作:英未
三日月に照らされて、彷徨(あいつ)の夢を見た。
薄暗い中、ろうそくの燈(あかり)のように、やさしく、ゆうらりと耀いていた。
声をかけたかったけれど、その瞳の中に光るものを見て、言葉が詰まった。
どうしたの?
たまらなくなってかけ寄ったのに、距離は縮まらない。
ねえ? どうしたの? そんな哀しい表情(かお)しないで。
分かってるから、「彷徨」・・・
*****
三日月に照らされて、未夢(あいつ)の夢を見た。
薄暗い中、月の光を集めたように、やさしく、ふうわりと耀いていた。
声をかけたかったけれど、その瞳の中に光るものを見て、言葉が詰まった。
どうしたんだ?
たまらなくなってかけ寄ったのに、距離は縮まらない。
涙をためた瞳が俺に訴えかける。
分かってるよ、「未夢」・・・
*****
きっと最初から気付いてた。
夢の中の「彷徨」は私の心 (夢の中の「未夢」は俺の心)
夢の中の「未夢」は俺の心 (夢の中の「彷徨」は私の心)
どうして、あの時、伝えられなかったのだろう。
伝えたい「何か」があることは分かっていたのに・・・。
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たまらなくなって、名前を呼んだ。
何度も何度も、魔法の呪文のように。
この距離は、もう縮まらないのかな・・・?
そう思ったとき、声が聞こえた。
―――「未夢?」 (「彷徨!」)
―――「彷徨?」 (「未夢!」)
距離はまだ遠いけど、気付いてくれた。笑ってくれた!
今なら伝えられる。
「ずっと・・・・・」
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目が覚めたとき、夜空に三日月が浮かんでいた。
今のは三日月が見せた夢?
月がふうわり輝いた。
夢の中のあいつのように。
微笑んでいるかのような、やさしい光だった。
運転中、月が出ていました。
ちょっと幻想的で、アイルランドの森や湖に息づく妖精達を連想しました。
そうなると、川村万梨阿さんの幻想的な歌声が聞こえてくる。
夢と現実が織り込まれたような童話。
薄暗い闇の中に浮かぶやさしいほのかな光のイメージが見えてきて、
それらをつなぐとこういうストーリーが出来ました。
雰囲気だけで書きましたので、
暗いストーリーかな〜と少々心配しておりますが、
「パンドラの箱」のように必ず希望はあるんだよと感じていただければ幸いです。
月の光が、そのまま希望の光となることをお祈りして…。