作:友坂りさ
逢いたいんだ
告げたいんだ
だから、俺は――・・・
――このままで、いたくない。
◇◇◇
「・・・今日、こっちにこないか?」
それは土曜日の午後。
彷徨は、どこか願うような気持ちで、未夢の携帯に電話をかけていた。
季節は、風のつやめく、初秋。
空は今はもうかなり高くなっていて、ところどころうろこのようにちりばめられた雲が秋の訪れを告げ、なぜだかほんの少し寂しい気持ちにさせられる。
未夢が西遠寺に別れを告げて、半年近くが過ぎようとしていた。
別れても、未夢の親友、ななみや綾が何かと未夢をこちらに呼んで遊びに来ていたため、そのたびにやっぱり・・・泊まりは、もちろん、ここ(西遠寺)・・・で。
だから、二人が会わなかったわけでは、なかった。
だが、今まで彷徨から直接未夢を誘ったことはなかった。
逢いたくて・・・逢いたくて・・・
「会える」偶然にいつも救われていて。甘えていて。
そのたびに彷徨の想いは切なさを募らせていった。
それでも、――伝えられなくて。
今日。
だから。
自ら、初めて未夢を誘った。
自分の迷いをはっきりさせたかった。
それでも、正直、彷徨は怖かった。
自分の誘いに、未夢が応えてくれるのかを・・・
一方、未夢からの返事は。
「うんっ!!すぐ支度して行くねっ!!」
という、変わらない、明るい、そして嬉しそうな声だった。
その声にほっ、として。
と、同時に彷徨は胸がいっぱいになる。
「そっか。・・・じゃあ、待ってるからな。」
ピッ・・・
携帯をきったあと、彷徨はほっと胸をなでおろす。自然と優しい表情になるのがわかる。
電話、メール、いずれにしても彷徨は苦手だった。
いや・・・三太や光ヶ丘、そして他のヤツラならなんともないのだが、いざ、好きなやつ・・・そう――未夢、となると話は別だった。
以前なら何があっても動揺などものともしない自分がいたのに、電話ひとつ、で鼓動は思っている以上に高鳴っている。
とまどい、独占欲、嫉妬、大事なもの・・・未夢・・・を守りたい気持ち――・・・
こんな感情をあいつ・・・未夢と過ごしてから初めて、知った。
気づいてしまったら、もう、とまらない。
未夢が来るまで少し時間があった。
彷徨は携帯をジーンズのポケットにつっこむと、母、瞳の部屋へと向かった。
瞳の部屋は彷徨の部屋の奥にあった。
もう持ち主のいなくなった部屋。
瞳の写真と、ろうそくがあるだけの、閑散とした部屋。
それでも、掃除だけはおこたることはなかった。
いつ、持ち主が現れてもいいように・・・。
――彷徨は未夢がまだ西遠寺にいたころのことを思い出していた。
◇◇◇
――ハロウィン。
あの日。停電になった西遠寺。
ろうそくだけを灯して、未夢と俺は偶然未夢が見つけた母さんの育児日記を見た。
初めて、母さんと、未夢が会った日だ。
母さんの、命日だった。
たった、3年足らずだったけれど。
母さんは俺の記憶に焼きついて、色あせることはないと思っていた。
だけど、それでも人は悲しいもの。
どんなに輝く季節(とき)の中でも、失ってしまうと、光は姿を消していた――。
ナンデワスレテイタノダロウ・・・
いや、忘れていたのでは、ない。
自分で記憶を消そうとしていたのだ。たぶん、無意識に。
悲しみは、心の深くに・・・
だけど、あの夜。
未夢が母さんと初めて出会ってから。
未夢の優しさに、触れて。
俺の心は、その日を境に、完全に扉を開いた。
未夢が来てから、少しずつ開いていた扉を――。鍵のない、扉を。
でも。
――その夜、だけじゃない。
俺が、子供ビスケットを食べて。赤ん坊になったとき。
あのとき。泣いたのは。
「私が、・・・育ててあげるから」
涙が、でた。
・・・未夢がそう言ったから。たとえ、小さい体でも、その手を離したくない、と思った。
俺の中で、未夢の存在は、誰よりも大切なものになった。
◇◇◇
彷徨は瞳の写真を一度見つめて。
そっと、部屋をでた。
縁側から少しずつ吹いてくるやさしい秋の気配が彷徨の心を満たしていく。
