷徨はある提案を思いついた。

「・・・・・・・・じゃぁ。我慢しない」

「ぅにゃ?」

金色の髪を横によけておいて。

桜色の柔らかそうな唇に、彷徨はそっとキスをした。

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・なっ!!!」

「あ、ワンニャー達、買い物にしては遅いな、迎えに行って来るか」

「はっ、話をはぐらかすなっ!!・・・じゃなくて!」

「何?」

「そういう意味じゃないーーーっ!!!」

わかってるよ、全部。

俺なら、お前の全部を、受け入れる事が出来る。

いつまでも、いつまでも・・・・・・。


変わらない真実。

それは・・・・・・・?

今日も。

明日も。

ずっとずっと。

君の虜。









終ーわーりーましたよーーー↑↑!!!(っきゃーー!!!

すごいすごい!

やったぁっっwwww

すっごい楽しかったです、はい。

また書きたいなぁ・・・・・?(え?ダメ?

ってかワケのわからんところ盛りだくさんですが。

怒らないでやってください。






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