天使と悪魔 作:神月香魚

この作品は、2003年春に開催された「Special love white day〜Miyu day〜」の参加作品です。

ねぇ、あなたは本当に私のことを想ってくれてるの?


ねぇ、あなたは本当に私のことを愛してくれてるの?


あなたはなにも言わないから、私は時々不安になるよ―――…









今日、三月十四日ホワイトデー。
二月十四日バレンタインのお返しをする日である。
未夢もバレンタインにチョコレートを彷徨にあげた。
なので彷徨も未夢にお返しをしなくてはならないはず…

「おはよぉ〜」
未夢はひよこマークのエプロンでちょうど朝ご飯を作ろうとしていたところだ。

「はよ…」
そこに彷徨が髪をくしゃっとかきながら居間にやってきた。

「ねぇ、今日も宝昌おじさん帰ってこないの?」
宝昌は一昨日から「わしはちょっくら出かけてくる!たぶん明後日か明々後日には帰ってくるぞ!」と言って西遠寺から荷物を持って出ていった、

「そうみたいだな、まぁ明日にはひょっこり帰ってくるんじゃねぇか?」
彷徨は「んなことどーでもいい」って顔でパジャマ姿で突っ立っている。

「そっかぁ、今日の朝ご飯なにが良い?」
未夢はお玉を軽くふりながらきく。

「みそ汁。」
彷徨即答。

「…あっ、ごめーん!ちょうどみそ切らしてて…」
わざとっぽく言ってみる。

「えぇ!?」

ちょっと彷徨は驚いて言う。
昨日買ったはずのみそがもう切れているだなんて。
そりゃ昨日も晩ご飯にみそ汁は出ていたけれど…

「うそうそ、ちゃぁーんとあるよ。彷徨が明日の朝もみそ汁飲みたいって言うだろうと想ったから!」
とちょっと得した気分と舌を出す。

「…バーカ」
「なによっ、彷徨も驚いたくせに!」
お玉で彷徨をたたく。

こんな甘い生活も束の間、今日はホワイトデーの日。
西遠寺のカレンダーがそうなっている。
未夢もバレンタインデーにチョコレートをあげた。
ならば普通はお返しをするはず…

未夢はみそ汁をお玉でかき混ぜている。
彷徨は着替え、新聞を読んでいる。
まるで新婚夫婦。と言っても二人とも結婚できる歳。(高校二年生)
彷徨は「結婚」のことなんて一言もしゃべらない。
未夢もそのことについてはちょっと不安を抱いていた。
恥ずかしいのか、それとも「私と結婚したくないのか」。
きっと恥ずかしいのだろう、未夢はそう思うしかなかった。

「はーい、みそ汁とご飯と焼き魚ができたよぉ〜♪」
彷徨は読んでいた新聞をしまって「いただきます」と、ほかほかのご飯、みそ汁焼き魚を頬張る。
その姿を未夢は見てちょっと嬉しくなる。

「未夢…ご飯とみそ汁は上手くできてるけど、この焼き魚……なに?」

「うるさいわね!どーせ私は料理下手ですよーだっ!」

「ま、こんな焼き魚誰も食べれねーだろうな。」
「んなっ…!」

「俺以外に。」
と意地悪な笑みを浮かべて焼き魚をひょいっと一口食べる彷徨。

「…バカ。」
照れ隠しにそういうことを言ってしまう。

ん…、そういえば今日はホワイトデーだよね?あ、明日私の誕生日だ…。
彷徨はなにかくれるのかなっ。まぁプレゼントはくれなくてもせめてお祝いくらいしてくれるよね…?私も彷徨のときしたし。
ってなに私、図々しいこと考えてるんだっ!!

