作:英未
「いつか・・・」
受話器を置く前に未夢と交わした言葉。未夢と離れて暮らすようになってから、何度この言葉を繰り返しただろう。
ため息をついて、彷徨は空を見上げた。
眼前には、何も見えない、深い、深い ―――――― 闇。
未夢がいないという寂しさが、「いつか」という望みさえ疑わせる。
「いつか」を繰り返せば繰り返すほど、それは遠く、永遠に辿り着けないのではないか?
希望に満ちたはずのこの言葉が、いつしか絶望に変わるのではないか?
「いつか」を信じて、いったいいつまで耐えればいいのだろう。
(・・・・・ココロガ ヤミニ ノマレソウダ・・・・・)
それでも「いつか」に辿り着くために、先に進まなければならない。
眼前にどんなに深い闇が広がろうとも、未夢と交わした「いつか」を信じて。
(・・・・・闇のむこうに 未夢がいる・・・・・)
ふと気づいて、彷徨は再び空を見上げた。
漆黒の闇に、いつの間にか、月がやわらかな光を投げかけていた。
「いつか・・・」
未夢のやさしい声が聞こえたような気がした。
ある歌からイメージが浮き上がり出来た作品です。
不安=闇、希望(未夢)=月あかりで表現したつもりですが、はたしてどうでしょう?
守りたい人がいるのに傍にいられないもどかしさ。「いつか」という約束を信じてはいるけれど、ゴールが余りに遠くて見えない。さすがの彷徨も不安になるでしょう。でも、未夢が「いつか」と言ってくれる限り、彷徨は強くなれるんです。
「いつか」という言葉は希望に満ちた言葉だと思いますが、自分の弱さにも気づかされる言葉ではないかと思います。
弱さに気づかされたら「いつか」という言葉は闇と変わるかもしれませんが、きっかけさえあれば「いつか」は希望と祈りの言葉に変わるんだと思います。そして自分を励ます言葉でもあると思います。もし彷徨が「いつか」という闇に捕らわれたとしても、未夢の「いつか」という呪文で闇から引っ張り上げられると思っています。未夢は彷徨の闇を照らしてくれる人ですから。
------------------
(以下コメント:宮原しゃん)
彷徨の心がひしひしと伝わったわ!himiしゃん!
男の子でも寂しくなる時があるのよね。それがさ、好きな人ほど尚更…。月ってなんでこんなに寂しく切なくなるんだろうね。この月を見てると思うと尚更恋しくて、会いたくなるんだわ
「いつか」彼らも出会う時が来るのかしら?
きっと近い将来、二人の願いは叶うはずよね!ね、himiしゃん♪