作:しーば
前回の「逆チョコ」の続編ですから、「逆チョコ」を読んでいない方、いらっしゃいましたら、そっちを先に読んでください。
そうしないと・・・{{{{( ▽|||)}}}}ぞぉ〜〜〜〜〜
やっと彷徨に私の想いを伝える事が出来た。
彷徨は「ありがとう」と笑って私の頭を撫でてくれている。
「なあ、未夢のチョコ食べても良いか?」
彷徨が私のチョコを見ながら聞いてくる。
「うん。だけどかぼちゃの形にするのが難しくて、汚くてごめんね」
彷徨が箱から私のチョコを取り出し、一口だけ食べた。
「味は、大丈夫かな?」
「ああ、大丈夫だ。上手いよ」
そう言って微笑んでくれる彷徨。
今のこうしてる時の事を幸せって言うんだよね・・・。
「でも、どうして私のチョコを彷徨が持ってたの?」
「ああ、それは三太のお陰かな」
彷徨から三太君と公園に行って、チョコを貰った時にさっきの先輩達が来て
三太君にチョコを渡し、三太君がそれを開けて
私から彷徨へのチョコだと言う事に気づいて、彷徨に渡した事を説明してもらった。
「だけど、こんな形になったから・・・今の俺達が居るんだよな?」
そう言って私を見つめてくる彷徨。
「うん」
さっきまで彷徨とキスしてたのに、なんだか恥ずかしくて彷徨を直視できない。
私は視線を泳がせる。その視線が私のチョコの隣にあるチョコの箱を捕らえた。
「ねぇ?このチョコって誰から貰ったの?」
テーブルの上に積み重ねられたチョコとは別に、一つだけ置いてあるチョコ。
もしかすると、彷徨の中では特別のチョコなのかと気になってしまう。
「これな・・・俺が作ったチョコ」
彷徨が少し照れたように答えてくれた。
「え?ええええー!」
驚いて思わず叫んじゃった・・・。
彷徨っていつの間にこんなチョコ作ったのかな?
あっ、そうか。
私がチョコを作った時に、彷徨が後片付けをしてくれた時
チョコの材料が明らかに少なかったのは、彷徨が作ったからなんだ・・・。
夜のチョコレートドリンクも美味しかったから、このチョコも美味しいんだろうな。
「でも、どうして彷徨がチョコなんて作ったの?」
すると、彷徨は照れながらこう答えてくれた。
「最近三太が、逆チョコ逆チョコって煩くてさ、お前も作れ作れて言われて
チョコ箱の買い物まで付き合わされて、その時におまけで箱一つ貰ってさ
それと、未夢が置きっぱなしにしてた手作りチョコの雑誌読んでさ・・・
まあ、気まぐれで作った///」
・・・うわぁ〜彷徨が照れてる・・・凄く可愛い!
私はニヤニヤしながら彷徨を見る。
彷徨はごまかすようにそっぽを向く。
えへへっ・・・なんだか、こんな彷徨を見てると楽しい・・・。
ちょっと悪戯しちゃお。
「じゃあ、逆チョコって事は・・・誰にあげるものだったの?」
「んなもん、分かってるだろ・・・未夢の為に作ったんだよ」
ふてくされる彷徨。えへへ・・・駄目っ・・・彷徨可愛過ぎ!
