生粋

作:あゆみ











自分の物差しでは計れない

測りきれない愛しい思い。

これから先

その答えは見つかるのだろうか・・・・・・・・・・


























「未宇!今度はどのおやつにする?!!」

「う〜んとね!え〜っとね!これ!!!」

小さな手で差し出したものはかぼちゃチップスだった。

「今度はこれね!パパには内緒よ!おやつ食べ過ぎだって怒るから!」

「うん!!」

「し――ねっ!」

「うん!し―――!!」

親子で人差し指を立てて口の前で重ねる。
お互いにクスクスと笑いあう。ある日の昼下がり
母未夢と、娘未宇は台所の戸棚で大好きなおやつに夢中である。


「それじゃ!食べよっか!」
「うん!ママ!」

テーブルに向かい合って座り未夢がかぼちゃチップスの袋を開けようとしたときだった



「こら!!」


突然、勝手口から男の人の声
それは未宇の父、彷徨であった。
ドアのサンに背をもたれさせて胸の前で腕を組んでいる。
その表情は怒っているように見せるように目の端を軽く吊り上げている。


「「きゃ!」」

未夢は開けかけていた袋を体の後ろに
未宇もそれにつられて何も持っていない手を体の後ろに隠す。

「彷徨!」
「パパ!」

「お前らなにやってるんだ〜?」

「えっ・・・?何でもないよね未宇〜?」
「そうだよ!何もないよね〜ママ〜!」

「へぇ〜未宇!体の後ろに何隠してるんだ??」

彷徨は未宇を見つめ見えてるよ!といわんばかりに未宇をジロジロと凝視する。

「えっ!!!未宇は何も持ってないよ!おやつはママが!・・・・・・・・・・・・・あっ!!」








「へぇ〜〜・・・・ママがおやつを隠してるのか!未夢!」

「も〜!!未宇の正直者!パパにばれちゃったじゃないの!」

ほんの少し頬を膨らませて微笑みながら未宇を見る。

「ごめんなさ〜い・・・」

「くっ。。。くっ・・・」

「「彷徨(パパ)!笑いすぎ!」」

「お前らそっくり!」

「「そうかなぁ〜??」」

未夢と未宇はお互いに笑いながらお互いの顔を眺める。



「それはそうと、二人とも!!おやつは一日一つだぞ!」

「「は〜い・・・」」

「まったく・・・親子共犯なんだからな・・・」

「だっておやつ好きなんだも〜ん!!」
「好きなんだも〜ん!!」

「はいはい・・・でも虫歯になるから一日一個だ!」

「「は〜い」」


未夢と未宇はしょんぼりして、肩を落とす
そんな二人の肩を彷徨は両腕で包み込むように抱きしめる。

「パパは心配なんだよ〜歯医者はいたいからなぁ・・・」

「うん。パパ未宇もいたいのや〜よ。」

「ママも!食べ過ぎに気をつけろよ!豚になるぞ!」

「豚!って・・・まぁそうね。パパに嫌われないように気をつけないと」


母娘そろって彷徨の肩にもたれかかる。
その表情はこぼれるような笑みで・・・・











そこでフーっと彷徨は息を漏らす・・・・・






俺には子供は一人だけのはずなんだけどな・・・・・・











BWG5000hit記念小説です!こちらは管理人の本能のままわずか30分の作品です
未夢ちゃんと、未宇ちゃんのやり取りが書いていて楽しかった(笑)
彷徨君一人パパです(笑)
さいきん町を見かけると母親と娘が仲良さそうにキャッ!キャッ!している所を見ます
そんな感じが未夢、未宇にも当てはまるのではと思い書きました〜

2000/5/5 あゆみ

注)この作品は2007/2/20をもって閉鎖しました「Blue White Green」の記念作品として投稿させていただいております。

2007/2/17 あゆみ


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