冷たい手

作:あゆみ













冬の夜は私の体をこわばらせ

体をできるだけ小さくして

自分の肘を抱きかかえさせる



上を見上げると

冬の星座がはめ込まれた空が広がり

視界をフィルターかける白い息



隣には大好きな貴方がいて

貴方の息と私のそれが目の前で溶け合うのをみるのが

くすぐったい


貴方は私のとりとめもない話にうなずき

微笑んでいる




知らないでしょ?

私がその笑顔に弱いこと

知らないでしょ?

夜の街灯に照らされた貴方の横顔が好きなこと



貴方が話しているとどうしても

横顔に見とれちゃう

楽しそうに私の知らないヒトのことを話すから

貴方が知らないヒトみたいで

そのヒトにジェラシーだよ



私は拗ねたふりして

唇と尖らせる

返事のない私に気が付いた貴方は

下から私の顔を覗き込む

「寒い?」

なんて、トンチンカンな貴方の心配

おかしくて

尖ってた唇が

固まっていた肘が

するりと解けた



乾いた空気に

私の笑い声が響く






一瞬にしての静寂






知らないでしょ?

手を握っただけで黙っちゃうような私を

知らないでしょ?

私の手はこんなに冷たかったのよ

知らないでしょ?

貴方から握ってくる手をどんなに待ってたか




つないでた手が

指と指を絡ませ握りなおした時



指の隙間から冷たい風は通り抜けるけど




貴方と近くなった感じがして

私の心はあたたかい…







もう、

冬も
寒さも
空の星も



関係ないもの











2004/1/4 あゆみ





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