今日は、いつもより不思議と強くなれる気がした。
今度こそは。この切なさを、確かな愛しさで満たしたい、彷徨は今、そう、願った。
◇
「ふぃ〜。着いたよ〜。」
未夢は、一時間半ほどかけて、ようやっと平尾町駅にたどりついていた。
電車で来るのには、やはり時間がかかってしまう。
だけど、その道のりが遠いとは、思わなかった。
決して近くはないけれど。
広い宇宙に比べたら、同じ空の下でいるから。
・・・ルゥやワンニャーとは、違う空の下。
彼らには小さな光をたどっても、たどっても・・・会えない。
でも、確かに同じ季節(とき)を過ごした彷徨には。
会おうと思えば、会える。
約束を交わす限り。
未夢は、ななみたちと会う約束をしながらも、彷徨に会えるのが何よりも嬉しかった。
――不思議だった。こんなにも嬉しく思う自分がいたことを。
彷徨の表情一つひとつがなぜだか気になって仕方ない。
ときどき寂しげな瞳。
見守ってくれる眼差し。
未夢は初めて彷徨からの誘いの電話に鼓動が高鳴るのを抑えられなかった。
連絡を受けて、飛び出すように家をでてきた。
すごく、嬉しかった。
――離れてから、知った。
彷徨を好きだということに。
誰よりも、大好きだということに。
平尾町駅から西遠寺までは遠くない。歩いていっても15分ほどだ。
季節もちょうど心地よかった。
見慣れた町のはずでも、去年とはやっぱり少しずつ変わっていて。
― 一年前。そのとき感じた鼓動の音も。こんなにはっきり覚えているのに。
未夢は西遠寺の石段を踏みしめるように、ゆっくりと登った。
登りきって、瞳を見上げれば、懐かしさが蘇る。切なさがこみあげてくる。
この前、ななみたちにあったのは、ほんの一ヶ月前なのだが。
そのときにも立ち寄ったけれど。
季節のせいかな・・・、未夢は、ふっと、静かに微笑んだ。
そのまま、玄関に向かい、インターホンを押す。
以前ならはがらり、と開けて勝手に入ることはできた。
・・・でも、今はもう、ここの住人ではない。
「あれ・・・?」
ピンポーン、ピンポーン・・・
長めに押してみても、彷徨がでてくる気配がない。
首を傾げて、ふいに沸き起こるちょっとだけいたずら心。
ピンポーンピンポーンピンポーンピポピポピポピポピポ〜ッ・・・・
いつも彷徨を訪ねてきたクリスがしていたように、大げさにインターホンを押し続ける。
しかし、それでも何の反応もなかった。
「おかしいですなぁ〜、もうっ、勝手に入りますぞぉ〜」
そう言って未夢は、冗談半分にドアに手をかける。
ところが、その瞬間、簡単に扉は開いてしまった。
え?と思いながらも、このさい入ってしまおうと、そのまま足を踏み入れた。
(ただいま。)
未夢は心の中でそっと呟いて、長い廊下を歩いていった。
向かう先はまずは、慣れ親しんだ、もと、自分の部屋。
泊まるときは当たり前のように使わせてもらっていた。
だが、今は当たり前でも、近い将来、この部屋は使わせてもらえなくなるのではないか、という不安が未夢にはあった。
・・・自分以外の人間が西遠寺にやってきたら。彷徨の隣に別の「誰か」ができてしまったら。
そのことを思うと胸がぎゅっと、締め付けられる思いがした。
未夢はきていた薄手のカーディガンのすそをきゅっと握った。
(仕方ないことなんだよね・・・だけど・・・。ルゥくんやワンニャーだけじゃなく、いつかは、彷徨まで離れてしまうなんて。)
未夢は目じりを赤くしながら、そっ、と荷物を置くと、居間のほうへ歩いていった。
◇
「ただいま〜。」
未夢が来てから30分ほどたって、彷徨は帰ってきた。
出迎えてくれる人はいなくても、あのころ、のように声をかけて家を入るのが、もうくせになっていた。
・・・どこかで期待していたのかもしれない。
父・宝晶も相変わらず、修行の日々で家にはいなかったため、「おかえり。」と返してくれるものは誰もいなかったが。
そして、すぐに目に飛び込んできた、玄関先においてある見たことのある、靴。
(・・・未夢がもう来てるのか??)
