約束吉日

作:あゆみ

















「…かなた…冷蔵庫空っぽ…」
「えっ?!まじ?」










ここは西遠寺、未夢は遊びにきている。
ワンニャーとルウ君はオット星に帰り、二人はお互いの気持ちを確認した。
とある日の出来事。










「まいったなぁ。男所帯になるとそういうのが疎くなるんだよなぁ。」
「すごいよ、何もないの!」
「親父かな…きのうの夜何かガタガタしてると思ったら、つまみ食いしてたのか…はぁ〜。」
「私、買出しに行ってくるよ!かぼちゃも買いに行かなきゃと思ってたし。」
「じゃぁ俺も付き合うよ。」
「ありがと!」










外に出ると、もう日が落ちそうだった。
(未夢が朝来たと思ったらもう夕方か…はやいな…)
二人でいると時間が経つのが速い。
一緒に暮らしていた頃はそんなことは感じなかったのに、
お互い生活の場が変わると時間を作ろうと思わないと二人きりになれない。
まぁ、もともと、ワンニャーがいたときも二人きりになることはめったに無かったのだが・・・。










「はやいねぇ――。」

突然未夢が口にした。

「何が?」
「今日、彷徨の家へは朝に来たのにもう夕方だよ。時間が経つのはやいね…。」










ビックリした。
未夢が自分と同じ事を考えていたのだ。










「そうだな…。」
「だって、ルウ君たちは毎日一緒にいたでしょ?時間が流れていることすら気づかないで生活してたよ。」









(………///)







「そうだな…。」
「そうだよ。」










「全く…来たときは突然男の子と同居だし彷徨は何を考えているか分からないし、突然ママになったり、
 退屈になることが無かったよ」

(俺もそうだ、家に帰ったら、親父の勝手に決めた同居人はいるし、女だし、ルウは飛び込んでくるわ、
 パパって言われたり、未夢から目は離せないし…)

「いろんなことがあったよね!」
「あぁ…。」

(いろんなことが…)

















もう空は夕日色に染まっている。
子供たちの家に急いで帰る姿が二人の横を通過した。









(なんか、不思議だな、未夢が今何を考えているのかが分かる気がする…)







と、二人はそのままスーパーへの道を言葉を交わすことなく歩いていった。
外から見る二人の雰囲気はまるで……























買い物の帰り・・・・







「あ―――――。。おもい。。。」

彷徨の両腕には大量の買い物袋がぶら下がっている。








「えー、それくらいで?!彷徨、力無いんじゃない (ニヤリ)」
「そんなことねぇよ。未夢が買いすぎなんだよ…。あー重い…。。。」
「情けないなー。それくらいで。非力なんだよ。 (ニヤニヤ)」









ムカッ (彷徨)







「そんなことねぇよ、この荷物が重すぎるんだ!俺が本気出せば未夢ぐらい片手で持ち上げられるぞ!」
「またまた――――彷徨さんったらそんな事言って。無理だよ。 (フフッ)」






カチン!




彷徨は片方の腕に持っていた荷物を地面に置き、未夢の腰に手を回す。
自分の腰に未夢の腰を密着させ、片手でヒョイ!と持ち上げる。









「へっ???」







急に視界が高くなり地面に足がついてない不安定な未夢は驚いて声も出ない。










「なぁ?!持ち上げられるだろ? (ニコ)」
「なぁ?って、彷徨恥ずかしい――――。分かったから、おろして――――!!!」


確かに、夕方買い物にきていた主婦たちがクスクス笑っている。
それに気づいたのか、気づいてないのか、ニコニコ笑いながら未夢を地面に下ろす。










「どうだ。持ち上がるだろ!!」
「わかった!分かったから////」
「おまえなんか片手でヒョいだよ。」
「なんか彷徨子供みたい……」









(ん?)







