作:瑠璃宮 恋
私のお母さんは、宇宙飛行士です。
いつも いつも
私は一人で。
一度だけ、両親に連れて行ってもらった
プラネタリウム。
そこで見た星たち。
すごく すごく
綺麗だった。
上を見あげると
満天の星空。
吸い込まれそうな闇の
空。
私の体を一気に孤独感が突き抜けて。
孤独に 恐怖を 覚えた日。
〜プラネタリウム〜
もうすぐ12月。
自然教室が始まります。
行き先は、山の中の別荘のようなところ。
大自然に囲まれて、暮らす2泊3日。
星がたくさん見えるんだろうな。
ただ・・・一つ心配事が。
2日目の夜には肝試しをするのです。
・・・私は、お化けと虫が大大大っっ嫌い!!!
・・・考えただけでも怖いよぅ・・・・・。。。。
男子とペアを組んでいくのですが。
・・・・パートナーは彷徨がいいな、なんて。
夢のようなことを思っている自分が嫌いです。
12月は自然教室。
あんな面倒な行事、なんでわざわざ開催するんだろう、とか。
前まではそんなこと考えていたけれど。
・・・今年は・・・あいつがいるから。
星とか。
森とか。
綺麗なものは綺麗なものに惹かれるらしく。
あいつはああいう、自然なものが好きだ。
少し言い方を変えると・・・
天然は天然に惹かれるんだな。
あ、言っとくけど俺は天然じゃねぇからな。
最近、1日の流れるスピードが速く感じる。
・・・きっと・・・。
毎日が楽しいから・・・かな。
俺の柄じゃねぇんだけどさ。
やっぱ・・・あいつのおかげ・・・なのかもな。
〜12月3日・自然教室当日〜
「えっと・・・ティッシュも入れたし・・・ハンカチも入れたし・・・着替えも平気だよね、それから・・・」
「遅ぇよ、未夢。昨日確認したんだろ?」
「だ、だって!そういって入ってなかったら困るじゃない!念には用心って言うでしょ!?」
「・・・・・・・・。(言わねぇよ)」
「よしっ!大丈夫!楽しんでいけたらいいね、彷徨!」
「ああ」
1日目はハイキングやスケッチ。
大きな山を登ったり、湖の傍らで写生したり。
午後の予定も順調に進み、夕食後の休憩時間となった。
「夕飯、すっごい美味しかったね〜!」
「特に〜、あの野菜の天ぷらがすっごく!サクサクしてたよね〜」
「ね、お風呂上りだし、喉かわかない?私、なにか買ってくるよ」
「そうだね〜。一緒に行こうか?」
「ううん、大丈夫。こんな小さな別荘だもの、迷わないよ〜」
「・・・じゃ、お願いしちゃおうかな」
「気をつけてね、未夢〜」
チャリン、とお金を預かって。
未夢は部屋をあとにした。
大丈夫だよ。
部屋を出て、左の廊下をまっすぐ行って。
右側にある階段を下りたら・・・・・。
ほら、もう着いた。
「えっと・・・ななみちゃんがお茶で・・・綾ちゃんは・・・」
ガコン。
ガコン。
「あ・・・・光月さん?」
「ふぇ・・・?」
「あ、ご、ごめんね、いきなり。俺、5組の猫井 涼って言うんだ。」
「猫井・・・?可愛い名前だね」
「はは・・・あ、そうじゃなくて。えっと・・・」
ガサゴソと、涼がズボンのポケットを探る。
と、紅い小さなノートのようなものが出てきた。
「これ、光月さんのだろ?」
「あっ、学生証・・・・。なんで?」
「靴箱に落ちてたのを、たまたま拾ったんだ。渡そうと思ったんだけど、5組と3組って校舎が離れてるだろ?なかなか会えなくってさ・・・。」
「そうなんだ。ごめんね、ありがとう」
「光月さんってさ・・・」
「ん?」
「あの・・・明日の・・・き、肝試し」
「(びくっ)」
「誰と行くか・・・もう決めてる?」
「え・・・。決めてないよ」
「!だったらさ、お・・・」
「未夢!」
「ふぇっ、か、彷徨!?」
「西園寺!」
「「どうしてここに?」」
「未夢が遅いから探して来いって、通りすがりの俺が頼まれたんだよっ!ったく・・・飲み物買うぐらい、さっさとしろよな」
「う、ご、ごめん」
「違うんだ、西園寺。俺が呼び止めちまったんだよ。ごめんな、光月さん」
「ううん、いいの。じゃぁね、彷徨。猫井くん」
ふわふわと踊る金の髪をみおくってから、涼は彷徨に向き直った。
「なぁ、西園寺」
「あ?」
「お前・・・光月さんと付き合ってんのか?」
「・・・・・付き合ってねえよ(まだ・・・な)」
「そっか。ごめん、呼び止めて。じゃぁな」
ひらりと手を振って去った涼をあとに、彷徨は小さく舌打ちをした。
「・・・狙ってやがる」
あの金髪の少女が、また標的になったようだ。
「・・・全く世話が焼ける」
放っておかない自分も自分なのだが。
「・・・なんだかなぁ・・・・・報われねぇよな」
彷徨のため息は、深い闇へと消えていった。
2日目の夜。
とうとうこのときがやってきた。
「どどど、どうしよう〜。本物のお化けがでるかもしれないよ〜」
「平気だよ、未夢。どうせ生徒会が驚かし役やってんだからさ」
「で、でもさ〜・・・」
作り物でも怖いのだ。
・・・どうしようもない。
「ほら!西園寺くんはどうしたの?」
「・・・し、