まだ、こっちには到着していないと思い、彷徨は少しだけ外出していたのだ。
すぐにでも来てくれた未夢の気持ちが嬉しくて、慌てて靴を脱いで、玄関にあがる。
はやる気持ちを抑えながら、彷徨は未夢の居場所を探す。
次第に早くなっていく鼓動。溢れ出しそうな、感情を抱えて。
(いた・・・。)
未夢が、居間にころんと、横になっていた。
微かな寝息。細いながらもやわらかそうな二の腕。
さくら色の唇。
大きな瞳は閉じられて、代わりに長い綺麗な睫毛が頬にしなやかに触れている。
そして・・・カーディガンの下に着ているキャミソールからは微かにのぞく、胸元。
(やば・・・///)
西遠寺にいたころも未夢をかわいいと思うことは何度も・・・あった。
だが、最近はますます綺麗になっていく未夢を目の当たりにして、どうしようもない戸惑いを隠せなかった。
同時に自分のものにしたい、という気持ちがさらに増していった。
無防備に寝てるよな、と彷徨は思いながら、縁側から吹いてくる少し冷たさをおびた風を肌に感じ、このままでは、と思って、何かかけるものを探しに、いったん出て行く。
しかし、それは、自分の感情を別のところに向けるためでもあった・・・。
「しょーがねえなぁ・・・」
彷徨は独り言をつぶやきながら、薄手のタオルケットを持ってきた。
そうして、未夢の上にかけようとした、
そのとき。
「わわっ、!!」
ドサッ・・・
瞬間。
彷徨はバランスを崩して、未夢の上に倒れこんでしまった。
片手は何とか畳につくことができ、完全に体重をかけることは免れたが・・・。
(あれっ・・・この感触・・・なんだっ??)
そう・・・ところがもう片方の手は、未夢の胸をちょうど押さえつけるように触れていたのだ――・・・。
・・・っ!!!!!
慌てて、未夢から離れ、ぶんぶんと頭を振る。
別の感情が溢れ出しそうだった。
その想いをふりきるかのように慌てて未夢から視線をはずす。
やがて、今の衝撃で、未夢が静かに瞼を開いた。
「ん・・・」
(まずいっ!!)
それに気づいた彷徨はすぐにテレビの前に何気ないふりで座り込み、横目だけで、未夢の様子をうかがう。
さっきのは気づかれはしなかっただろうか?、それが怖くて、未夢を直視できなかった。
――思っていた以上に未夢のふっくらとした胸の感触。
不謹慎ながらも、「やわらかかったな・・・」などと、思ってしまう自分に、とまどいの汗が隠せない。
「あっ、かなたぁ・・・?」
少し寝ぼけているのだろうか、未夢はとろん、とした目で彷徨に優しく微笑む。
「み・・・ゆ・・・」
その笑顔にどこか呆然として、彷徨は上の空のまま応える。
・・・冷静を装っているつもりでも、自然と、さきほど触れてしまった未夢の胸元に目がいってしまう。
(何考えてんだっ、俺っっ!!!)
