温もりを感じる瞬間

作:つむぎ


第3回:ギャラリーから勝手にコラボ
作品名:幸せを感じる瞬間
作者:英未しゃん
作品:http://uwdoko.s21.xrea.com/gly/imgviewer.php?imgID=8-93



未夢の体に回す腕の力が次第に強くなっていく。
首元に顔を埋めると未夢のジャケットについていた白いファーが
頬にふれてくすぐったい。


「どうしたの?急に。」


俺の胸に顔を埋める未夢が少し苦しそうに
でも、先ほどのように拗ねている様子はまったくなく
必死に気を落ち着かせようとしているのが声から聞き取れた。



「別に・・・ただこうしたかったから。」



毎年恒例の花小町邸でのクリスマスパーティの帰り。
夜も遅くなったし、雪も降り始めたからと
先に二人で出て来た帰り道のことだった。


ちらつく雪に見とれる未夢
その未夢の姿に見とれる俺


いつの間にか雪を見ているのか・・・
未夢をみているのか分からなくなって足を止めていた。

街灯の明かりだけが灯る中で
雪の結晶が光を乱反射させてキラキラと輝いていた。
その僅かな光の中で雪を捕まえようとクルクルと軽やかに
ステップを踏んでいる未夢の姿が綺麗で見とれていた。


そして、そんな未夢を捕まえたくて
思わず俺は未夢を抱きしめていた。


初めは強張らせていた体も
次第に俺に体重を預けてくれるようになった。


その重みがとても嬉しくて、強く抱きしめた。



「これ、俺があげたやつだ。」



俺の知っている香りのする未夢の髪をゆっくりと手で掬っていたら
珍しく髪留めをつけていることに気づいた。


クリスマスリースの形をした髪留め。
今年の俺からのクリスマスプレゼントだった。


「そ・・うだよ。ありがとね。」

「あぁ・・・。」


俺の腕の中でネコのようにおとなしくしている未夢。
すると、意を決したように視線だけを俺のほうへと向けて
必死な表情で言ってきた。


「あのね・・。」

「なに?」

「家に帰ってからと思ったんだけど・・・。」


「えっ?」っと言った瞬間
それまであった腕の中のぬくもりがさっと移動して
変りに俺の頬にやわらかいものが触れた。


「私からのクリスマスプレゼント・・・。」


不意打ち。未夢からのキス。
あまりにも急な未夢からの攻撃に凍えていた手が見る見るうちに
温かみを帯びてきた。

えへっ・・・っと頬を赤らめて恥ずかしそうに笑う未夢が
とても可愛くて・・・




苦笑い。




「初めてだな・・・お前からするの・・・。」




恥ずかしかったんだから・・・
という未夢の手を握り俺達は西遠寺へと向かった



このぬくもりは・・・永遠に・・・。
そう願った。





メルマガ2008/12/14掲載。


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