さしすせそ

作:五月芽衣



 「彷徨ってさー、おしょうゆ すき?」



 いつもとは違う気がしたが、やはりいつもと同じ朝だったのだろうと思う。
 やっとこさの、休みらしい休みだった。


 ご飯に味噌汁、ほうれん草のおひたし、ワンニャーお得意の出し巻き卵。
 いつものように、しょうゆに手を伸ばした俺に、興味津々といった様子のあいつ。休みに限らず、朝はいつもギリギリなのだが・・・まぁ、この天気じゃあ、雨も雷も来そうにないが・・・幸せそうに、のんびりとした食事を取っていた。
 それにしても、しょうゆ・・・?


 「ホラッ!彷徨っておしょうゆ好きじゃない?朝ごはんのときはいっつもおしょうゆ食べてるし、夏にうちでやった肝試しでも、わざわざ買いに行ってたし・・・・」
 
 「んん〜・・?そうか?」

 悪いがさっぱり記憶にない。
 ここんとこ、そういう日常的なことの記憶がなくて困る。どうしたんだろうかなぁ。






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