あの子

作:ちょび



俺は、西遠寺彷徨。平尾町にある西遠寺医院の二代目だ。

今、俺には気になっている子がいる。

相手は、俺の幼馴染で、ご近所に住んでいる 光月未夢。

彼女は、どう思っているのかは知らないが、最近は未夢の顔を見ていると、むしょうに抱きしめて キスしたくなってしまう。

でもなあ、相手は18歳。 俺は、26歳。
一歩間違えたら、犯罪じゃないか ・ ・ ・ ・ ?




「先生。 ・ ・ 西遠寺先生!!!」
「え ・ ・っっ!! うわあっっ!」




驚いて 振り向くと、そこにはたった今 頭の中を占めていた女性・光月未夢が俺の目の前に立っていた。

俺の不審な態度になんか勘違いしたらしく、愛らしい顔をプクッとふくらまして、文句を言った。

「 なによ!彷徨おにいちゃんてば、わたしの顔を見て、そんなにびっくりすること ないでしょ!どうせ、へんな顔ですよーだ!」

未夢の台詞に、自分の気持ちがばれていないことに安堵しながらも、ついつい思っていることとは逆のことを言ってしまう。

「そりゃまた失礼。別に変な顔だなんて思ってないよ?ただおもしろい顔だなーって、思ってるだけで。」

「なによ、ばかーっっ!!」

そんな二人に、看護婦のななみが割ってはいる。

「まあ、まあ。先生、未夢ちゃんは診察を受けに来たんですから、早く診てくださいな。少し、風邪ぎみらしいんですよ。 
あ、未夢ちゃん、前を開けてくれる?」

「はーい。」

そう言いながら、ブラウスのボタンを
はずしていく未夢をみて、呆然とする。


「///おっ、おい。風邪ぎみなだけ
なら、薬をだしておくから・ ・ ・。」

「なに言ってるんですか。ちゃんと診察してあげないと、他の病気っていうこともあるかもしれないじゃないですか。」

「で、でもなぁ ・ ・。」

「大先生も、学会に出張でいらっしゃいませんし、黒須先生も光ヶ丘先生も手が離せないんですから、覚悟を決めて 診察してください! ・ ・でも、へんなことはしないでくださいね?」

言われた瞬間、彷徨の顔が真っ赤になる。 
しかし、二人の会話がよく聞こえなかったらしい未夢は、
首をかしげて不思議そうに二人を見ていた。

彷徨にとっては、未夢のそんなちょっとしたしぐささえも愛しくて仕方がないのだ。


(か、かわいい ・ ・ ・。)


聴診器を、未夢の胸に当ててみる。す
ると、未夢のトクントクンと

いう規則正しい心臓の音が聞こえてくる。

(未夢の胸、意外と大きいんだな ・ ・ ・。触ってみたら、やわらかいんだろうな ・ ・ ・ ・。)

「先生?犯罪者にはならないでくださいね?」

そのとき、ななみの言葉にぼんやりと
していた頭が急にはっきりとした。

「え?犯罪者って?」

あいかわらず、なにも気づいていない
未夢がのんびりと聞いてきた。

「い、いや、なんでもないよ。やっぱり、少し風邪気味なだけみたいだから、総合薬をだしておくよ。一週間してもだめなようだったら、また来てくれ。」

「うん。わかった。 ・ ・ねえ、もうひとつだけ言いたいことが相談したいことがあるんだけど、いい?」

「 ・ ・ ・?」

少し、疑問に思いながらも、俺は了承した。

「 ・ ・あのね、わたし好きな人がいるの。」

その瞬間、診察室内の温度が5度は下
がった。


好きな人 ・ ・ ・?誰だ?学校の奴か ・ ・?クソっ、こんなことなら、もっと早く気持ちを伝えておけば ・ ・ ・ !


「 ・ ・ ・ 彷徨おにいちゃんのことが、好きなの。
お願い、恋人にしてっっ!」

「 ・ ・ ・。」

反応しない彷徨に、未夢が顔を歪めて
泣き出すと ・ ・ 。

「 ・ ・ もう、情けないなぁ。先生、未夢ちゃんに返事したらどうですか? ・ ・あーあ、だめだこりゃ。脳の回路がショートして、動かなくなってるわ。」

仕方なく、ななみは彷徨の整った顔を
2,3発殴りつけた。

「目が覚めました?」

「ああ、サンキュ ・ ・ ・ 。未夢俺も、お前が好きだ。
恋人になってくれるか?」

「うん!」

ぱあっと、花が咲いたような笑顔を向けると、彷徨に抱きついた。

「やっと、くっついたか。しかし、こんなんで、西遠寺医院は大丈夫なのかねえ ・ ・ ・。」

そんな、ななみのつぶやきをよそに、
二人は幸せの真っ只中にいた。




<おまけ>


「なあ、俺のことが好きなのに、
よくおれに胸を見せられたよな。」

そんな彷徨に返ってきた答えは ・ ・ ・ 。

「え?だって、診察でしょ?」

だった ・ ・ ・ 。


そういう奴だよな、おまえは ・ ・ ・ 。



おわり


はじめまして、ちょびと申します。

しょうもない文章ですけど、書きたくなって、
書いてしまいました ・ ・ ・ 。

読みずらかったり、何か不都合があった場合には、
管理人さまのほうで、修正お願いします。
そのときの判断は、管理人さまに
おまかせしますので ・ ・ ・ 。

それでは、よろしくお願いします。




ちょびより


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