登録した覚えのない小説が、私の書棚にありました(汗) 管理人様曰く・・・「神様のいたずら」(ひぃぃぃぃぃ)←himiの叫び
・・・で、公開する前にちょこっと読んでみました。
「・・・(汗)」 色気もなんもないわ(^_^;)
ついでにあとがきも読んでみました。
「・・・( ̄△ ̄;)」 私は正しかった。「二度とやるかー!」って台詞は、「またやるわよー!」に等しいのだわ(苦笑)
こうして、また恥をさらします・・・(T-T)
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「は〜、いいお湯だった!」
ほっこりして未夢が居間に入ってくる。
「マーンマ!」
彷徨のひざに座って、ルゥがうれしそうに未夢を振り返る。
「あれ、ルゥくん、まだ起きてたの?」
「あいっ!」
「で、ワンニャーは?」
「先に休むって。ま、昨日はクリスマス、今日はオレの誕生日で、買出しやら料理やらで忙しくしてたもんな」
そうだね〜と未夢がこたつに入ろうとすると、ルゥがそれをとどめようと呼びかける。
「マンマ、マンマ」
そして手をバタバタさせている。
「え? 彷徨の隣に座るの?」
「あい!」
しょうがないな〜 と未夢が彷徨の隣に座ると、またもやルゥが注文をつける。
「マンマッ!」
「え? もっとそっちに寄るの?」
ちらっと彷徨を見ると、素知らぬ顔でテレビを見ている。
「マンマ?」
(う、仕方ない・・・)
ためらいがちに、未夢は彷徨に寄り添うように移動する。
「あい!」
そして絵本を読んでほしいと、ルゥは未夢に注文する。
「どうしたの? これ・・・」
目の前には、シンデレラの絵本が置かれていた。
「ルゥにせがまれて、ワンニャーが買ってきたらしい」
「これ、通販星の絵本じゃ・・・」
「ないない。フツーの絵本。さっきも読んだトコ」
「え? じゃ、2回目?」
「いや、3回目」
あ、そう と未夢はルゥを見る。当のルゥは、うれしそうに未夢と彷徨を交互に見ている。その目は「早く読んで」と言っていた。
「じゃ、読むね、ルゥくん」
*****
「・・・『そうしてシンデレラは、王子様と幸せに暮らしました』」
「・・・ルゥ、寝てるぞ」
「あ、ほんとだ。かわいいね〜、ルゥくん」
未夢がやさしくルゥの頭をなでる。そんな様子をまぶしそうに見ていた彷徨が、ふいに口を開いた。
「あの通販星の絵本てさ、物語が終わったところで目が覚めるのかな?」
「物語を体験するんだから、そうなんじゃないの?」
そう答えて、未夢はあの時のことを思い出し、顔を赤くしていた。彷徨も思い出したのか、表情を隠すように口元に手を当てている。
「なんで急にそんなこと思いついたのよ?」
「いや、あれもシンデレラの話だったし、あっちの場合は、結末は体験したやつ次第ってワンニャーが言ってたから、続きが体験出来るオプションでもついてるのかなって・・・」
「う〜ん、どうだろうね〜。でも私たちの場合はちゃんと・・・」
言いかけて、未夢は更に顔を赤らめる。顔を冷やそうと頬に手を当てるが、その手も熱い。
「ちゃんとってことは、『ハッピーエンドでその後も幸せに暮らしました』?」
照れているのか、彷徨は目をあわそうともしない。
「うん。もしかすると、こんな感じかもしれないじゃない?」
そう言って、未夢はルゥの頭をなでる。
「うん、そうかもしれない」
そう言って、彷徨もルゥの頭をなでる。
王子様とシンデレラが寄り添って、二人の赤ちゃんの頭をやさしくなでている・・・。
「試してみれば、分かるけど・・・」
言いかけて、未夢は はっとして口を押さえた。
(やだ、私ったら何言ってるの)
「試して、みようか・・・」
彷徨が未夢の反応を探るように言った。
「え? 試すって・・・」
「あの時の続き・・・」
「つ、続きって・・・、誓いのキス・・・から・・・?」
「その後も幸せに暮らせるのか・・・」
「で、でもっ、あの絵本がないのにどうやって?」
「こうやって・・・」
ゆっくりと彷徨が顔を近づけてくる。
「結末は登場人物次第なんだから、今あの絵本がなくても試せるだろ?」
(ちょっ、ちょっと待ってよ。心の準備がっ・・・)
焦る未夢の心を見透かしたかのように、彷徨が動きを止めて尋ねる。
「もちろん、未夢がいいならだけど・・・?」
「う、い・・・」
「『いい』? 『いや』? どっち?」
うつむく未夢の顔を、彷徨が覗き込む。
「お話の、続き、なんだよね?」
こくん と彷徨がうなずく。
「だったら、私、あの、彷徨だったら・・・」
そうは言うものの、未夢はまともに彷徨の顔を見ることが出来ない。
(お話の続きっていっても、この場合は、絵本の中じゃなくって、実際に・・・)
「未夢」
彷徨の手が未夢の頬に触れる。
彷徨の指がそっと頬をなぞる。
「未夢」
ゆっくりと未夢を上向かせると、そっと彷徨が尋ねる。
「本当に?」
未夢は真っ赤になりながらもやさしく微笑むと、目を閉じた。
