作:あかね
「・・・なんだよ、それ」
彷徨のあきれたような声が響いた。
訝しげに私を見つめる。
何だよって・・・決まってるじゃないですか。
「これは・・・そのぉ・・・宿題」
「一週間前に出てたやつだろ?」
「うん・・・そうかも」
「かもって・・・時間あっただろ」
うぅ・・・ずるいよぉ、彷徨。
私が何言いたいか、分かってるくせに・・・
「でねっ」
「うん」
「数学・・・なんだけどさ」
「うん」
「ちょっと一人じゃ・・・解けなさそうなんだよねぇ・・・」
「ふ〜ん」
ここまで来ると、いつもなら「しょうがないなぁ」とか言って手伝ってくれるのに、今日は返事が無い。
・・・もしかして、ダメ?
でもでもっ、手伝ってもらわなきゃ終わるわけないし・・・