三日月の夜に

作:友坂りさ



「あーーい!わんにゃっ、だぁっ!!」

「あーー、ルゥちゃま、それはダメですよ〜!!!それはツウハン星から間違って届いたものです〜!!送り返ししないといけませんから、触っちゃだめですぅ〜!!!」

「だぁ!だぁっ!だぁ!!!」

「わーー、ルゥちゃま〜!!!!・・・今日はなんでこんなに落ち着きがないのですか〜?ルゥちゃま、お待ちください〜!!!」

楽しそうに飛び回るルゥと、それを懸命に追いかけるワンニャー。
今日はいつも以上にルゥのご機嫌がよいのか、自称:ゆーのーなシッターペット・ワンニャーはルゥに朝から手を焼いてばかりだ。

ずでーーーん。


「あいたたた・・・ルゥちゃま、お待ちください〜!!」


「なーーにやってるんだよ、ワンニャー。騒がしいな」


勢いあまって廊下に転んだ拍子に、よく聞きなれた声が玄関口に響く。
ぶつかった鼻を真っ赤にさせながら、体を起こすと、この家の住人:西遠寺彷徨が帰宅したところだった。
まだ中学生の彼だが。
ルゥにとっては、「地球でのパパ」だ。
ワンニャーはようやっとほっとしたように、彷徨にすがりつくように一気にまくし立てた。

「あっ!!!彷徨さん!!もう、今までどこ行ってたんですか〜!!!未夢さんもまだだし、ルゥちゃまもいつになく落ち着きがありませんし、さきほどは、みかんさんもこられて、いつもの奥さん姿でいなくてはならかったし、気を使わねばなりませんでしたし、ツウハン星からは、間違ったものが届くし、それを見つけたルゥちゃまはいたくそれが気に入って、また飛び回りますし、夕飯の支度もしたりで何かと大変で困っていたんですよぉ〜!!!」

「あっ・・・ああ、悪い、ちょっと委員会が長引いてさ」

そう。
今日は、もうすぐ行われる学園祭の準備などで委員会が長引いてしまい。
本当なら未夢と帰宅するはずが、今日は別々になってしまったのだ。

それにしたって。
もう時刻は7時近くになっている。

近頃は日も暮れるのも早い。
帰り道はすっかり日が沈み、辺りはすでに真っ暗だ。

(あいつ、今日買い物当番でもなかったよな・・・)

いつも交代で行っている買い物も。
期末テストが近いこの時期はワンニャーが気を使ってくれていて、この1週間は未夢も彷徨も「当番」をしていない。



「・・・ところでワンニャー。大変なのはわかったけどさ、・・・未夢はまだって?」

「あ、はい。すみませんです、ついいろいろ大変だったものですから・・・。
そうなんですよ、未夢さんはまだ帰っていらしてないんですよ。もう日もすっかり暮れていますし、彷徨さんが帰ってきたら、ちょっとそのあたりまで迎えに行ってみようかと思っていたところなんです」









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