作:日和未亜
誰だって不安になるときはある。
もしそれが…完璧な人でも……
「はい、次光月さん。」
先生が手を垂直にして上に挙げる。
未夢は構えると先生のホイッスルの合図に踏みこみ台まで走り、ぴょんっと踏みこみ
台に足を踏み入れ跳び箱の奥のほうに両方の手のひらをのせる。
が。
がっしゃ〜ん!!!
その衝撃の音にグラウンドにいる人間たちはふっとみんな同じところに視線を合わす。
合わせたくなくても……だ…。
「光月さん大丈夫?」
先生は崩れた跳び箱の上に足を抑えながら座っている未夢の所まで走っていく。
どうやらケガをしたようだ。
「はい、大丈夫です;」
未夢は頭の後ろに手を添えながらあははと苦笑している未夢にくすすと笑う。
「もう〜光月さんたら可愛いんだからvvとりあえず保健室行ってらっしゃい」
先生は未夢のコトがなぜかお気に入りのようだ。
先生は未夢の腕を引っ張り、その場から立たせると保健室の方向にトンッと背中を後押しする。
未夢は先生に「じゃあ、行ってきます」と言うと未夢は保健室の方向へ向かった。
ここからはけっこう遠い。
男子と女子は体育が別に別れていて、女子は跳び箱で男子はバスケをしている。
「未夢ちゃん可愛いよな〜vv」
佐藤がへへっと笑いながら山田の肩をトントンと叩く。
「笑った笑顔とか…そこら辺のアイドルよりもカワイイし…」
山田は佐藤の肩に手を回しながらはぁ…っと息をつく。
「あんなコが彼女だったら最高だよな〜」
佐藤は手を組みながら目を輝かせ、こっち方面に向かって歩いてくる未夢を見る。
一瞬未夢は背中にぞくっとしたものを感じた。
「近くに近寄るとなんかシャンプーのかな?甘い香りがしてさ〜。つい抱きしめたくなっ
ちゃったりするし〜」
彷徨は今バスケの休憩中。(同じく佐藤と山田も)
佐藤と山田の話を頭の中で繰り返してみる。
なにが未夢ちゃんだよ、佐藤。
つーか名前で呼ぶな!未夢はオレのモノなんだぞ。
……未夢は…かわいいから、まぁ、アイツは自覚ないんだと思うけどモテるからな…。
………って抱きしめようと?! 未夢はオレのだっつーの。
やっぱり…オレらが付き合ってるコトみんな知ってんだろーが。
でもときどき不安になる。
いつオレが置いていかれるか分からないから…
何回好きって言われても。
何回お互い確かめ合っても。
何回抱きしめあっても。
何回キスしても……―――――。
やっぱり不安…………で
「おいっ彷徨危ない!」
ごんっ!!
彷徨はバスケットボールがもろ頭に当たったためか頭を抱えてしゃがみ込む。
未夢は保健室に行く彷徨の頭にバスケットボールが当たったのを見かけたので数人に囲
まれている彷徨の所まで走り向かう。
「彷徨ッ!大丈夫?!」
と女子(未夢)のいきなりの乱入と大きな声に、バスケをしていた男子たちもフリーズした
ように未夢の方を向く。
本日2回目の注目………。
「えっと…わたし、これから保健室行くんで彷徨…いえ、西遠寺くんも一緒に連れて行きます!」
未夢はぺコッと監督をやっている先生にお辞儀をすると彷徨の手をぐっと取り早歩きで保
健室まで行く。
「失礼します」
先生は出張のためか先生はいないらしい。
保健室に入るとやっぱり鼻につんとくる香りがする。
未夢は彷徨をイスに座らせると冷凍庫から氷を取り出し、冷蔵庫の上に置いてあるアイシン
グの中に氷を数個かいれ、保健室内にあるシンクの方へ行くと少し水を入れてアイシングの
蓋をきつく閉める。
未夢は満足げによしっと言うと、イスに座っている彷徨の前に立ち、上体を少し屈ませる。
未夢の髪が肩からサラサラと落ちてくる。
保健室内に一瞬甘い香りが広がる。