慌ててまた視線をはずす。
あれは、不可抗力だ、そう自分に言い聞かせて。
やがて、彷徨はつとめて何事もなかったかのように、今度こそ未夢に正面から向き直った。
そして――想いをこめてつぶやいた言葉。
「おかえり、未夢。」
「えっ??」
:
:
ずっと言いたかった言葉。
「何いってんの?おかえり、をいうのは私のほうでしょ?」
未夢は小首を傾げてまたふわっと、微笑んだ。
「ああ。そうだよ、な・・・」
言葉の意味にまったく気づいてない未夢に、彷徨は苦笑しながら、とりあえず頷いてみせる。
「変な彷徨・・・」
少しだけの心地よい沈黙の後、未夢がゆっくりと口を開いた。
「ところで、今日は何で私を呼んだの?」
未夢はほんの少しだけ期待をこめて、彷徨にたずねた。
自分が彷徨に抱いているような感情をきっと彷徨はもっていない、と確信してはいたが、それでも自分のことを彷徨が思い出してくれたことが、素直に、嬉しかったのだ。
「あっ、ああ・・・」
心なしか動揺した様子で彷徨は応える。
実際、心を決めているつもりでも、いざ本人を目の前にすると、言葉にするのは・・・表現するのは、難しい、と改めて気づかされる。
ざわつく、胸。
「実はさ・・・今日これ、見つけたんだ。」
本当は違う理由があるのに、今一歩踏み出せない自分に情けなさを隠せず、とりあえず、間を埋めたくて、ポケットから、あるものを取り出した。
それは・・・
ワンニャーがもっていた“めったにつながらない”通信機。
通信機、というからもちろん二つきちんとそろっている。・・・はずだったのだが。
「未夢さんたちとつながっていたいですぅ〜。片方はワタクシが持っていますから、よろしかったら連絡下さいね。・・・ってつながるわけありませんですよね〜。
えーえー、ワタクシはゆ〜の〜なシッターペットですから、それぐらいはわかりますぅ!!
でも、でも・・・奇跡を信じていれば、いつかは必ず会えますから。だから、それまで、そのときのために片方は持っていて下さい。約束ですよ〜!!」
――と。あの日。ルゥたちを迎えに来た日。
そういって、ワンニャーはピンクのぼてっとした通信機を片方だけ西遠寺において、オット星へと帰っていった。
「――って。ワンニャーがいってたんだけど。俺、すっかり忘れて自分の部屋の押入れにしまいこんでたんだよな。」
ちょうど、そのとき未夢はいなかった。あのときは未夢の母・未来が、同じ日に宇宙を飛び立った日でもあって。
ルゥたちを見送る直前、テレビで未来の様子をほんの少しだけ見に行っていたのだ。
どちらも、今しかない、現実で。
あの日は一生忘れられない日になった。
しかし、彷徨の予想に反して、未夢は話を聞きながら、実際の「通信機」を目にした途端、大きく目を見開いた。
――――――・・・・・・・・
「な、なんで言ってくれなかったのっっっ!!!」
未夢は思いのほか、大声で叫ぶ。
少し涙目になりながら、彷徨から通信機をひったくるようにとると、しっかりと握り締めた。
やがて、声を微かに震わせながら、囁くように呟く。
「・・・私後悔してたんだよ。本当は。ルゥくんたちのモノ・・・みんなオット星へ持って行っちゃったから。せめて。何か残しておけばよかった―・・・って。」
「未夢・・・」
未夢は通信機を胸のところでぎゅっと抱きしめるように包み込む。
「だけどね、余計つらいかなーって。思い出しちゃうでしょ、やっぱり。どうしても。
・・・ルゥくんのくまさんのよだれかけ。哺乳瓶。・・・哺乳瓶だって、オット星は地球よりもずっと発展しているから、もっと高性能なものかもしれないけど。
それから、ちっちゃな黄色の靴下や、サルやあらいぐまの着ぐるみ・・・。ワンニャーだって。みたらし団子専用のお皿持ってた。」
未夢の目から自然と、涙がこぼれる。
「あ・・・れ?なんでだろ。もう平気なは・・・ずなのに。」
止めようとしても、とまらない、悲しみの涙。
未夢は必死で涙を拭おうと新緑色の瞳にもう片方の手をあてる。
目の前のその姿に、――彷徨はたまらなくなった。
いつのまにか、さっきまでのためらいがちの心の鍵が勢いよく音をたてて、はずされた。
「・・・だろ。」
「えっ?」
そっと。
気持ちのうえでは、限りなく優しく。
だけど、ぎゅっ、と腕に力をこめて。・・・強く、
――彷徨は未夢を抱きしめた。
「えっ・・・?・・かなっ・・・」
「前にも言っただろ。隠すなよっ!!!――思ってることは全部吐き出せばいいだろっ!?」
そういって彷徨はさらに強く未夢を抱きしめる。
きゅっと腰を引き寄せて、離れないように・・・強く、強く。
「や、やさしくしないで・・・」
未夢は彷徨の腕から逃れようと、身をよじる。
優しさが、余計につらい、未夢はそう思った。
またいつかは、彷徨とも別れる日が来るかもしれないのに。
会えなくなるかもしれないのに。
同情なら、いらなかった。
「バカ未夢っ!!・・・大事なやつが悲しんでいるときに支えてやらないやつが・・・やさしくしないやつが、どこにいんだよっ!!!」
(えっ・・?彷徨?)