(きっとシンデレラは幸せに暮らせたんだと思う。だって、私は、彷徨もルゥくんもワンニャーもいて一人ぼっちじゃないし、それに、今こんなにどきどきして、でもこんなに安心できて、なんて言うか、彷徨がそばにいてくれるのがうれしいもん・・・)
ゆっくりと彷徨の顔が近づいてくるのが分かる。
彷徨の吐息を感じる。
(彷徨・・・)
*****
「パンパ? マンマ?」
ふいにルゥが声をかけた。瞬間、二人はとっさに顔を離した。
「パンパ?」
不思議そうにルゥが彷徨を見る。
「マンマ?」
不思議そうにルゥが未夢を見る。
「どぅ?」
どうしたの?と言いたげに、ルゥが二人を見比べる。
しばらく二人は互いを見ようともしなかったが・・・
彷徨が未夢をちらりと見やる。
未夢が彷徨をちらりと見やる。
目が合って、二人はくすっと笑った。
「彷徨、私ね、試さなくても分かる気がする」
「ああ、オレも分かる気がする」
「うん、今のでじゅうぶん分かった・・・」
(きっと幸せに暮らせたんだよね・・・)
「だから、オレたちもさ・・・」
「うん、だから私たちも・・・」
(幸せに暮らせるよね、こんなふうに・・・)
「ね? ルゥくん!」
「あいっ!」
元気よくルゥが両手を挙げる。
「本当に分かってるのか? ルゥ」
「あいっ、パ〜ンパ!」
分かっているというように、ルゥは彷徨にキスしようと顔を近づけた。
「わーーーーーーーーーーーーー! ちょっと待てっ! ルゥっ!!」
「ルッ、ルゥくんっっ、やっぱり、見てたんだ・・・」
「きゃーいっ!」
元気の良いルゥの返事に、二人はかぁーーーーーっと真っ赤になった。
*****
「・・・まぁ、続きは分かったしっ、もう時間も遅いしっ」
「そうだよね、ルゥくんはもうおねむの時間だよねっ」
「そうそう、早く寝かさないとなっ」
「さぁルゥくん、もうおやすみなさいしようね〜」
あたふたと二人はこたつから出ようとしたが、
「やっ!」
ルゥの一言で、動きを止められてしまった。
「あいっ!」
そしてルゥは絵本を指差す。
「え、また、読むの?」
「ルゥ、おまえ、これで4回目だぞ?」
ためらう二人にはおかまいなしに、ルゥはまた読んでとせがむ。
「・・・彷徨、シンデレラのこと、一部訂正する」
「・・・?」
「シンデレラはね、『幸せに暮らしたんだけど、赤ちゃんに何度も絵本を読んでとせがまれると、ちょっとうんざりだったかもしれません。』」
「へぇ、じゃ、『王子は別にせがまれることはありませんでした。』ってことで、退散な」
「ちょっ、ちょっと、それってズルイ! ダメよ、子育ては夫婦の共同責任なんだからっ!」
「・・・いつオレとおまえが夫婦になったんだよ?//////」
「う、だ、だって、彷徨、さっきキスしようとしたじゃないっ//////」
「そっ、それとこれとどう関係するんだよっ//////」
「だっ、だからっ、今がそのシンデレラの続きだって思えばっ・・・//////」
「・・・未夢にしちゃ、スルドイつっこみだよな」
「かっ、彷徨にしちゃ、めずらしく動揺してるよね」
「・・・・・・」
(あ、なんか図星かも・・・)
くすっ と笑うと、未夢は彷徨をうながした。
「今度は彷徨が読んであげてよ。もし、またせがまれたら、今度は私が読むから、ね?」
ルゥがわくわくした瞳を彷徨に向ける。
「ルゥ・・・」
「ルゥくんがオット星に帰るまでは、私たち、ルゥくんのパパとママだもん」
未夢の言葉に、彷徨はいたずらっぽい瞳で答える。
「『子育ては夫婦の共同責任』だもんな?」
かあーっ と赤くなる未夢を楽しげに横目で見ながら、彷徨はルゥをひざに座らせた。
「さ、読むぞ、ルゥ」
やさしい時間が流れる。
(もしあの絵本で私たちのシンデレラの続きが体験できたら、きっとこんな感じよね・・・)
未夢はそっとやさしい視線を彷徨に向けた。
(私、とっても幸せだよ)
シンデレラの瞳は、そう語っていた。
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いつか書こうと思っていたストーリーです。クリスマスとどういう関係があるのかはつっこまないでいただけると嬉しいな(笑)。『あたたかい記憶』とほぼ同時進行で書いていたので、彷徨が甘いのなんの・・・。「誰やねん、これ。うちの息子はこんなんやなーいっ!」と思いながら書いていました(涙)。話の展開、強引だぞー!と自分でつっこみながら書いているあたり、わりと冷静だったのかもしれない。でも、なんとなく、なりふりかまわず突っ走った気がする・・・(汗)。これも出品するかどうか迷いましたが、まぁいいかと出しちゃいました(笑)。『あたたかい記憶』と『シンデレラのその後』を書き終えた後の感想は、板チョコを1枚全部一気に食べたかのような感じ・・・。つまり、「二度とやるかー!」と思ったんですけどね、自信ないな〜(笑)
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