作:あかね
お父さん、お母さん
私、思ったの。
人生が長くても短くても、別にいいんじゃないかなって。
その人が、いい人生だったな、くいはないなって感じてるなら、
それでいいと思うんだ。
だから・・・・・
私も、くいはないから。
さようなら。
未夢
― ― ―
ほんの10分前。
私はこんな手紙を書いて、リビングのテーブルに置いて来た。
とりあえず、両親にあてた手紙。
まぁ読まれる前に、マスコミが「中2少女自殺」とかなんとか報道して、アメリカから吹っ飛んでくるんだろうけど。
(でも・・・)
葬式で泣くなんて、私の両親にとってはただの「行為」でしかない。
娘がいなくなったという形上の。
私が死んだって、悲しむ人なんて1人もいない。
そう、1人も・・・
とにかく、私は今晴れがましい気持ちで線路沿いを歩いている。
やっと終われるんだ。
1人きりで生きた事、1人きりで死ぬ事。
なんだか、信念を貫き通せたようで嬉しい。
そう思うと、次第に足取りも軽くなっていた。
このまま、疲れ果てるまでこの道を歩こう。
そして・・・この短い生涯に、終止符を打とう。
夕日に染まる砂利道が、いつもより美しかった。
― ― ―
私は幼少時代から、いつも1人だった。
まず、生まれてからすぐに、保育所のようなところに預けられた。
聞いた話だと、両親は私を腕に抱く前にアメリカへ行ったらしい。
このころから、愛されてなかったんだなぁ、私。
物心ついた4歳のときに、親戚の家でお世話になった。
優しいおじいさんとおばあさん。
私は2人が大好きだったけど、小学校へ上がると同時におばあさんが病気で亡くなった。
それからおじいさんと2人っきりで暮らしていたけど、中学校1年生のときにおじいさんも病気で入院した。
事態を知った両親は、毎月仕送りをしてきた。
以来、生活は全てそのお金で賄っていた。
その後の私は、広い家でたった1人。
次第に学校にも行かなくなり、今日まで、何もしない毎日が続いていた。
「人生」について考え出したのは、ちょうど半年前。
きっと、この無意味な時間と無意味な空間に飽き飽きしていたんだと思う。
あれこれ考えているうちにたどり着いた答えは、「自分は愛されていない」ということだった。
今さらそんなことって思ったし、ショックでもなければ、辛いことでもなかった。
だったら、終わりにしようかなぁって、思った。
手紙にも書いたけど、くいなんてない。
逆に言えば、くいるようなこともなかったんだろうけど。
とにかく、不要な人間が無駄な時間を過ごすほど、悪循環で効率の悪いことはないと思った。なぜかそれには腹が立った。
昔から変なとこだけこだわる人間だったからなぁ・・・
― ― ―
たどり着いたのは、小さな踏み切り。
周りを見渡しても、誰1人いなかった。
(ここなら・・・)
夕闇の中で、1人空を見上げた。
星がひとつ、瞬いている。
踏み切りの中にゆっくりと進んで行く私を、秋の風だけが見守っていた。
こんにちは。こちらで作品を出すのは初めてです。
最近小説すら書いてませんが(汗)・・・
受験終わりましたので、またぼちぼちと活動を再開していきます。
どうぞよろすぃくです。
初回からダークな内容ですが、大丈夫です、未夢ちゃん死んだりしません(笑)。
まだ未夢ちゃんしか出てきませんが、そのうち顔なじみのみなさんが出てきます。ただ、展開としては原作と逆になるかなぁ、と。
詳しいことは、あかねが書き続けることができれば明かされます。
では。
2月25日 あかね
(2月29日 修正UP)