作:英未
「ねえ、彷徨。今度の日曜どっか行かない?」
「いいぜ。山とかどうかな?紅葉見にバイクで・・・」
「それなら近くでもいいけど?」
「は?」
「だって!西遠寺の周りの紅葉とっても綺麗だよぉ〜!?彷徨はココにずっ と住んでるから気がつかないだけなんだよ。私も引っ越して来たから目新しいの かも知れないけど、ココとっても綺麗だと思うよ。私好きだけどなぁ〜……駄目?」
「しょうがねぇなぁ。行きますか?西遠寺一周旅行」
「いいの?」
「ばーか。いいに決まってンだろ。その…未夢となら…さ」
「……馬鹿(///)」
「ほぉ〜らね、西遠寺にだって紅葉スポットがあるじゃない!」
得意そうに未夢が彷徨を振り返る。
未夢の一言で、西遠寺の裏庭は、二人だけの紅葉スポットになっていた。
「はいはい、認めるよ」
苦笑して、まいったとばかりに彷徨が両手を挙げた。
目を合わせ、クスッと笑うと、二人並んで木々を見上げる。
茜色の空に、燃えるような紅の葉を差し出すように立つ楓、黄金(こがね)色の葉を揺らす公孫樹(いちょう)。
「きれいだね・・・」
青空を背景に見る紅葉もきれいだが、夕暮れ時の紅葉もきれいだ。
物悲しさの中に、燃えるような生命力が感じられる。
冬が来れば、その葉は残らず散ってゆく。それでも凛とたたずむ姿に、人は何を重ねて見ているのだろう。
「何考えてるの?」
「未夢こそ、何考えてるんだ?」
「え、私っ? 別に・・・」
「言いたいことがありますって、顔に書いてあるぞ」
「え? うそっ?」
「う・そ」
バ〜カと言わんばかりに彷徨が舌を出す。
「なによっ、人が真剣にお願いしてたのにっ!」
「・・・って、何を?」
「う、だ、だから、その・・・」
「な〜に〜を〜?」
彷徨が未夢の目を覗き込むように、顔を近づけていく。
「だ、だから、来年も・・・」
「来年?」
「彷徨とここで、紅葉を見たいな・・・って思ったから、お願いしてた」
消え入りそうな声で未夢が答えるのを見て、彷徨は自然に顔がにやけてくるのを押さえていた。
「じゃ、約束な。来年もここで見ようぜ。」
「忘れないでよ?」
「なんで忘れるんだよ」
絶対だからね!という目で、未夢は彷徨を見つめる。
やれやれという様子で、彷徨は足元に落ちていた楓の葉を拾うと、目を閉じて何かを口の中で唱え、軽く口付けた。そしてその葉を、今度は未夢の唇に軽く押し当てると、未夢の手に渡した。
「ほら、証拠物件。無くすなよ?」
さらりと言ってのける彷徨とは対照的に、未夢は真っ赤な顔をして、うれしいやら照れるやらで落ち着きがなかった。でも、大切そうに手の中の「約束」を見つめる。
「紅(くれない)色の約束だね」
こくんと彷徨はうなづくと、身をひるがえした。
「さ、そろそろ中に入ろうぜ?」
うん とうなづく未夢の手をとり、歩き出す。
茜色の空、燃えるような楓、そして、ほのかに赤い二人の顔。
(コメント:宮原しゃん)
オチ拾って届けてくれてサンクスですわぁ〜英未しゃん。(笑)
読んだ人で、メルマガ&同好会を見ていない人には判らない身内ネタだよね、これって。(^^;
上のセリフが李帆で、下の小説が英未しゃんになっております。
何気に共同小説だったりします。(へへへ)
私がふと思いついた時に、メルマガに突発煩悩ミニ小説入れてますんで、読みたい方は是非どうぞ〜♪(勧誘勧誘〜)
んでもって、またオチ拾ってやって下さい。(わはは★)
2002/11/24 更新
(2004/11 同盟&同好会移管)