ないしょのお話

ずっと秘密 〜Miyu

作:英未


 
 昨年飛鳥しゃんにお送りした小説を、加筆・修正しました。
 あの頃の私って、こんな小説を書いてたのか・・・(^^ゞ
 
※ヒーロー同好会!&しゃん同盟冬企画「行く年・来る年スクランブルだぁ!パーティー〜こたつでみかん 〜・・・長いちゅーねん!」参加作品(2003年)


「未夢、こんな所で寝てたら風邪ひくぞ」
 
 彷徨の声が聞こえる。ああそっか、私、こたつで眠っちゃってたんだ。
 でも、ここはなんだか気持ちよくて、もう少しだけ・・・・・・

「未夢?」
 
 分かってる。もう少ししたらちゃんと部屋に戻るから・・・・・・



 あ、彷徨の気配が消えた・・・と思ったら、また戻ってきた。
 そっと、毛布かな? をかけてくれた。

(ありがとう)

 そう言ったつもりだけど、声になってない。



 彷徨がため息をついてる。(未夢のやつ、しょうがないな)とか思ってるんだ。 ふふ、見えてなくても、彷徨の様子がよく分かる。


 
 なんか、不思議・・・・・・





 台所で音がする。きっと、彷徨が牛乳でもあっためてるんだ。いいな、私も飲みたいかも・・・・・・
 
 こたつで寝てるとのどが渇いちゃうんだよね。でも・・・眠い・・・・・・





    ◆     ◆     ◆





 少しずつ意識がはっきりしてきた。私、またうとうと眠ってたみたい・・・。
 
 あれ、誰かそばにいる? そっと毛布をかけ直してくれる。



(彷徨・・・?)


 
 ちゃんと声に出したつもりだったけど、寝言みたいになっちゃった。


(・・・あれ?)


 今、一瞬緊張感が走ったような・・・?




「未夢?」



 彷徨の声だ。やっぱり彷徨だ。でも、どうして・・・緊張・・・・・・???



 彷徨、なんだか様子を伺ってるみたい。きっと、私を起こしたのかもって思ったんだね。


 あ、緊張感がやわらいだ。ふふ、安心したみたい。


 今彷徨が何を感じてるのかこんなに分かっちゃうなんて、ほんと不思議。普段は何考えてるのか全然分かんないのに。なんだかやさしい雰囲気・・・

 なんとなく、彷徨が近づいてきたような気がする。気のせいかな? 私、今夢うつつだもんね。でも・・・、彷徨、なんだかためらってるような・・・?





(え?)




 いっ、いまっ、え???



 ・・・あ、彷徨の気配が消えた・・・みたい・・・


 え、え・・・と・・・

 さ、さっき、彷徨、私に・・・・・・

 ・・・キス・・・した・・・・・・???


 ま、まさかね・・・・・・

 でも、なんか、ほっぺに感触が・・・・・・

 あったような・・・・・・





    ◆     ◆     ◆




「えぇぇぇぇぇ!?」



 お、思わず叫んじゃったじゃない!

 だって、こんなにどきどきしてるんだもん・・・・・・
 
 気のせいかもしれないのに・・・・・・




 
 でも、こんなにどきどきして・・・・・・

 不思議とあたたかい気持ちが込み上げてくる・・・・・・





 なんだか、顔が熱い・・・・・・

 気のせいかもしれないのに・・・・・・
 
 うん、気のせいよ!



 でも・・・・・・



 心のどこかで、少しだけ何かを期待してるような気がする。

 明日彷徨の顔を見て、平気でいられるかな・・・・・・





 ・・・・・・や、やっぱり、これは秘密よね

 誰も知らない、私だけの秘密。




 彷徨が気づいてくれるまで・・・・・・



 ずっと、秘密・・・・・・





 
 1年前に書いた小説を手直ししました。
 実はだいぶ前に書棚に入れていたのですが、続き(彷徨サイド)を考えているわりに、なかなか書けなくて、いつ公開しようかと迷っていました(^^ゞ ところが、冬企画用に書きかけた小説が間に合いそうにないので、だったらこれを出品させていただこうかと……
 お楽しみいただければ幸いです。

 最後になりましたが、山稜しゃん、あくあしゃん、冬企画の準備、お疲れ様でしたm(__)m


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