メッセージは風にのって 作:坂下あみ
  〜Birthday present〜


"その"人が生まれてきた事に感謝して、
素直にお祝いしてあげよう・・・・・・・・。



今日は、ルゥのの誕生日。
ルーナは、13日続けてルゥの誕生日プレゼントを寝もしないで作っていた。
何故、途中で諦めないのか?
それは、自分の弟を大切に育ててくれた、未夢と彷徨へのお礼でもあったからである。


13日前、学校で・・・・
「ルーナさん、貴方は、この学校を卒業したら、何をしますか?」
進学について授業の時間をつぶして、ルーナの担任教師は生徒に一人一人尋ねて回った。
 そのまま、この学校のもっと上のレベルに進む者。
 社会に出て、オット星の為に仕事をする者。
そして、ルーナは・・・
「地球に・・・行きます。」
短く、そう答えた。
「「え〜っっ!?」」
周りからは、驚きの声。

ルーナは、この学校で成績第一位。
他の星の魔術学校へ進学したらどうか?という誘いまで来る様な優等生。
けれど、何百億光年も離れた地球に行くには、そうとうの力が必要だ。
命を危険にさらす事にもなる。

―その夜。
「ルーナ、一体どういう事なんだっ?!」
ルーナは、父と母の部屋に呼び出され、正座させられた。
学校から連絡が入ったのだ。

父親にしてみれば、一人娘が、命を危険にさらす事になるのだ。
黙っているはずがない。
けれど、母の方は、ルーナを信じて、こう言った。
「ルーナ、貴方が地球に行くのには、理由があるんでしょう?」
ルーナは、返事が見つからず、とにかく、コクリと頷いた。

「理由があるならいいじゃない。ただし、私は何も手伝わないから、すべて自分の手でしなさい。ワンニャー、ルーナの手伝いを少しだけしてあげて。」
隣にいたワンニャーが自信たっぷりに、
「はい!ルーナ様の身の周りのお世話は、この有能なシターペットのワンニャーにお任せくださいっっ!!!」




そう言って、無理に地球行の許可を得たのだ。
いまさら、後には戻れない。
それに、戻りたいとも思わないのだ。

ルゥへのプレゼント。それは、薬。

薬と言ってもただの薬ではない。
この薬の調合の成功率は、3%もないのだ。

この薬の効果は、瞬間移動である、どんな遠距離でも、一瞬でそちらに行くことができる。
けれど、調合方をまちがえたら、時刻の底まで真っ逆さま。
材料も貴重品で、本当に必要な時まで、実験もできないのだ。

今、ルーナはその薬の最後のしあげをしていた。
「毒蛇の舌、月光草、地球人・オット星人・ペポ星人の血・・・と」

「ルーナ様。完成ですか?」
ワンニャーが横からそっと聞いた。
「ええ。これで完成よ。私は、この薬を作って、ルゥを彷徨さんと未夢さんに合わせてあげたくて、魔法学校に行ったのだから。」

そう言って、ルーナは薬を鍋から小ビンに移し変えている。

「ルーナ、ワンニャー!そろそろパーティー始めるわよ。」
母の声。
「は〜い!」
ルーナは元気を振り絞って返事をした。
ワンニャー、行くわよ。
ルーナはパーティー会場へ向かって走った。
4本の小ビンを持って。






〜パーティーのプレゼント渡し〜
「はい、では!お待たせしました〜!
次は、ルゥの姉、ルーナさんからのプレゼントです。」
司会で、ルゥの幼なじみ、メアリー。
彼女は、まだルゥが地球に旅立つという事を知らない。

「やっほ〜♪
ルーナです。
今年のルゥへの誕生日プレゼントは、私とワンニャーが命を賭けて作った
高級品です!
なんとっ!!地球旅行ご招待〜薬です。」

一瞬の沈黙・・・。
「えぇ〜っっっ!!!????」
誰よりも一番驚いて大声を出したのは、ルゥ本人だ。

「この薬を飲めば、瞬間的に地球へ移動できるわ。
もちろん、私も、ペポもワンニャーも一緒よ。ルゥ、どうする?」
ルーナは冷静に心を落ち着かせて、返事を待った。

ルゥは迷った。
その時、
「ルゥ〈君〉!」
という、もう一人の両親が自分を呼ぶ声が聞えた。
その声は、無敵の呪文。


「行く。行くよ!地球へ!」
ルゥはにっこりと笑いながら答えた。






「ルゥ、気をつけてね。」
「行ってらっしゃい、ルゥ。」
「絶対に帰ってきてね。」
「俺をおいてあの世になんか行ったら、一生許さねぇからなっ!」

ルゥは、友人達に微笑んでから、小ビンの薬を飲んだ。

"パチン"その音だけをオット星に残して、
ルーナ、ルゥ、ワンニャー、ペポは地球へと旅立っていった。




                      〜第三話へ続く〜

あちゃ〜、おいおい、そんな薬ってあっていいのかえぇ〜?
しかも、それが誕生日プレゼント!?
駄目だ・・・。胃が痛くなってきた・・・。
うぅ〜〈涙

今度から私、小説を書く前には、胃薬を用意しておいた方がよさそう・・。
げほごほ



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