「ドジるなんて彷徨らしくないじゃない」
未夢は彷徨のボールが当たった所、後頭部の少し上の所をナデナデと痛いの痛いの飛んでけ
みたいに優しく撫でるとその上から未夢がやったアイシングを当てる。
未夢は彷徨の手を取り自分でアイシングを持たせると彷徨の横に座り消毒液で自分の傷を手当てする。
暫く時間が経ってしまったためか消毒液で傷口を濡らすとぐちゅぐちゅと泡見たいのが立ち始める。
未夢は消毒をし終わり、バンドエイドを傷口にはる。
「ん、どうしたの彷徨?」
「いや……別に…」
未夢はそういえばと彷徨に質問してみる。
「休憩のときなに考えてたの?」
彷徨は突然顔を暗くする。
「彷徨…?」
「………」
未夢は口を軽く抑える。
「な……どうしたの……わたし変なこといっちゃった?」
「…そうじゃなくて……」
彷徨はアイシングをイスの上に置くとぐいっと未夢を自分の方に引っ張るとぎゅっと未夢の腰の辺りに手を回す。
未夢はずるっとイスから落ちそうになるが彷徨がそれを支える。
「彷徨…!?」
未夢は突然のことに何がなんだか分からずにとりあえず抱きしめられたまま未夢は
彷徨の名前を呼んでみるが返事が返ってこない。
「…………」
「彷徨ァ…?//////」
「未夢……」
彷徨がやっと未夢に話し掛けてくれたので未夢はホッとすると思いがけないような
言葉を未夢にいきなり聞いてみる。
「オレのコトホントに好き?」
「…彷徨?なに、いきなり……」
彷徨はなぜか少し震えている。
なにか不安なのか?
未夢は彷徨の背中に腕を回すと彷徨の胸にぎゅっと顔を疼くめる。
「わたしは…彷徨のコト今までもこれからも……ずっと大好き…だよ?」
それは…今にとっては女神、いや天使のお告げのようで。
大きな闇に包まれていて。
一筋の…光の導きのように。
彷徨は堪えきれずにか未夢の鎖骨の下にゆっくりと唇を落とす。
「ん………っ!」
彷徨が今唇を落としているところが集中的に熱くて。
「彷徨…そういえばココに窓あるから……みんなに見られちゃうっ////」
「あぁ……」
彷徨はそれだけを言うとそこから唇を離し、未夢の唇に口付ける。
「ん……!!」
外からピーっとホイッスルの音が鳴る。
彷徨は未夢から離れる。
「安心した?彷徨?」
彷徨は顔を真っ赤にし彷徨に微笑む。
「借りはちゃんと返してよねvv」
未夢はイスから立ち上がるとベッと舌を出し彷徨にしかみせないような極上の笑顔をする。
「あぁ。」
彷徨はその表情にドキッとすると彷徨も未夢と同じように微笑む。
「じゃあ…わたし戻るね。彷徨は…まだココにいる?」
「いや…オレも行く。キスのおかげでなんか痛くなくなったみたい。」
「なに言ってるのよ…ばかぁ…////」
++++++++++++++++++++++++
―戻って体育―
未夢は……
「未夢ちゃん?!それどうしたの?」
クラスの友人が未夢の鎖骨の下を指差す。
あいつ〜〜〜〜〜!!こんな所につけないでよ〜〜〜〜!!///////
もしかして、はめられた?!////////
彷徨は……
「西遠寺、また3P入れたぞ〜!!すげ〜!!」
絶好調みたいです♪
キリ番小説『体育で彷徨の頭にボールが当たって未夢が心配する+こ
ってこての甘甘』がお題の『Sweet baby love』でし
た。タイトルは大好きな声優:堀江由衣さんの曲のタイトルをかりま
した。
彷徨は未夢が好きすぎて不安だった見たいでドジったお話。
また内容とタイトルがあってないよ…まぁ、気にしないで下さいな♪
いや、これとりあえず高校生になってからのオハナシだと思ってくだ
さい。バスケはう〜ん、よく分かりません。 日和文化部入っている
んで。