本当のこころ -True of Heart-

作:星原 流



昨日の早朝、ルゥたちはオット星に帰った。
さみしいけれども、それが当然、ある程度ふんぎりがついた。

でも、あなたとは・・・。やっぱり、離れたくない。

「本当の心」 -TRUE OF HEART-

「私たちって小さいころから出会ってたんだよね。でも、もし、ルゥ君がきて
くれなかったら、私たちは喧嘩どころか、お互い、他人同士だったんだよね。」

こくり、と彷徨は頷いた。

「私、ルゥ君とのこともはふんぎれたことじゃなかったんだけど・・・。今は、今・・・。」

そういうと涙ぐんで、一言言う、

「離れたくない・・・。」

彷徨はやさしく、未夢を抱擁した。すると、泣き崩れる未夢に力を最初感じていたが、
不意に力が未夢の方にないことに気づいた。

「???未夢?どうしたんだよ。おい!」
取り立てて、熱があるわけでもない。しかし、意識がない。急いで病院に連れて行った。

☆☆☆

かれこれ、20分くらいたっただろうか。医師に彷徨は呼び出された。

「光月さんの容態ですが・・・。どうやら、精神的な病のようです。フェノバール(R)という
薬をつかって意識は戻りました。けれど、どうも、年齢が後退してしまっているようなんです。
つまり、よほど、大きなショックがあって・・・。それに耐え切れなくなった光月さんは、どうも
幼児化してしまったようなんです。一度、会われてみてください。ご両親とのお話もそれからの
方がいいでしょうから。」

 医師の言葉に反応すると、すかさず病室へたずねよる彷徨。
 未夢が入院している病室へ彷?は足を歩ませた。そして、おもいっきり
「未夢!!おい・・・しっかり・・・。」

 未夢の方はきょとんとして、

 「お兄ちゃん、だれ?わたし、今日誕生日で、ママがケーキ作ってくれるっていったんだけど、
お仕事忙しくって、作ってくれないから、すねて、家出してきちゃたんだ。・・・」

 ケーキ??誕生日??と、なると、こいつ小さいころの今日と同じような境遇の日に還ってしまった
んではないか?と彷徨は考えた。

 未夢はきょとんとしているが、やがて・・・

 「あの。お兄ちゃん、さっきここにおにいちゃんに顔がそっくりな男の子に出会ったんだけど、
どこにいったか知っている。おいしい出し巻き卵くれたから、お礼がしたくて・・・。」

 卵焼き??
そういえば、小さいとき、ふと遠い町まで一緒にでかけて、べそをかいてた女の子がいたっけ??
ただの泣き虫かとおもったけど、とってもやさしくて、なんか安心して、また逢いたいっておもっ
てたんだよな。まさか、あの女の子が未夢なのか??

確認の意味で彷徨は、帽子を後ろ向きにかぶり、あのころと同じ様相で、、

 「おい!!ここは俺の秘密基地なんだから。でていけよ。」

 未夢はプッと膨れながらも、

 「また、逢えたね。ありがとう・・・。名前も聞けなくて、またあえなくなっちゃうんじゃないか
 と心配してたんだ。」
 
 彷徨は、
 「そんなことないさ、また、逢える。いつでも会えよ。未夢。」
 彷徨は半分泣きべそをかきながら未夢に接した。
 そして、
 「一緒に逢えるおまじないしておこう。」
 とういうと、未夢の頬に彷徨は軽くキスをした。

 「今日はかえるけど、またくるからな。じゃな。」

 そういうと、彷徨は病室を出た。
 
 ☆☆☆
  夜、家路につく彷徨。今の状況をあいつのお父さん、お母さんにいうべきなのか。
  迷う。
  腹ごしらえにと、インスタントラーメンを食するが、未夢がいない、空間のわびしさ
  から、つい鬱ぽくなってしまう。
 ☆☆☆
  「ただいま!!彷徨。」

 玄関先から大きな声が聞こえた。彷徨は、まっさきに玄関に向かう。そして、未夢である
 ことを確認すると、

  「お前記憶もどったんだ。よかったなぁ。」

 未夢は、

  「私・・・西遠寺からはいなくなるけど、彷徨とは離れない。高校も一緒の学校にいけるよう
 がんばる。そして、もう一度、ルゥ君たちと一緒にあのタイムカプセルを掘り出せるようにして
 おかないとね。」

 彼方は、

   「すべてはうち(西遠寺)からか・・・。」
 不思議なことだった。
 未夢とであったこと。
 ルゥたちとであったこと。
 そして、パパとママの感覚をしったこと、
 そしてそれが恋心になったこと。

  すべて、この場所がなかったら・・・。おれたちの接点はここか。

 彼方はからかい半分で、未夢にいう、
  「将来の結婚式はうちでやるか??」

 未夢は真っ赤になる。そういうと、
  「それも、、、いいかもね。」

 そういうと、彷徨の手を握った。

 春の誘いを感じる風が道を走っていた。


注)フェノバール ・・・意識回復剤として救急時によく使用される。意識活性剤であるとともに、
 術後の意識改善にも使われる。医薬品。麻酔科、精神科医が使用するのが原則


駄作第五弾目となります。

今回は、ルゥ君たちがオット星に帰ってしまい、そして未夢が実家へ戻らなくてはならなくなったときのことをかいてみました。

結構甘い作品ですけど・・・。もっと、心情を分かりやすくかきたいなぁ。って思います。

それでは・・・。また、(統計をみると、私の小説ってトータル1000件のアクセスがあったんですよね。・・・びっくりです。)


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