作:瑠璃宮 恋
翡翠色の瞳で周りをきょろきょろ。
金の髪をゆらゆら揺らして・・・
探しているのは誰なんだ?
子猫
すごく寒い日だった。
外はあられが降っていて・・・。
もう・・・・夜。
ううん、夜中?
時間の進みがわからない。
だって、ほんの少し、怖い夢を見てしまったから。
「寒い、な」
細い肩を震わせる。
小さく金の髪が揺れる。
少しでもぬくもりが欲しくて。
少しでも暖かさを求めて。
「ココアでも・・・・つくろかな」
ほんの小さな、小さな思いだった。
・・・・・・ひた、ひた
廊下が冷たい。
足の裏が・・・凍りそう。
「ぅぅ・・・・・さむい」
ふと見ると、台所に明かりがついている。
「誰だろ・・・・?」
本当は、思うまでもないのだけれど。
・・・・・・多分、彼。
かたん、と扉を開ける。
(・・・・・あ、いた)
その「彼」はちらっとこちらをみた後、またふいっと何かの作業に戻ってしまった。
「・・・・・・ぉはよ」
「・・・・・・・・はよ」
時間の進みはわからないけれど。
それでも挨拶だけは一緒。
カチ、カチ、カチと。
時を刻む音しか聞こえなくて。
いたたまれなくなって、未夢は彷徨の元へ歩み寄った。
「・・・・・ね」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・ね、ったら」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・(シカト?)」
返事を返してくれない。
・・・・・冷たい。
寒い。
もう、そんな形容詞しか頭に浮かばなくて。
普段なら、絶対そんなことしないのに・・・・・。
後ろから、ぎゅっ、と。
抱きついてみた。
「・・・・・・・・・・・!」
「・・・・・・・・・・・(あ、びっくりしてる)」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・(許してくれるのかな)」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・(あったかい・・・・・)」
「・・・・・・・・・・なぁ」
「・・・・・・・・・・・・(きもちー・・・)」
「・・・・・・・・・・・未夢」
「・・・・・・・ふぇ?」
「離れろ」
「ぃやよ」
「・・・・・・・・・・・即答かよ」
「もちろん」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・(にっこり)」
「・・・・・・・離して」
「ぃや」
「・・・・ハナシテクダサイ」
「やだ」
「・・・・・・なぁ未・・・・」
「何で?」
「・・・・・・・・・・!?(なんだコイツ寝ぼけてんのか!?)」
「彷徨は・・・・・やなの?」
「なにが」
「・・・・・・だから・・・・」
「・・・・・・・・っ」
「こうやって・・・・・ね?」
懸命に腕を伸ばして、彷徨の腰に輪をつくる。
さっきよりも、「抱きしめてる」形になってるわけで。
もちろん、力も入ってるわけで。
彷徨にとっちゃ、未夢の力なんて造作もないことなんだろうけれど。
柔らかい感触とか。
甘い匂いとか。
もう全部わかるぐらい密着しちゃってるわけで。
「・・・・・・・・(・・・・ヤバイのに)」
「ぎゅっ、てするの」
「・・・・・・・・・・」
「や?」
どうして、彼女はこう。
オレが振り払えないのをわかっててやってるんだろうか。
「勝手にすれば・・・・・」
「んv」
「・・・・つか、何でお前の方がリードしてんだろ」
いつもは逆。
彷徨が引っ張って、未夢がついていくのに。
気持ち的に、今は未夢のほうが優勢のようだ。
「ぁ、ココアつくってたの?」
「・・・・寒いからな」
「あたしのも」
「わかってる」
「ふふっ」
「・・・・・・・・・ったく」
「砂糖入れてね」
「・・わかってる」
「・・・嬉しいな」
「なにが」
「彷徨、あたしのこと何でもわかるんだ」
そういってまた、ふふふ、と心底嬉しそうに笑う未夢。
「ほ、ほら!出来たぞ」
「やったー」
なにがそんなに「やったー」なんだか知らないが、まぁ彼女が嬉しそうにしてるんだからいいか、と。
もうお決まりの、2人で向かい合ってこたつで団欒。
「美味しいね」
「・・・・・・ん」
「あまーいvv」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・どしたの彷徨?え、何かついてる?」
「・・・・・・ゃ・・・・なんか・・・・さ」
「?」
「ねこ・・・・・・みたいだな、って」
「ねこ?」
「そう、ねこ」
「ねこ」
「子猫・・・・・」
「ねこ・・・?なにが」
「お前が」
「あたしが?」
「そうだよ」
「どこがよ?」
「例えば・・・・・」
そういって、ちょいちょい、と手招き。
おとなしく、未夢は彷徨の方へ向かう。
「こう・・・・・・・」
ぐいっ
「んみゃぁっ」
「・・・・・すっぽり・・・・小さい・・・・とことか・・・・・」
「ぁや、や、は、離し」
「さっきは自分からくっついてきたくせに」
腕をひっぱって。
それはもうすっぽりと彷徨の腕におさまってしまう未夢。
まさにベストポジション、というものがぴったりきそう。
「きょろきょろ・・・・・してるとことか」
「してないよっ」
「してるよ」
「ぁぅ」
彷徨に断言されて、未夢は言葉に詰まってしまう。
「寂しがりや・・・・・な・・・・とことか・・・・・」
「・・・・・・・・・そ・・・・・かな」
「可愛いとこ・・・・も・・・全部」
「かわっ・・・・・!」
「好き・・・・・だなぁ」
「へっ!?」
「・・・・・・すき」
「か、かなた」
「もー、ごめんオレ無理だわ・・・・・」
「無理って何が・・・・」
小さくちゅっ、と。
桜色の唇にキスした後、ごろんと彷徨は寝転がった。
一緒の未夢も、道連れにして。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・くー・・・・・」
「・・・・・・え・・・・・」
寝ちゃったのこの人・・・・・・。
ココア・・・・・冷めちゃうのに・・・・・・。
でも、まあいいか、とも思う。
こんなに穏やかな彼は久しぶりだから。
それに、こんなに幸せな気分だから。
許してあげても・・・・・いいかな。
翡翠の瞳で、周りをきょろきょろ。
金の髪をゆらゆら揺らして・・・・・・。
探していたのは・・・・・・・?
「彷徨っ!」
大好きな、大好きな未夢。
小さな子猫を腕に抱いて、彷徨は穏やかな眠りについた。
目覚めるときには・・・・きっとココアは冷めてるね。
ほんわか、ふんわか。
恋は犬よりネコ好き〜なのです。
可愛いもんね〜vvvvv
うふふ〜vv
一度練習して書いてたのですが、間違えて「編集を止めて戻る」を押しちゃって。。
全てがぱぁになったのですが、楽しかったので再リベンジ。
やっぱりかいてて面白いや。