作:瑠璃宮 恋
あのね、あのね
ひどいのよ
居候させてもらってる、西園寺っていうところの一人息子の
「彷徨」がねっ
私にすっごくすっごく
意地悪なの
私は・・・そこまで彷徨は嫌いじゃないんだけど
・・・ひどいのよ
馬鹿
「最っ低ーーーーーっ!!!!!」
夕焼け空に響くのは、金髪の長い髪の可愛らしい少女からの声だった。
少し高めのその声は、ゆったりとしていて、何度聞いても聞き飽きないような透き通った声だった。
緑色の大きな瞳。
桜色の唇。
全てを「可愛い」と連想させるその存在が、なぜ「最低」などと叫んでいるのか。
その原因は、西園寺の一人息子、「西園寺彷徨」に関係する。
・・・今日はね
ルゥ君もワンニャーもお買い物に行ってて
私と彷徨、2人きりだったの
でもね
彷徨ったら
ずっと本を読みっぱなしなのよ!?
・・・別にさ
寂しいってわけじゃないけど・・・
ずっとずっと
・・・前からずっと
私は究極に近いぐらい、「一人」に弱い
なんだか彷徨といると
「私」という存在自体無視されてるみたいでイヤなのよ!
だから
色々ずぅっと話しかけてたの
そしたら
そしたらね!?
「うるさい、ちょっと位黙ってろ、ばぁか」
・・・・って!!!
ひどいと思わない!?
一人に弱い私が一人で西園寺に来て
同い年の男の子と2人っきりで
落ち着けるはずないじゃないーーー!!!!
・・・・・って言っても
・・・・・・最近・・・少しだけ
少しだけよ?
彷徨が他の男の子とちょっと違うところがわかってきた
外見とかじゃなくて。
・・・私は
彷徨といるとドキドキして。
他の男の子だとドキドキしない。
彷徨といると嬉しくて。
すっごくすっごくご機嫌になっちゃうみたい。
・・・・おかしいでしょ?
ひどいでしょ?
私ばっかり、こんな気持ちなんて・・・・・。
で。
すっかり頭にきた未夢は、勢い余って西園寺を飛び出してきてしまったのだった。
「はぁ〜ぁ・・・・・・どうしよう・・・・・」
・・・帰りにくい。
ううん、正しく言うと
カエリタクナイ
どうせ・・・彷徨に馬鹿にされるに決まってる
・・・・絶対、絶対
帰らないんだから・・・・・・?
「・・・・・・・・・・・あら・・・?」
・・・・・え?
・・・あれ?
「あれれれれれれ・・?」
質問してもいいですか?
ココはどこなのでしょう・・・・・・・・・??
「やぁぁぁぁ!!迷った!?え!?嘘!」
もう中学2年だっていうのに。
・・・・・・・迷子だなんて。
「恥ずかしいよ〜・・・・・」
これじゃぁ・・・道も聞けないじゃない。
私は近くの川原に座り込んだ。
「全部全部・・・・・・彷徨のせいなんだから」
これはちょっとひどいと思うけど。
ちょっとぐらい・・・・責任はあるよね?
あるのよ、うん。
「彷徨のばかばかばかばか・・・・・・」
「誰が馬鹿だ、誰が」
「ぁぇ!?」
聞きなれた声。
ま・・・・まさかっっ・・・・
「かっ・・・・かっかっかかかかっ・・・・・」
「ばぁか」
「彷徨ぁっ!!!!??何でっ・・・・・・」
「急に飛び出していくから。いくらお前でも一応女なんだし?『ヨミチハキケン』って言うだろ?」
「一応って・・・・・!それにっ・・・・彷徨にも責任はあるのよ!?」
「・・・・は?ねぇよ」
「あるったら、あるの!」
「へぇ・・・・・・何が?」
「だからっ・・・」
「静かな部屋でおとなしく本を読んでた俺に、どこに落ち度があるのか。教えてもらおうか、未夢ちゃん?」
「うっ・・・・・・だ・・・・だ・・・から・・・・・・」
やっぱりずるい。
「未夢ちゃん」なんて呼ばれたら、顔がどんどん火照ってくる。
「えぇ・・・・・と・・・・」
彷徨が、はぁっとため息をついた。
「まぁ・・・・なんでもイイケド」
「よくないっ」
「はいはい」
「彷徨そういうのよくないよ!?人を小馬鹿にした態度!」
「はいはい、スミマセンデシタネ」
「・・・・・棒読み」
「うるせっ」
帰るぞ、という彷徨に。
私はますます悔しくなって。
「帰らないもん」
「あぁ?お前まだそんなこと言って・・・・・」
「だってっ!いっつもいっつも私ばっかりドキドキしっぱなしで!彷徨はいつも余裕しゃくしゃくなんてズルイ!」
しばらくの沈黙のあと。
「へぇ・・・・・・・ドキドキしてるんだ?」
「っ・・・・・あ・・・・・・・・」
しまった。
墓穴を掘ってしまった。
「へぇ〜・・・・・・・あの鈍感の未夢が・・・・・ねぇ」
やだやだやだ。
この流れはマズイ。
押される押される押される!!!
ふと。
未夢は彷徨に「未夢ちゃん」と呼ばれたのを思い出した。
そそそそっ・・・・・そうだ・・・私だって、あれだけドキドキしたんだもの・・・。
彷徨だって。
でででででもっ・・・・・・。
「はっ早く帰ろうよ」
「ヤダ」
「ね、お願い・・・・・カナタ・・・・・・サマ?」
「・・・・・っ!?」
彷徨の方が背は高いし。
未夢が上目遣いになるのは自然なのだけれど。
手を胸の前で合わせる仕草と。
『サマ』・・・・だって?
はっきり言って。
今無茶苦茶動揺してる。
「・・・・・ダメ?帰らない?」
「さっきは帰らないって言ったくせに」
「気が変わったの」
えへへと笑う未夢に。
彷徨は心臓を射抜かれて。
これでもまだ「自分は負けている」と思うのだから、このお嬢さんは隅におけない。
「鈍いよなぁ・・・・・」
「・・・・え?」
「鈍感」
「なっ・・・」
「ほら、帰るんだろ」
「あ・・・・う、うん」
『サマ』だなんて。
二度と言うな。
さっきだって、理性の糸。
ぶっちぎれそうだったんだからな。
ほんっとうに。
こいつって馬鹿。
そして。
その馬鹿をここまで参るぐらいに愛しく思う俺はきっと。
もっともっと馬鹿なのだろう、と。
彷徨は苦笑した。
「お前、さっきみたいなこと、もう二度と言うなよ」
「へ?さっき?」
「・・・狼にでもなりそうだからな」
「狼・・・?まっさかぁ!今時お化けなんて居るわけないよ〜」(内心びくびく)
「(こいつ絶対満月の日に変身する狼男連想してるよなぁ・・・)」
・・・・・なんちゅぅタイトルやねん。
そして。
彷徨さんキャラ変わってますね。(いつもか。)
・・・・ついに。
3000越しました。(喜
いやね、恋がかいてるような駄文をね、3000人の方が読んでくれてるのかと思うと(そのうちの10人ほどは多分自分)嬉しくてv
これからも頑張っちゃおうかな〜・・・なん・・・・て・・・・・
調子にのってませんよ!?
大丈夫ですから!
でゎでゎ。。
瑠璃宮 恋でした〜。