「じゃあ、食べちゃても良いの?」
「いいから早く食べてくれ」
彷徨が箱を開けると、中にはシンプルで小さなチョコが入っていた。
「では、頂きます」
その一つを食べてみる・・・はぁー、彷徨は凄いなチョコ作り初めてのはずなのに
こんなに美味しくできるなんで・・・私のなんてトホホ・・・。
「ん?どうした?もしかして不味かったか?」
「ううん、逆で凄く美味しくてビックリしちゃって、やっぱり彷徨は凄いね」
「へ〜、美味いのか・・・」
彷徨が妖しく目を細めて
「実はさ、まだ味見してないんだよな」
ニヤリと笑った彷徨の口が、私の口が捕われる。
向こうから舌が入って来て、私の前歯にぶつかる。
上から右へ回り込み、今度は下を通って左へと進む。
何度か回られた後に、上前歯と下前歯の隙間をグイグイと押してきた。
私は抵抗出来ずに開き、舌を絡められる。
いったいどれぐらいの時間がたったんだろう・・・何も考えられずに全てを彷徨に任せた。
開放された時、私はどんな顔で彷徨を見ていたんだろう・・・。
「本当に美味いな」
彷徨のその言葉を聞いた後、彷徨のチョコをもう一つ口に入れてから
「ねっ、彷徨・・・もっと味見してよ・・・」
と、ねだってしまう。
彷徨はちょっとだけ驚いた顔をしたけど、すぐに私を見つめてくれて
「全然食べ足りない」
と、私の口の中にあるチョコの味見を始めた。
私達の口の中で移動するチョコ、彷徨の所に行けば私がそのチョコをゆっくりと追いかける。
見つけたチョコを舌で手繰り寄せて私の口へ戻すと、一緒に彷徨の舌も入ってくる。
それを何度も繰り返し、チョコが消え、お互いの口の中のチョコが無くなるまで舌を絡ませて。
無くなったら次のチョコを口に入れて、その行為を繰り返した。
最初は甘く感じていたチョコの味が段々と分からなくなり
味覚とは別の感覚が身体中を支配する。
彷徨が作った最後のチョコが無くなった時、もうこの感覚を抑える事は出来なかった。
唇を離してくれた彷徨に目で訴え、彷徨に抱きついてそのまま仰向けになった。
彷徨は一瞬戸惑っていたのかもしれない。
私が言った言葉に対し、聞き返してきたけど。
「彷徨じゃないとっ・・・駄目だからっ」
本当に、ずっと前からこの時の事を考えていたの。
いつか彷徨と・・・って。
それを思ったら、何故だか涙が出てきて・・・泣いてしまった。
どうして、泣いているのか分からないけど
頭の中は彷徨の事で一杯になってた。
彷徨が心配そうな表情をして優しく頭を撫でてくれる。
「大丈夫か?」と優しく気遣ってくれる。
違うのそうじゃないの。
「ううっ、違う・・・よ、そうじゃないよ・・・。彷徨が好きなの・・・」
「大丈夫だ、俺も未夢が好きだから」
仰向けになった私の上に居る彷徨が私をぎゅっと抱きしめてくれる。
私は彷徨の首に両手を回して、彷徨を抱き返した。
「あのね、さっきまでの私は彷徨の事を諦めていたの。あと一ヶ月で私達は中学校を卒業して、私は私の家に戻って向うの学校に進み、彷徨とはもう少しで離れ離れになる。そうなる前に彷徨を好きだって気持ちを整理しないと駄目だって考えてて、そこで今回のバレンタインで私が彷徨を好きって気持ちをチョコに込めて、彷徨に私からのチョコだって気づかれない様にこっそり渡しておいて、はぁー。彷徨に気持ちは伝えたけどやっぱり駄目だったよー。ってなるはずだった」
「前に彷徨に告白したい。って何度も思ってた。だけど、その度に・・・彷徨にはきちんと好きな人が居て、私はただの同居人。想いを伝えた所で、叶う訳も無い。
それよりも、それが原因で彷徨とのこれまでの関係が全部壊れてしまいそうで恐かった。
それからは、彷徨と普通に話せなくなって、彷徨に避けられ、彷徨の好きな人に申し訳ない気持ちになって、私はきっと耐えられなくなる。それだったら、私の気持ちなんて伝える必要なんて無い。これまでと同じ関係で居続けて、卒業式で彷徨にさよならを言えれば良かったって・・・そうっ思って・・・いたのっ・・・だから、今、彷徨とこうなった事が幸せ過ぎて、信じられなくて、嬉しいのに・・・どうしてこんなに涙が出ちゃうんだろう・・・」
私が彷徨の前でこんなに泣いたのはこれが始めてだった。
私が落ち着くまで彷徨はずっと抱きしめてくれていて、優しい瞳で見つめてくれていた。
そして、彷徨もこんな事を話してくれた。
「悪い、俺も恐かったんだよ。ワンニャー達が居た時から未夢の事が好きだって気持ちはあった。だけど、俺達は普通とは違う関係で一緒に住んでるって事がある。そんな状況の中、未夢に好きな奴が居るのに俺が未夢の事を好きだって伝えてしまったら、俺は未夢との関係を普通に続けていこうと思っていたけど、未夢が身の危険を感じない訳が無い。俺は男未夢は女。俺に力を使われれば未夢は危機的状況になると考えて、いろいろと避けるだろう。そうなっても俺は平気だし、未夢に何かするなんて事は絶対に無い。だけど、未夢の怯えたような態度、取り繕って話す未夢を見たら、罪悪感で耐えられなくなってしまう。だから、俺も未夢に好きだとは伝えず、そのまま閉じ込めておけば未夢との楽しい思い出が残るから良いだろうって考えてた。」
