作:星原 流
Brand-new every day
嬉しくて楽しくて、しかたない予感がしたら、
毎日をあきらめでいこう
Brand new every day。
☆☆☆
「おーい。未宇、あんまり遠くにいっちゃだめだぞ。」
彷徨は、未宇に注意する。
未宇は、ちょうど3歳になった。
「はーい。ぱぱ!」
久々の海を前にはしゃぐ愛娘の無邪気に微笑む笑顔に、彷徨の顔も綻ぶ。
「彷・・・パパ、これ、見て!!」
隣で未夢が貝殻を差し出した。
「彷・・・パパ、これは何でしょう??」
未夢の質問に、
「わすれるもんか、桜貝だろ。俺が、中学のときにお前にやったよな。」
にっこりわらっていう。
「ねぇ、彷…、パパ。」
彷徨といいたいのだけれど、娘を前に「彷徨」というのはまずいと思ってはいるのだが、
どうもなれない。
「『彷徨』でいいよ。いちいち、彷・・・パパっていわれたら、かえって混乱する。」
彷徨は、舌を出して未夢にいう。
「あのとき、彷徨は何で私に桜貝くれたの。ほんとに、アイスキャンデーのおまけ??」
未夢が真摯な顔でたずねる。
「ぇぇ、あれは…。未夢が欲しがってたし、それに…。」
彷徨は狼狽して、
「だい好きなヒトに喜んでもらうえると嬉しいって感じるのは皆同じだろ。」
という。
「そうだね。私も、彷徨に喜んでもらうのは嬉しい。あのね、実は一つ大きな報告が
あるんだけど…。」
未夢は少し躊躇しながら、
「…お腹の中にね、赤ちゃんができた。」
「・・・。」
彷徨は一瞬言葉を失った。
「・・・。全然気づかなかった。いつ、病院にいったんだ。」
彷徨の質問に、
「昨日いったんだ。なんか、未宇のときと同じように時折気分の悪いときがあって、
いってみた…。3ヶ月だって。」
彷徨は、恥ずかしそうにいう、未夢を抱きしめて、
「嬉しいよ…。ありがとう。」
そういった。
「で、でも…ここ、海。未宇も見てるかもしれないし…。」
「あたしが何??」
未宇が無邪気に彷徨と未夢の裏にきょとんとたっている。
彷徨と未夢はあわてて離れたが、
「ああ、いつもの「ぎゅっと」か。パパ、ママ未宇に気を使う必要はないよ。続けて…。」
「・・・。」
二人は言葉を失ってしまった。子供はよく親をみている。気をつけないと…。
『こほん』と咳払いをして、彷徨は
「未宇、手にもっているのは何だ。」
未宇は、
「これ、パパとママへのプレゼント!!さっき、そこのいわばでみつけたんだよ!!きれいでしょ。」
未宇がそういって差し出したのは、そう、10年以上前に彷徨が未夢に送ったあの桜貝だった。
「パパ、これって桜貝だよ!!未宇よくみつけたね。これは、パパとママにとってすごく
大切なものなんだ。」
未夢が未宇の頭をなでながらいう。
「ところで、未宇は弟とか妹ができたら、嬉しい??」
未夢は未宇にたずねた。
未宇は満面の笑顔で、
「うれしいよ。みうにはパパとママがいるけど、もっとかぞくがふえていくのはうれしい。」
そういった。
「あのさ。未宇。実は、ママのお腹の中には、未宇の弟か妹がいるんだ。もう7ヶ月もすれば、
未宇もおねぇちゃんだぞ。よかったな。」
こんどは、彷徨がそういって、未宇を抱いた。
「おとうとか、いもうとのなまえってどうするの??」
未宇の不意な質問に二人は一瞬と惑うが、二人はにっこり微笑んで、
「男の子だったら、『夢は切りひらいてく』っていう意味をこめて、開夢に使用と思ってるんだ。」
未宇は、
「はるむ、か。なんかかっこいい!!おんなのこだったら!?」
彷徨は、
「未宇-Uかなぁ。」
ふざけていう。未宇は少し怒って、
「みうUなんてまるで○ケット×ンスターみたいだし、みうはそんないっぱいいらないよ。」
そういう未宇に彷徨は未夢と同じなにかを感じていた。
未夢は、
「冗談だよ。実は男の子としか考えられないの。なんでだろうね。だから、男の子の名前しか
考えられないの。」
そう、未宇をなだめる。
「ふーん。はるむね。おーい。はるむ、あたしがおねぇちゃんの未宇みうだぞ!!」
そう、未夢のお腹にむかって未宇が叫ぶ。
「ぷぷ…。」
2人は笑ってしまった。
家族が増えるってうれしいことだと思う。
「ねぇ、彷・・・パパ。私パパと未宇に出会えて本当によかった。そして、これから
このお腹の赤ちゃんと出会えて本当にうれしい。ヒトとヒトが出会うって大事だよね。
もちろん、彷徨と未宇とそして開夢と出会えることもとっても大事だし、そして、これからも
いろんなヒトとの出会いがあると思う。その出会いはいいであいもあれば、悪い出会いもある
かもしれない。だけど、たくさんのヒトに出会えるってやっぱり素敵なことだよね。」
未夢の台詞に
「未夢がまともなことをいうと、なんか調子くるうな。」
彷徨がそういうと、未夢は「何ですって!」と怒るのだった。
「つまり、未夢がいいたいことは、「毎日を楽しく、笑顔で過ごそう!」ってことだよな。」
彷徨のせりふに、未夢は頷く。
Brand new every day。
毎日をあきらめないでいこう!
そうすれば、毎日がHappy everyday。
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季節はずれでみすません。桜貝のねたはいつかかきたいな。と思っていました。
本来なら、夏にupすればよかったとは思うのですが…ご容赦ください。
あと、本文で、未宇が3歳に丁度なったといっていますが、実際未宇の誕生日については
分からないので、夏生まれと過程してしまいました。すみません。
それではまた。
2006.3.25 星原 流 拝