作:時間
1日目。
私はいつものように朝ごはんを作っていた。
けど、なかなか結月君が現れない。
どうかしたのかと思って部屋までいってみることにした。
部屋のドアをノックする。
「結月くん?朝ごはんできたよー?」
全然反応がなかった。
「結月くん。入るよ?」
やっぱり反応がない。
私は入ってみることにした。
「お…おじゃましまっす!!!」
恐る恐る不法侵入…じゃなくて、侵入した。
結月くんの部屋は男の部屋のはずなのにとてもきれいだった。
いや、男の子の部屋=汚いっていう方程式がおかしいのよね。
ごめんなさい。
私は我にかえった。
「はっ!!結月くん!!!」
広い部屋をみわたすと、いた。
「結月くん!!大丈夫?!」
ベットにくたばっていた。
もしかして、風邪ですか?
私は自分の額を結月くんの額にくっつけた。
「あつ!!」
「…ん…?るぅ…。……って!!るぅ?!」
結月くんがとびおきた。
いや、そんなおどろかんでも…。
「なんで勝手に入ってんだよ!!」
「え…?だって、ノックしても声かけても反応なかったから…心配になって…」
「…。頭いたい…」
「え?!」
気づけば結月くんは普通の服だった。
多分、そのままベットにダイブしたんだろう。
「結月くん、熱測ってみる?ってか測ろう!!」
「…あぁ…」
38℃
「あーあー。結月くん風邪だよ」
「汗かいたまま寝ちゃったんだっけ」
寝ている結月くんはだるそうな顔をしていた。
全身に汗をかいている。
顔は赤らんでいて、呼吸が荒い。
「お粥とか作ってくるから、寝てて…?」
「…ん…」
珍しく素直だった。
もう、反抗する気力もないんだろうね。
そういや私、ここ最近風邪ひいてないや。
「馬鹿は風邪引かないってやつかしら…?」
ちょっとがっくし。
朝食は食べれるだけ食べて、残りはラップをしておいた。
私は早速結月くんのお粥つくりにかかる。
お粥は意外とあっさり出来るもので、あっという間に作り終えた。
ドアをノックする。
「結月くん、入るよ」
「馬鹿…」
「え?!」
いきなり馬鹿っていわれても…。
「タオル…。頭…。かえろよ…」
「え?!あぁぁぁ!!ごめんなさいごめんなさい!!!!」
「大声出さないで…」
「ご…めんなさい」
私、迷惑かけてないですか?
「えーと…お粥作ってきたよ。タオル、かえるね」
私は洗面器に水を入れた。
そして結月くんの部屋に戻る。
「はい…。どう?冷たい…?」
「気持ちいい」
よかったと安心した。
「自分で起き上がれる?」
「あぁ。食う」
要点ばっかり言うんだね。
しゃべるのも辛いのかな。
お粥も半分食べ終わっていた。
「もういい?」
「ん」
「じゃあまた様子見にくるね」
私はそういってお粥の乗っているお盆を持ち、立ち上がった。
その時
「もう少し…ここにいろよ」
結月くんにエプロンをつかまれた。
熱のせいか照れているのか顔は真っ赤だった。
私は結月くんの隣に座りなおす。
そして、頭をなでた。
「ここにいるよ…。だから、安心して。…ね?」
結月くんは正確な寝息をたてはじめた。
「かわいいんだね…」
私は本人に聞こえないくらいの小さな声でいった。
聞かれてたらどうなるかわかんないしね。
何回かタオルをかえていたら、夕暮れ時になってた。
「…。だる…」
「あ…。起きた?結月くん」
目を覚ました様子だった。
「るう…、ずっといてくれたのか?」
「水かえるときにちょっと動いたけど、大体はここにいたよ」
結月くんは照れていた。
「…ありがと…な」
「…どういたしまして」
あまり見れない結月くんを見た気がして嬉しかった。
気づけばもう日もおちていて、夜になっていた。
「るぅ、もう飯食って寝ろ」
「…?いいの?大丈夫?」
「あぁ。じゃあ明日な」
「お大事にね」