作:瑠璃宮 恋
自信を持つ事
かっこいいこと
「自信なんてもてない」って思ってた
そんなの、自意識過剰だ、と
自分はそんなに出来た人間じゃない、と思ってた
でも
「自信」の本当の意味を教えてくれたのは
キミなんだ
西園寺。
深く長いため息が響いている。
声の主は・・・、彷徨。
「はぁあぁぁああぁぁあ〜・・・・・・・。。。↓↓↓」
「・・・大丈夫?彷徨。すごく疲れてるんでしょ?今日も早めに休めないの?」
「あぁ・・・まだ生徒会のプリントまとめてない・・・」
最近、彷徨はすごく忙しい。
先週までは期末テストだったし、生徒会長になった彷徨にはもちろん生徒会の仕事が入ってくる。
休む暇がないのだ。
こういうとき、ゆっくりため息ぐらいつかせてくれる空間があるというものは幸せなものだ。
「ため息をつくと幸せが逃げる」などという変な屁理屈をつけられて、ため息さえもつけさせてくれなくなったらたまったもんじゃない。
疲れている、と分かってくれている人が一人でもいてくれる人がいることも幸せだ。
しかも、ムリに「今日は休んだ方がいい」などと無理強いしない人が居る。
いつも早めに寝られないことを知っている、今日も休めないのか?と疑問形にしてくれる。
・・・彷徨の意見を聞いてくれる。
頑張りたいなら、頑張ってもいい。
でも、甘えたかったら甘えてもいいんだよ、と。
優しくて、暖かい自由をくれる未夢。
そんな未夢に、彷徨はいつも感謝しっぱなしだ。
「・・・なるべく早めに終わらせて、早めに寝るように努力する」
「・・・うん。お願いね」
少し心配だけど・・・。
ちゃんと笑って、頑張ってって言わなくちゃ。
彷徨が頑張りたいなら、わたしも応援したい。
「じゃぁわたし、彷徨の邪魔しないように部屋にもどってるね」
「ああ」
・・・・パタン。
ふすまを閉めたあと、とたとたと未夢の足音が聞こえる。
・・・可愛い。
中学生にもなって、子供のような足音を残す彼女が愛しくてたまらない。
・・・だからこそ。
「・・・・急がなきゃな」
気合を入れて、彷徨はプリントに向き直った。
一方未夢はというと。
「・・・・あんな奴だもんなぁ」
絶対、もうすぐ自分の誕生日がくるってこと忘れてる。
忙しいのはわかる。
だからこそ、わたしが彷徨の大切な日を覚えててあげたい、と。
自分に無関心な彷徨に。
お人よしの彷徨に。
あなたのお祝いの分も、ちゃんとあるんだよ、って。
伝えてあげたい。
「・・・・お祝い・・・盛大にしちゃう?」
これからの予定を考えると、楽しくて嬉しくて、未夢の顔に笑みがこぼれた。
次の日。
普通に授業を受けるだけでも、時間がいつもより早くすすんでいく。
あっという間に、昼食時間になって。
・・・ほらもう。
放課後になる。
未夢には遅くなるから、先に帰るように言っといた。
なんか今日はヤケにはしゃいでたけど・・・なんなんだ。
・・・ああもう。
気を抜くと、すぐコレだ。
未夢のことが、頭から離れない。
「さっさ終わらせよ・・・」
昨日徹夜で仕上げたプリントを先生に提出。
「じゃ、今日はこれで」
「あ、待て西園寺」
「・・はい」
「この・・・集会のアンケートなんだけどな」
・・・・・どうしてオレにはこう、厄介ごとが入ってくるんだろう。
なんか誰か、オレの行動を邪魔してないか?
神さえも疑いたくなる。
「・・・どっちの意見が正しいのか・・・、微妙なところなんだよ。それに、先生の立場からみるのと、生徒の立場から見るのはまた違うし・・・。今じゃなくてもいいんだ、明日くらいに、お前の意見を聞かせてくれないか?」
「・・・・わかりました、オレでよければ」
「助かるよ」
またか・・・。
こういう精神不安定のときはなかなか・・・いつものように、いい結論がでてこない。
幸い、明日が期日だったからよかったものの。
いや、幸いでもないか。
とりあえず、早く家に帰りたかった。
ほんの少しでいい、休息を・・・。
あいつ、未夢や、ルゥたちの声が無性に聞きたくなった。
カバンを抱えて、家まで突っ走る。
石段を登って・・・・・長いな、この道のりが。
やっと玄関までついたときには、彷徨の息は少し乱れていた。
「ただいま〜・・・」
パン!
「・・!?」
「おかえりなさ〜いっ!!」
「おかえりなさいませ〜、彷徨さ〜ん!」
「きゃぁ〜、ぱんぱぁ〜!!」
「・・・な・・・・何」
「早く早く!もう準備はできてるんだよ!」
準備て・・・何の?
