夏。夏。夏。

作:時間




夏は暑いだけかと思ってた。





「彷徨!ビニールプールある?」
縁側に座る彷徨に、未夢は後ろから声をかけた。

「どうしたんだ?」
「ルゥくんが、テレビで見てね…。やりたいやりたいって聞かなくて」
テレビの前でルゥはじたばたしていた。
ワンニャーはそれを必死に止めようとしていたのだが。

そんな努力も認められず、ルゥは一向に落ち着く気配がない。



「どうかな、彷徨」

「…。あるかもしれない」
「本当!?」
彷徨の言葉を聞き、未夢はルゥのもとへと飛んでいった。

「ルゥくん!できるかもしれないよ!プール」
未夢はルゥを抱きかかえながらいった。
その姿は子をあやす母のようであった。
しかし、また別にプールへ喜びを感じている子供のようでもあった。



彷徨は奥の部屋へ行き、あさっていた。
そして、部屋から出てきたとき、その手にはビニールの塊があった。
「あ…、それ!」

未夢はそのビニールの塊を指差した。
ルゥはじっとそれを見つめている。
「あった。今からふくらますから、ワンニャー、手伝ってくれ」
「わかりました!未夢さん、後でルゥちゃまと庭へきてください」


未夢とルゥはむこうの部屋へ行った。
彷徨とワンニャーは、プールの用意をしていた。
彷徨が膨らまし、ワンニャーはホースの用意をしてた。

「こんなモンかな」
額にたれる汗をぬぐいながら言った。
「さすが、彷徨さん!速かったですね」
そういいながら、ワンニャーはそのなかに水を入れていく。
その水はキラキラと輝いていた。


入りきったと同時にルゥと未夢がやってきた。
ルゥは水着を装着。
未夢はなんら変わりはない。



「ルゥくん!思いっきり楽しんでいいよ」
未夢はルゥに微笑みかけながら言った。
ルゥはただ嬉しそうにその水に飛び込んだ。



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