作:ちょび
注:未夢が死ぬところから始まりますので、その辺ご理解いただいてからお読みくださいねvv
どうか、忘れないで・・・・・。
たと え触れ合うことができきなくても、
魂がどこにあろうとも、わたしはあなたを、
そして未宇を愛しています・・・・・。
「西遠寺さん、外線2番にお電話です。」
「電話?マルミネ産業さんから、何かクレームでも言ってきたのかな?」
「いいえ、違いますよ。ご自宅からだそうです。奥さんじゃないんですか?」
そう、課の女子社員は言うと、くすくす笑いながら、電話を取ってくれた。
「もしもし、未夢か?なんだ、未宇か。・・・・・?どうした?何っっ!未夢が、死んだ?」
それは、娘の未宇からの電話だった。
『ママが、ママが、死んだのっっ!お願い、パパ、今すぐに帰ってきて!』
その言葉を聞いた瞬間、俺は足元から世界が崩れていくような感覚に陥った。
真っ青な顔で、今にも倒れそうな俺に、部長や、同僚たちは、とにかくすぐにかえるようにいった。
タクシーの中で、これが悪い夢であることをひたすら願って、未夢がいる平尾町病院に向かった。
しかし、その途中で、大変なことに気づいた。
俺の携帯に、留守電が入っており、それは未夢の最後の言葉でもあった。
『か ・ な ・ た・・・・・・。たすけ・・・て。わたし、まだ、死にたくな・・・・い。若い男女の二人組みに、おそわれ・ ・て ・ ・ ・。』
そこで、最初のメッセージは一度途切れて、その10分後に、もうひとつのメッセージが入っていた。
『ごめんね、わたし ・ ・ ・、もうだめみたい。
おね ・ ・が・ ・ ・い、どうか、未宇を守ってね。
そして、わたしのことは忘れて、いい人をみつけて。
そして ・ ・ ・これだけは忘れないで ・ ・ ・。
たとえ、もう二度と触れ合うことができなくても、どこに魂があろうとも、わたしはあなたを愛してる。
・ ・ ・ 決して、わたしの後を追ったりしないで。やくそ・ ・ く ・ ・ よ。」
それを聞いた瞬間、数時間前のことが思い出された。
『おーい、西遠寺。今日は、会議だってよ。』
『そうか、それじゃあ携帯の電源は切っておかなくちゃな。』
俺が、電源を切ってさえいなければ、未夢は死なずにすんだかもしれないのに ・ ・ ・。
ごめん、ごめん。未夢 ・ ・ ・っっ!!
そして、20分後に着いた病院で俺は、未夢に会った。
もはや、息はなく、元から白かった肌は青白くなり、唇も紫色に変わっていた。
そして、死体安置所の前には刑事らしき男たちがいた。
「西遠寺さんですね?わたしは捜査一課の武田といいます。奥さんは心臓をぬきとられ、亡くなられたものと思われます。実は、二週間ほど前から、同様の事件が二件起きており、同じく心臓を奪われておりました。最近、奥さんに変わったことはありませんでしたか?妙なやつにつけられているとか」
「 ・ ・ ・わたしの携帯に、妻の最後の声が入ってました。二人組みの男女に殺されると ・ ・。」
そう言って、電話を二人の刑事に聞かせると、電話を警察に、提出するように言われた。
「・ ・ ・待ってください。せめて、その前に妻の声をテープに吹き込んで、娘に聞かせてやりたい。少し、待っててもらえませんか?」
すると、刑事たちは快くそれを承知してくれた。
だが、気になることも言い残していったのだった。
『 ・ ・ ・ですが、奥さんの言葉をきかせると、お嬢さんは、あなたを恨むかもしれませんよ?これを聞くかぎりでは、あなたがもっと早くにこの電話をきいていれば、助かっていたかもしれないと ・ ・ ・。』
それでも、未夢の最後の思いを、伝えてやらなければと思った。
どんなに罵倒されもいい、でもあいつの心を伝えないと絶対に後悔する。
・ ・ ・だが、俺の予想に反して、未宇は俺を責めたりはしなかった。
『・ ・ ・パパのせいなんかじゃないよ。
だから、自分を責めたりするのはやめて?そんなんじゃ、ママも悲しむよ?
・ ・ ・でも、どうして?なんでママが殺されたりしなきゃならんかったの?
ママは、いつもやさしくて、いっつも人の心配ばかりしてて ・ ・ ・。
殺されるようなこと、なにもしてないじゃない!』
そう言って、なき崩れる未宇を、ただ抱きしめてやるしかできなかった。
・ ・ ・未夢、どうして殺されたんだ?心臓を抉り出すなんていう、残酷な方法で!
そのときの俺たちには、この悲しみを乗り越えることで精一杯で、これが、恐ろしい事件の始まりにすぎないんだってことに、まだ誰も気がつくものはいなかった ・ ・ 。
そのころ、東京に本社を構える、ある大企業の一室では、恐ろしい相談がなされていた。
「これで、やっと3人目の心臓が手に入ったわね。次のターゲットは?」
「ふふ ・ ・驚くなよ。この間殺した女の、娘だ。名前は、西遠寺未宇。」
「へえ ・ ・ ・。」
女は、特に驚きもせずに、つぶやいた。
「決行日は、いつ?」
「2週間後。」
沈黙が、あたりを支配する。
そのころ、空の彼方。
『うらみの門』と呼ばれるところでは、二人の女と一人の男がなにやら相談をしていた。
『 ・ ・やはり、やつらの狙いはこの門に封じられている悪魔を呼び出すことらしい。
本来なら、現世のことには関われないが、今回だけは別だ。
悪魔が復活してしまば、この世もあの世もめちゃくちゃになっちまう。
・ ・仕方がない、現世にいって、次に殺される子を助けるか。未夢。」
そこにいたのは、殺された未夢だった。
彼女のいるのは、うらみの門。
殺されたり、事故で死んだ魂に 門番が三つの選択を迫り、その行く先をきめるところ。
未夢が死んだとき、前任の門番だった少女が天国へと行ってしまったために、次の門番になることになってしまった。
「 ・ ・ それで、あなたはどうする?天国に行って、再生のための準備をする?それとも現世の人間を一人、呪い殺して地獄に行く?それとも、現世に霊となって留まる?」
少女は、天国に行くことを選び、扉の向こうの世界へと旅立っていった。
「 ・ ・さあ、いきましょう。隼人。手遅れにならないうちに。」
「はいはい。俺は門番を守るものだからねえ。お供いたしましょう。」
戦いが始まろうとしていた。
はたして、未夢は隼人とともに敵を倒すことができるのだろうか ・ ・ ・ ・。
・ ・つづきます。
はじめまして、ちょびと申します。
この間みた、スカイ・ハイという映画に触発されて書いてしまいました。
だあ!だあ!だあ!の設定で、中身は映画のパクリです。多少はアレンジしてありますが ・ ・ ・。
サラリーマンの彷徨が少ししかでなくて、すいません。
よろしければ、感想などください。
ひまができれば、そのうち続きをおくります。