「ナーンーダ―トー!!???」
「キャー!!怒った??」
「コラ――!!」















未夢はその場、彷徨の隣から逃げ出した。
彷徨はすぐに追いつき、ヘッドロックをしようとしたが、両手がふさがっているので自分の頭で
未夢の頭に頭突きする。

「イタ――イ!!」
「痛くねぇだろ。十分手加減してるからな。(ベッ!)」
「痛いよ―― (うそ)」

前を行く彷徨を今度は未夢が駆け寄って飛びついてヘッドロックする。
突然飛びつかれた彷徨はふらつき。何個か荷物を落としてしまった。










「おーまーえーなー。。。」
「キャー―!!」


未夢は必死で首にまわした腕を放さない。














全然痛くないヘッドロックで
胸が締め付けられる
なぁ、
俺たちはどのくらい距離が縮まった?
距離が縮まっていく感触
チャンスをくれた運命(ルウ)
これがあたりまえになるのは
あと何センチだろう…












西遠寺階段前・・・・・








「明日も学校かぁ…

階段を上りながら未夢は言った。

「なに?なにかあるのか?」
「こうやって二人でいられる時間も学校だとなくなっちゃうね///」
「あぁ///そうだな///」
「そういえば、彷徨また告白されたんだって?」
「…おまっ!…なんで知って……。」
「知ってるよー下級生でしょ? 告白したのに表情も変えないで断られたって泣いてたらしいよ。」








(あぁ。そんな俺のことよく知らないのによく付き合ってくれだなんていえるな。と思ってた。)







「ハンサムで、頭もよくて、運動神経も抜群。だけど対人関係になると苦手というか、
 深く関わらないよね。彷徨って。」







(大切な人(母さん)を失って時のショックがつらくて、あれから深く付き合わないようにしてたな
 確かに・・・

「そんなに閉じこまらなくていいのに・・・・・・」
「えっ?」
「深く関わるのって、勇気がいるよね。自分をさらけ出さないといけないんだもん。
 他人にやさしい人に限って、その分勇気が出にくいんだよね。傷つけたくないから…」


(初めてだ…。そんなこと初めて言われた…。
 未夢には、今までは他人との関係は無関心な人だといわれた俺を
 どうしてそんな風に、いってくれるのだろう…)

「やさしいね…かなた…。」

(…こんなに近くにいたんだ未夢は…)
















もう日も暮れた空の下、西遠寺は街灯の明かりが階段にかかり、二人の影を伸ばしている。







「未夢は、いいのか?」
「なにが?」
「そんな俺の側にいて…」

フフッ…
微笑んだ未夢は



「言ったでしょ、彷徨はやさしいって。この先どんなに意地悪されても、からかわれても、喧嘩しても、
 そんな彷徨を分かって、そばにいられるのは私ぐらいよ///」

「そうだな…。どんなに俺が意地悪で、性格悪くても。俺のそばにいてくれ…。」

「フフッ///変なお願い…///」
















最後の階段を先に上る未夢。
そこには、お地蔵様が並んでて。。。

《 証人になってくださいね /// 》

後ろから来ている彷徨の方を向き
彷徨の正面にたつ

彷徨は道を遮られ一段下で立ち止まる

(????)














見下ろした未夢・・・・・・






見上げる彷徨・・・・・・




















そっと唇に触れるか触れないかぐらいの口付け・・・・・








未夢からの誓い・・・・・・。













END










毒第3弾投下〜。   師匠!いかがでしょうか?
なぜか私の書くものは彷徨視点になりますわい。
最後の最後だけ、未夢の心の声入れておきました。
分かりました?《 》です。彷徨は( )なのですよ。
外に出ると、彷徨は極端に口数が少なくなりますね。
そんなところも表現したかったようななっちゃったみたいな。

しかも、ついに未夢からやりました。チューです!
お地蔵様が証人です(笑)
毒2段で今度といっていた未夢ちゃん。約束守りました!
このあと、彷徨君は影でガッツポーズをしたことでしょう(笑)
それでは。つたない文章でしたが。ここまで読んでいただいてありがとうございました。



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