離れていても

作:ちょび




俺は、絶対に許さない。

俺の大事なあいつを、これからも続いていくはずだった幸せを、

全て奪い去ったやつを、必ずこの手で ・ ・ ・ 。





どうしたんだろう、胸がドキドキする。

イヤな予感が消えない。




そのときだった。

隼人の声が未夢のところに届いたのは ・ ・ ・ 。



『未夢 ・ ・ ・ ・ 。』

「隼人?」



未夢が隼人を呼ぶと同時に、目の前に現れた。

しかし、胸からは血が溢れ、顔面は蒼白になっていた。



「しっかりしてっっ!隼人っっ!!」

「未 ・ ・ ・ 夢 ・ ・ ・ ・。
俺の手を ・ ・ ・ ・ 握って ・ ・そうすれば、全てわかるから ・ ・ ・ 。」

未夢は言われたとおり、隼人の手を握った。
その瞬間、隼人の過去が未夢の中をフラッシュバックして通り過ぎる。



「隼人 ・ ・ ・ ・ あなた、レンにやられたのね。」



その言葉に、未宇は驚く。

未宇の目から見て、隼人が女にやられるような人物にはとてもみえなかったし、女にメチャクチャ弱いというわけでもなさそうだったから。





「何で!?隼人さん、あんなに強そうだったのに ・ ・ ・ ・ 。」

「 ・ ・ ・ ママが教えてあげるわ。たった今みた、隼人の心を ・ ・ ・ ・ 。」





そして、未夢は話し始めた。



今から数十年ほど前に、門番としてやってきた女性がいた。



彼女の名は、ラン。



よく笑う女性で、永い間、門番の守護者として生きてきて、ささくれだっていた隼人の心を、あっという間に癒してしまった。
彼女は、隼人にとって、まさに太陽のような存在だった。



やがて、二人は愛し合うように ・ ・ ・ 。

だが、それも彼女が門番の座を退いたことで、終わりをつげる。



時が流れ、転生して、水木レンという人間になって、彼女は変わった。



大切なものを守るためになら、どんな非道なこともできる人間になってしまった。
あの頃のランならば、自分の目的のために、何の関係もない未夢を殺すなんてできなかっただろう。




しかし、レンになった彼女にとっては、そんなことはささいなことにすぎず、かつてあれほど愛し合っていたはずの、隼人の命を奪うことさえも、なんのためらいもみせなかった。




全ては、愛しい姉の命を助けるために ・ ・ ・ ・ 。




「頼む、未夢。 あいつを止めてくれ。
 ・ ・ ・ ごめん、俺にはあいつを倒すことができなかった。でも、おまえにならできる ・ ・ ・ 。」


「ちょっと、何言ってるの!?こんなケガなんか、すぐに ・ ・ ・ ・ ・ 。」

「いや、だめだ。レンの持っていた剣は、特殊な文字が彫ってある霊剣だ。
 ・ ・ ・ あれでやられた以上、もう、俺は ・ ・ ・ ・ ・ 。」


そっと、隼人は未夢の手を握る。

「たとえ、姿は変わっても、ずっとそばにいる。
おまえが、たとえ一緒にいることはできなくても、西遠寺くんや未宇ちゃんのことをずっと、思い続けているように ・ ・ ・ 。」


じょじょに、隼人の体が消えていく。





うそでしょ?

消えないで、わたしを一人にしないで。

隼人 ・ ・ ・ 。





「いや〜〜〜〜!!!」





やがて、隼人が消えた後に、銀色のブレスレットが残った。



「隼人、形を変えて、そばにいてくれるの?」





未宇がブレスレットを拾い、未夢に渡そうとしたときだった。





「 ・ ・ ・ ・ 待たせたな。最後のイケニエをもらいに来た。」

「本条、レン ・ ・ ・ ・ ・ 。」

間髪入れずに、レンが未宇に襲い掛かる。








「しまった!未宇 !!」
レンの剣が、未宇の喉元に突き刺さろうとしたときだった。





「ぐっ!」
隼人の遺した光陽剣が、レンの腹部を貫いた。








「くっ ・ ・ ・ 隼人 ・ ・ ・ 姉さんを殺しただけじゃなく、まだ、邪魔を ・ ・ ・ 。」

「レン!」

本条がレンに駆け寄る。




「義兄さん。絶対に、姉さんを助けてね ・ ・ ・ 。はあっ!」

レンは持っていた剣を、自分の胸に突き刺し、自らの心臓を抉り出した。




「 ・ ・ ・ わたしも、かつては門番だった。これで、おねがい ・ ・ ・ ・ 。」

「わかった。」

本条が、持っていたスーツケースを開けると、そこには未夢を含む、今までの犠牲者たちの心臓が入っていた。

「どうやって、門に行く気?門に到達しなくては、悪魔を解放できないのはわかってるでしょう ?」

「それなら、心配無用。」
「!」

そこへ、二つの影が現れた。


一人は、彷徨。もう一人は、同僚の小林。


「未夢?これは一体 ・ ・ ・ 。」




にやっと、笑い、本条が叫ぶ。

「いいか、よく聞け!お前の女を殺して、心臓を奪ったのは 私だ!くやしいか?だったら、私を殺してみろ!」








今から、遡ること、数時間前。


「おーい、西遠寺。小林。部長が呼んでるぞ。」

二人は、そろって 部長のデスクに向かった。

「なんでしょう?」

「取引先の、社長秘書から連絡があってな。
今、西遠寺という寺にいるらしいんだが、ちょっと、そこの社長が観光してにたいらしくて。
すまんが、きみたち、相手をしてくれないか?」

「わかりました。」








「 ・ ・ ・ それで、ここに来たんだが ・ ・ ・ ・ 。」



彷徨が、抑揚のない声でつぶやいた。


「 ・ ・ ・ 本当に、あんたが犯人なんだな?」


「だめ!人を殺したら、死後、地獄に堕ちてしまう。お願いよ、殺したりしないで!」





ドスッ!





本条を、落ちていた剣で貫いた人物がいた。





「小林!」

「 ・ ・ ・ 俺は、最初に殺された、更科真央の恋人だ!ずっと、探していたんだ。
たとえ、地獄に堕ちてもい。俺から、全てを奪ったやつを、この手で倒すと心に決めて ・ ・ ・ !」



そして、本条は息絶えた。

だが、これで終わったのだはない。







これから、始まる。本当の戦いが ・ ・ ・ 。






続きます


ちょびです。

しょうこりもなく、また書いてしまいました。
この話しも、あと1,2回で終わる予定です。
がんばって、書きますので、どうぞよろしくお願いします。
こうなったら、最後まで書いていきますよ〜〜。

スカイ・ハイも、新シリーズが始まったことだし、よろしかったら、
今度見てみてください。
おすすめですよお〜〜(^ー^)
それでは、このへんで失礼します。


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