「ねぇ、彷徨っていつ頃から私の事・・・」
「そうだな、危なっかしい奴だなって気になってたのは最初からだけど、もしかすると最初から惚れてたのかもしれないな」
「もしかして一目惚れだったとか?」
「いや、それは無い。記憶には無いけど、未夢とはもっと小さい頃に合っていたはずだから。もしかしてその記憶に無い時に惚れてたのかもしれない」
「えっとね・・・、私はいつの間にか彷徨を好きになっていて、そしてある時に彷徨が初恋の男の子って事に気づいたの・・・」
「俺が初恋だったのか?」
「うん、間違い無いよ。小さい頃何処かの公園で男の子と遊んだ事があってね。その時にその子が作ったお弁当を分けて食べさせて貰ったの。そして、彷徨が作ったご飯を食べていたいた時に、あれ〜?これもっと昔に何処かで食べたような?って事が数回あって、そして気づいちゃったの、その男の子が彷徨だって事に」
「そういや、ずっと前に飯食べてた未夢が変になってた事があったけど、その時か?」
「そうそう、その時凄く嬉しかったんだけど、その分ドキドキしちゃって、箸を落としたり茶碗をひっくり返しちゃったりして」
「ねぇ?彷徨の初恋の人ってどんな人?」
「今俺の腕の中に居る未夢」
「嘘でしょ?だって彷徨には幼馴染の・・・」
「俺にも未夢のような思い出みたいなのがあってな、凄く小さい頃だったからほとんど覚えて無いんだけど、いつも遠くから遊びに来ていた女の子が居て、その子が来るのをいつも楽しみにしていて、遊びに来たらその子の側にべったりくっついてたって・・・。最近、親父が母さんのアルバムに映ってる、未夢と俺を見ながら話してさ・・・」
「私達ってずっと前から両思いだったの・・・」
「そうなるな」
今度は抱きしめ合いながら笑った。
プルルルルル、プルルルルル。
私達の上にある電話が鳴った。
抱き合っている私達は、電話を出るのをためらったけど、しつこく鳴っていたから。
「ねぇ、彷徨出ようと」と言い
彷徨が私から離れずに電話の子機を取った。
抱き合っている距離に居る私から、その相手の声がハッキリと聞こえた。
彷徨から子機を受け取る。
「やっほー未夢ー、元気にしてるー?彷徨君と喧嘩しちゃ駄目よ」
電話の相手は私のママだった。
「えっとね、未夢に謝らないといけない事があって、仕事がこれからもっと忙しくなって、どうやら日本に帰れそうも無いの、それで未夢にアメリカで一緒に暮らさないかって話をしようかと思ってたんだけど・・・、やっぱり無理そうだから未夢には彷徨君と一緒に暮らして貰う事にしました〜!もう宝晶さんには了承貰ってるし、未夢の進学先の学校にも連絡しといたから。もちろん彷徨君と同じ学校だからね。それと、傍にいる彷徨君。未夢の事よろしくお願いします」
電話が切れたあと、彷徨と顔を見合わせながら呆然とした。
彷徨が私より先に起き上がった。
「未夢、俺の部屋に行こう」と言われ、彷徨に手を繋いでじゃなく、引っ張られるように連れて行かれた。
初めは、とうとう彷徨と・・・なんて、ロマンチックな事を考えていたけど。
部屋に入って行き先はベットじゃなく、机だった。
「未夢、良いか良く聞いてくれ、俺達の行く学校は入学試験はそれほど難しく無いけど、それ以外に試験があって、あまりに酷すぎると入学前から春の講習があるって噂なんだ・・・。だから、これから試験まで、俺が勉強を教えるからな」
うう・・・、さっきまで彷徨とラブラブだったのに・・・どうしてこうなるのぉー!!
今日は3月13日。入学試験も無事終えて、その次の試験もクリアし、その試験はクラス訳の為の試験だと知らされた後。
私は彷徨のお陰で、彷徨の成績に近付けたから、クラスも彷徨と一緒になる事になった。
「ねぇ?彷徨。クッキーの作り方教えて」
明日はホワイトデー。私は彷徨にチョコをあげたけど、彷徨からもチョコを貰った。
だから、そのお返し、逆ホワイトデーの逆クッキーを作る事になった。
絶対に美味しいのを作って彷徨をビックリさせてやるんだから・・・。
それに・・・バレンタインデーの続きも・・・ねっ・・・。
(*゚д゚*)今回のは、告白する時の不安と・成功した時の嬉しさと心の動揺を書きたくて・・・
途中で、未夢視点になったり、彷徨視点になったりと分かりにくい所がたくさんありますが、スキルが無い物で。
((φ(._.*)カキカキ(*._.)φ))たくさん書いて練習!