ひとりじゃない

作:little star




・・・・・
何もない空間。
「ねぇ、ママ・・・」
返答がない。
「ママ・・・」
急いだ様に声を掛ける。

やがて、
返事がかえってこない状況にあることを身に感じた。

それから、俺はずっと、寂しいという気持ちを隠し続けた。
母さんがいなくても、大丈夫・・・。そう言い聞かせてた。

いつからか、俺は他人と上手く話しが出来なくなった。
他人は勝手に俺のことを「クールだ」と決め付ける。

『そうじゃないよ。俺だって、苦しいんだ。寂しいんだ!』
ポロポロでる涙。

そんな日を繰り返してきた。
そう、未夢がくるあの日まで。
一人で食事をすることも、当然だった。

でも、
未夢が来て、ルゥやワンニャーが来て・・・。
家族ができて・・・。温かくなって。
「一人じゃない。」
そう感じた。

しかし、
未夢は両親の元に先週戻った。
だれも西遠寺には居なくなった。
また、孤独な時間が流れ始めた。

 「これ、私の家の電話番号。・・・たまに電話してよね。」
 「ああ。」
 「彷徨・・・」
 「未夢・・・」
 「何? 何だ?」
 「いや、なんでもないよ(だ)。」

結局何も言えずじまいだった。
いえなかった理由はどこかに、俺自身の変な強がりがあったんだと思う。
「男だから、いえないんだ・・・言うのがかっこ悪いんだ・・・」
そう思ったのだ。

Tru・・・Tru・・・Tru
電話がなった。
ビクリとしながら、電話をとった。

「彷徨・・・。」
電話の主は未夢・・・だ。未夢の方から電話を掛けてきてくれた。
「あの・・・彷徨。と、特に用があるってわけじゃないんだけど・・・
 でも、なんか、彷徨の声が聞きたくなっちゃって・・・」
遠慮しながら言う未夢の言葉に、
「らしくないだろ。遠慮なんてすんなよ。俺だって楽しみにしてたんだから・・・。」

「へ。(?)楽しみって」
 ・・・。言わぬと思っていたことが口から発せられた。

「だ、だからさ。な、なんか、俺一人だと寂しくて・・・。なんか泣きそうになってた。」
 ・・・。また、何を言ってるんだ。

 「彷徨どうしたの(?)」
 そう尋ねる未夢に、

 「いや、何でもない。なんか、嬉しくてさ・・・。未夢は元の学校に戻って元気にやって
 るか。」
 ・・・半分泣きそうだった。
 「うまくやってるよ。でも、家に戻っても、結局また私一人に戻っちゃったんだよね。」
 
 「だったらさ、未夢!」
 「もとに・・・西遠寺に戻ってこいよ!・・・俺だって寂しいし、未夢のこと好っっっ。」
 ・・・感情が上手くコントロールできない。
 
 「彷徨具合わるいの(?)。今から、彷徨の家にいっていい?」
 俺は頷くと、電話はそこできれた。

 ・・・数時間後・・・

 「彷徨、いる(?)。」
 俺は、軒先に出て未夢を抱きかかえた。
 「ちょっと、彷徨・・・。どうしたの。」

 「俺、未夢と離れ離れになりたくない!俺未夢のこと好きだから・・・
  愛してるから・・・。ずっと、ここに居て。」
 ・・・何いってるんだろうか。
 そう、俺は昔強がってた。居なくても大丈夫・・・一人でも平気って。
 でも、強がってるだけじゃどうしようもないこともある。
 正直にいって叶うから、もう俺は素直になる。

 未夢は涙を浮かべると、
 「私も一緒だよ。いつまでも、ずっと、彷徨のこと好き・・・大好き。」
 そういうと、二人で幼いころに戻ったかのように泣きじゃくった。
 そして、俺は未夢の両親に電話してみた。

 「俺は、未夢のこと大好きなんです。一緒にいたいんです・・・
  だから、一緒に西遠寺に住まわしてください。」
 
 その結果がどうなったかは・・・その後のお話。


***後書き***
なんか変。リハビリのつもりで書いたものですが・・・。
彷徨の寂しさをベースに書いてみました。
やっぱ駄文。
今年もちまちまと作品を掲載させていただきますので宜しくお願いします。


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