(タイトル不明)

作:ちょび



「西遠寺さん、お帰りですか?あの、 よかったら、お食事でも ・  ・ ・ ・ 。」



顔を赤らめながら、女性社員が西遠寺と呼ばれた青年に話しかける。
そんな彼女に、申し訳なさそうな顔をして、彼、西遠寺彷徨は答えた。



「悪い、北野。今日は、先約があるんだ。」

「いえ、いいんです。それじゃ、また今度。」
ちょっと、ばつの悪そうな顔をして、 彼女は足早に帰っていった。


「あ〜〜あ、かわいそうに。それにしても、こんな男のどこがいいのかしらね〜〜。彼女。」


いきなり、物陰から出てきて、急に彷徨にからんできた少女。
彼女の名は、西遠寺ももか。彷徨の妹。
彷徨よりも、いくらか明るい茶色の髪に、大きな茶色い瞳の美少女で、口は悪いがとても兄思いの女の子だ。

「なんだよ、こんな男って。」
「だって、そーじゃない。
会社では、 仕事もできて、女子社員に人気ナンバーワンなんて言われてるけど、実は、お隣の中学生に片思いしているロリコン男だもんね ?」

「あのなー、俺は、中学生が好きなわ けじゃなく、あいつが、未夢が好きなだけだ!」


俺、西遠寺彷徨は隣に住んでいる、幼馴染の光月未夢に片思いしている。


未夢は、金色の長い髪に、大きな緑の目の美少女で、最初は かわいい妹のようにしか思っていなかったのが、いつのまにか  ・ ・ ・ その、恋愛感情が芽生えてしまった。
そして、今に至るわけだが ・ ・  ・ ・ 。


「せっかく、ひな祭りのお祝いに呼ばれているんだから、いっそ、 告白しちゃえば?」
「できっかよ・ ・ ・ 。俺は19 歳の社会人、あっちは14歳の中学生だぞ?
あいつが、恋愛対象にみてくれるわけねーよ。」


(そうかな?未夢ちゃんのほうでも、 案外 ・ ・ ・ ・ 。) 「ふ〜〜ん、でもさ、好きなら言っちゃったほうがいいと思うよ? 未夢ちゃん、あんなにかわいいんだもん。他の誰かにとられちゃうんじゃない?」


ピクっ、と彷徨の額に青筋がみえる。



(ほかの奴に渡すくらいなら、いっそ  ・ ・ ・ 。)

「お〜〜い、なんか危ないこと考えてるんじゃないでしょうね。 やあよ、身内から犯罪者を出すのは。
さっさと、告白して、玉砕しちゃえば ?」



そんなことを話しているうちに、西遠寺家に到着。
急いでラフな服に着替えて、ももかと彷徨は光月家の門をたたいた。


「は〜〜い。いらっしゃい、彷徨おにいちゃん、ももかおねえちゃん。」
ドアが開いて、中から未夢が顔を出した。

「おまねき、ありがとう。遠慮なく来ちゃったよ。」
「えへへ、うれしい〜〜。実はね、 せっかくのひな祭りなのにパパたちが急なお仕事で行っちゃって、寂しかったの。こんな時間じゃ、友達を呼ぶわけにもいかないし ・ ・ ・
あ、も しかして、おにいちゃんは用事があった? ・ ・ ・ デートとか。」

とたんに、寂しそうな顔をする未夢。



ばか、そんな顔するなよ。 デートなんてするわけないだろ?
俺が好きなのは、おまえなんだから。



「あ〜〜、ないない。こんなデリカシーのかけらもない男にデートの予定なんてあるわけなーい!
それより、早くひな祭りのごちそう食べましょ。もう、おなかすいちゃったよ。」


二人を茶の間に通すと、未夢は台所に姿を消した。


「ももか ・ ・ ・ ・ 。」
「あら、怒った?いじゃない、本当のことなんだから。」


10分後、ごちそうを並べ終えて、お祝いが始まった。
ちらし寿司に、鳥のからあげ。ポテトサラダにかぼちゃの煮つけ。それに、フルーツ・ポンチ。


楽しく、お祝いをしていた三名だが、 少しして、未夢の様子がおかしいことに気づいた。


息が荒く、顔もこころなしか赤い。


「お、おまえ、酒のんだのかっ?」
「え〜〜?ジュースだよお〜〜。」

だが、未夢の症状は、どう見ても酔っ 払いの症状だし、そのそばには『白酒』とかかれたビンが転がっていた。

「あたし、お水持ってくる!」
「ああ、たのむ・ ・ ・ 。たく、 中学生が酒なんか飲むなよ・ ・  ・ ・ ・ 。!!!!!」




いきなり、未夢が彷徨に抱きついてきた。




「お、おい、未夢 ・ ・ ・ 。」
「お兄ちゃん、だあ〜〜いすき。 ちゅ。」
酔っ払った未夢が、彷徨の唇にキスを した。




(未夢 ・ ・ ・ そんな顔で、そ んなことをされたら、俺は ・ ・   ・ ・ ・ 。)

酔っているせいで、潤んだ目、ほんの り赤い頬がなんとも色っぽい。




思わず、手を伸ばしてキスしようとしたとき・ ・ ・ 。







「なあ〜〜にしてるのかな?」







そこに、水を汲んできたももかが立っていた。

「いや、その、ち、違うんだ。」
「言い訳無用!こんな狼を未夢ちゃんのそばにおいておくわけにはいかないわ!
さ、未夢ちゃんのことはわたしにまかせて、おにいちゃんは退場!」

言い訳もむなしく、彷徨は強制的に西遠寺家へ強制送還となっ た。



そして、その夜は未夢の唇の感触を思い出して、なかなか寝付けない彷徨。



翌日、大あくびをして、会社で課長に散々お小言を食らう彷徨だった。

そして、その後2,3日は、ももかによって未夢と二人きりになることを阻止されてしまうのだった。




(はあ、こんなんで、未夢に告白なん てできるのか?俺。)




おわり


社員No.42のちょびでございます。
なんとなく、ひな祭りのお話しを書いてみたかったんですけども、 まとまりのない話しになってしまいましたね。
ももかちゃんに色々からかわれてたじたじの彷徨も書いてみたかったんですが、いかがでしたでしょうか?
もし、おかしなところがありましたら、管理人さまの判断で修正してください。 全ておまかせしま〜〜す。
それでは。

ちょびより


[戻る(r)]