「大事って・・・」
「お前ほんと鈍いよな・・・こういうことだよ。」
っ!!!
それは本当に――突然の、やわらかな・・・感触。
彷徨は少し強引に未夢の唇に自分のを重ねた。強く、押し当てるように。
「んっ・・・んん・・・」
角度を変え、深く、口付けた。
触れてしまったら、もう、とまらなかった。
「・・・やっ!!彷徨」
初めての感覚に未夢はやっとの思いで彷徨の胸に優しく手をあてて、彷徨から離れる。
しかし、離れるといっても唇を離しただけで、体は密着したままだ。
「未夢・・・?」
とたんに不安になる彷徨の心。
拒絶されたのか?と心苦しい衝動に駆られる。
悲しげな、ものいいたげな瞳を未夢に向ける。
そんな彷徨の表情を察したのか、未夢が慌てて付け加えた。
「ち、違うの。だって。彷徨。言葉で言ってくれないんだもん・・・・
だから、まずは言葉で表現して・・・?」
潤んだ瞳のまま、未夢は彷徨を見上げた。
彷徨はその未夢の仕草と、綺麗な瞳にどきっと、させられながら、言葉を返した。
「・・・言葉じゃ届かない想いがあるだろ。この通信機だって。実際に通信はできないけど。ようは、気持ちなんだよ。
まぁ、だけど、場合によっては言葉も大切、かもな。・・・相手を優しい気持ちにさせるためには。伝えたいことが、あるときには。それから、大事な約束を交わすときには・・・」
「彷徨・・・」
未夢は嬉しかった。彷徨を今日だけで、もっともっと好きになった気がした。泣きそうなくらい、彼は優しい、そう、思った。
キスができるくらいの至近距離で。
彷徨はそっとつぶやいた。
“ ・・・好きだ・・・”
そして、そのまま未夢の瞳と自分の瞳を合わせたまま、直前で目を閉じた。
顔を傾けて、未夢の顎をやさしく掬って、二度目のキス。
甘く、熱い――・・・
しばらくそうしていて。
やっと彷徨は未夢から唇を離した。
未夢のほうは少しだけ、頬が上気していた。
そして。まだ赤い顔のまま。
“私も、大好きだよ・・・”
未夢も返事を返した。
二人は、目を合わせて、微笑んだ。
◇◇◇
――未夢。
――んっ・・・?
――ワンニャーとルゥにはすぐにまた会えるさ。俺たちが二人で待ってれば な。それに、あいつらとさよならしたわけじゃない。あのとき俺たちは 「行ってらっしゃい」って言ったんだ。
だったら、「ただいま」が必ず聞けるはずだ。
――か、彷徨・・・うん、そうだよねっ・・・ありがとう。
――― 思いがけず、ワンニャーの通信機から、二人の想いが通じ合った。
もしかして、本当の意味での「通信機」だったかもしれない・・・。
(母さん、見つけたよ。大事なものを・・・ルゥ、ワンニャーも見守っていてくれな。)
(いつまでも大好きだよ。ルゥくん、ワンニャーまた、会おうねっ・・・)
そして――この約10年後。
もう一つの本当の 「約束」 は
――確かなものと、なる。
こんにちは。
相変わらずタイトルと内容の一致していない駄文を書いてしまいました(汗)
通信機・・・書いている途中、ふっ、と思い出したアイテムです(^^;
PC打ちながら、ずっとELTのアルバム聴いてました。
かなりいいです(>∀<)vv
イメージはELTの歌詞のように・・・と思ったのですが、かけ離れてしまいました(涙)修行しなければ・・・(><)
ではでは、読んでくださって、本当にありがとうございました!!
この後日談、いつか書きたいとは思っているんですけれど。
きっと、10年後になるまでの間に、何か二人の間にはいろいろな出来事があったはずですものですものね(^^)
2003.9.28 (kitkat6220@ybb.ne.jp)