半ば意味がわからないまま、未夢に腕をひかれて茶の間まで行った。
「はい!みんな揃いましたね〜!?それではっ、せ〜のっ」
「「ハッピーバースデー!!!」」
「きゃぁ〜vvぁっぴ〜ぁ〜すで〜!!」(笑
彷徨は、一瞬きょとんとして。
それから、今日の日にちを思い出した。
「そっ・・・か今日は。」
オレの誕生日。
「わたしね、美味しいお料理たっくさん作ったんだよ!!」
「・・・・え。み、未夢が?」
「・・・何よ、その言い方」
「”美味しい”ってあってるのか?」
「しっつれーね!!バッチリよ!ベリーオッケーよ!」
「英文おかし・・・むぐっ」
ケーキの欠片を、口に突っ込まれた。
「・・・・どう?わたしが焼いて、デコレーションも・・・」
「・・・・・(むぐむぐ)」
「・・・・頑張ったの」
貴方の為に。
彷徨の為に。
産まれてきてくれてありがとう、これからも、できることなら精一杯応援するからね、の気持ちを込めて。
「・・・味はいーじゃん」
「っ・・・ホント!?」
「見てくれは10点な」
「なっ!もう〜っ、いっつも一言多いのよーーーっ!」
膨れて腕を振り上げる未夢を、いとも簡単に捕まえて。
翡翠色の瞳をじっと見つめる。
だんだんと白い頬に赤みが差してきて。
「・・・・・な、何?」
「サンキュ、な」
「・・・・・・・・・」
「未夢も、ルゥも、ワンニャーも。ありがとな」
「そんな〜、水臭いですよ彷徨さ〜んっ!」
「ぱんぱ〜、だっこ〜」
優しくルゥを抱き上げながら、そういえば昔にも、こんなことあったかな、と彷徨は思う。
ふと、頭の中をよぎる残像。
同じような彷徨の誕生日で、父、宝昌と母、瞳が祝ってくれていた。
それに、同じように。
「お母さん、彷徨の為に美味しいお料理たっくさん作ったんだよ!」と。
とても楽しそうに、母が話したのを覚えている。
そのときもオレはなにか悩んでいて・・・。
母さんに、なんていわれたんだっけ?
楽しいパーティの時間。
ご馳走を食べて、ケーキも食べて。
ルゥとワンニャーはもう部屋に戻っていた。
未夢と彷徨は、2人で月を見ていた。
・・・どうしても、惹かれあってしまう。
離れたくない、とお互いに思っていた。
「ね、彷徨」
「ん?」
ふと、未夢が声をあげた。
「何かあったら。話せる事だったら、話してね。彷徨が言いたくなかったらそれでもいいんだけど・・・でもね」
「・・・・・・・・・・・」
「一人で溜め込むより・・・2人で抱えた方が軽いでしょ?」
「・・・・・うん」
本当に・・・・こいつは。
すごいよな、と思う。
人の心が読めるのか。
観察力が鋭いのか、なんなのか。
「ちょっと・・・・悩んでる・・・かな」
「・・・・・・・?」
「どちらかを選べ、って言われて。オレが選んでいいのか、不安になる」
「・・・・・・・・」
「オレなんかよりももっと、優れた人間はたくさんいるのに・・・・」
「・・・・・・ダメ、だよ」
「・・・?」
「彷徨だから、いいんじゃない」
「・・・・・え?」
「彷徨だから、選んで欲しいの。別の人じゃない、彷徨がいいの」
「・・・・・・・・・」
「彷徨はこれから先、もっともっとたくさんの質問をされると思う。何度も迷うことになると思う。
でも、そこで人に決めさせちゃダメなのよ。きっと。」
「・・・・・・・」
「彷徨なら、絶対大丈夫。彷徨が選ぶ道、彷徨が信じた道は、必ず上手く行くよ」
「・・・・・・・・・」
「彷徨はもっと自信をもって。自分をもっと、信じてあげて」
「・・・・・未夢・・・・」
「・・・・ね!迷ったっていいんだよ。迷った方が、いいんだよ。たくさんの可能性がみつかるから」
「・・・・・・そう・・・・だな」
ああそうか、そうだった。
母さんに言われた言葉は、コレだった。
「彷徨の信じた道は、必ず上手くいくから」、と。
「もっと自分を信じなさい」、と。
「ホント・・・・すごいよ、お前」
「え?」
「全く持って、そのとおり、だよな」
「・・・・ふふっ」
未夢を母さんと重ねているわけじゃない。
オレだって。
未夢が未夢だから、好きなんだ。
自信を持つ事
かっこいいこと
「自信なんてもてない」って思ってた
そんなの、自意識過剰だ、と
自分はそんなに出来た人間じゃない、と思ってた
でも
「自信」の本当の意味を教えてくれたのは
キミなんだ
今なら言える。
自分が信じられる。
オレはオレだから。
オレなりの答えがみつかる。
オレは・・・未夢が未夢だから、好き。
・・・すっげー・・・簡単なことだったんだな。
きゃるる〜んっ。
おっひさしぶりです〜、みなみなさま〜!
なんか、過去の文を読み返してて、「なんじゃこりゃぁぁぁ!!」と思ったのがいくつもありました。
あ、コレも?
放置してるもの2つありますしね。
あ、もっと?
今回はテイネイに仕上げたつもりだったんですがピガガガ。
やっぱりムリだったんでしょうかねピガガガ。
・・・ああ、これ書き終わるまではここに何かくか色々考えてたのに・・・。
忘れちゃったよ!!
マヌケね!
でゎでゎ・・・、またいつかお会いしましょう。
瑠璃宮 恋