首を横に振る。
そう、三月十四日・ホワイトデー。三月十五日・未夢の誕生日。
ちょうど近いのだ。
だからまとめてお祝いもできる。
でもそんなことまっぴら頭になさそうな顔をして彷徨はまた新聞を読み直す。

ま、べつにホワイトデーくらい、お返しなくっても大丈夫だけど…
それより私は誕生日の方が心配…。

最近、時々思う。
“彷徨って本当に私のこと愛してくれてるのかな“って。
け、結婚のことも話してくれないし…。どうせ照れてるかなにかだと思うけど…
ほぅ………

彷徨はその姿を見ていた。
結婚のことについては自分もちゃんと考えていた。
未夢と結婚したいけど、未夢が嫌なんじゃないのか。
彷徨はそう思っていた。
二人の意見はすれ違っていた。



今日は三月十五日。
ホワイトデーは結局なにもなかった。
あとは未夢の誕生日…だと言うのに彷徨は朝から出かけたまま。


回想…


午前九時。
朝飯も食べ終わりいっぷくついていたところ、彷徨がいきなり立ち上がり「俺、ちょっと出かけてくる。」と言い出したのだ。

未夢はすぐに帰ってくると思って反対もせずに「いってらっしゃい」と言ってしまったのだ。

そして今に至る。

今は午後二時。
昼飯も食べに帰ってこないでなにをやっているのか、もしかしたら…
なんて考えていた未夢。

カチコチカチコチ…

時間は過ぎて行くばかり。
あなたはいつまでたっても、いつまでまっても帰ってこない。
ふいに電話のベルがなる。

未夢はぱっと明るくなり、彷徨からだ!と思って電話へと出た。
「もしもし、西遠寺です!かな…」
「もしもし、植原ですけど。彷徨居ますか?」
だがそれは彷徨の高校の友人からだった。

「あ…、ごめんなさい。今彷徨居なくって…」
「そうなんだ…って君、もしかして光月さん?」
「そうですけど…?」
「二人が一緒に住んでるのって本当なんだ!?」
「い、いえ。一緒には住んでいないですけど…」
「そっか。あ、それじゃ僕用事があるから。ごめんね。」
「いえいえ、それでは」

ガチャ…ツーツーツーツー

な…んだ、彷徨じゃないのか。
あ、もうこんな時間!夕食の材料でも…買いに行こうかな。
どうせ今日もおじさん帰ってこないだろうし。

時計の針は五時を指していた。
未夢はエプロンを取ると財布を持ってふらりと外に出た。

もう、なにも見えない。
けど、目があなたを探してる。

…財布なんて持って来るんじゃなかったかもね。
夕食の材料なんて昨日ちゃんと買ったし、本当はなにも要はない。
ただ家(西遠寺)に居たくなかっただけ。
あんな冷たくて寂しくて誰も居ない場所なんて辛くて居られなかっただけ。

ふっ…私ってホント、一人じゃなにもできなくて、あなたが居ないとホント弱くて、
いつからだろうね。
こんなにあなたに愛しくなってしまったのは―――――……

その後ふらりと夜の街を彷徨った未夢は一度あの寂しくて冷たい家に戻った。
だが、シンとしていてまるで人の気配すらない。
数時間前のままの西遠寺。
未夢はくつをぬいで自分の部屋に閉じこもる。

カチコチカチコチ…




ん?未夢、居ないのか?
家、真っ暗だし…
でも未夢のくつ、あるし…

ようやっと彷徨が帰ってきた。
もう九時過ぎ。
彷徨の手にはなにかが持たれていた。

「未夢ー、居るのか?」
未夢の部屋のふすまを少しず開けていく。
電気もつけずに一体なにをしているのか。
自分の誕生日だと言うのに。

ふすまの向こうは泣いている未夢が居た。
どうして泣いているのか。
彷徨はさっぱりわからなかったわけではない、一つだけ心当たりがあった。

“自分が朝からずっと帰ってこなかったこと“

未夢は彷徨の気配に気づくとそっと泣きやんで布団の中にもぐった。

「未夢。」

彷徨は呼びかけるが未夢の返事はない。
怒っているのか、ただ話したくないのか。
彷徨はそのまま未夢をそっとしておいた。

彷徨が自分の部屋から出ていったのを確認した未夢は自分の横にある物に気づいた。

「ん…なに…これ?」

綺麗にラッピングされていた四角っぽい形をしている物。

「ひっ…私のかなっ…?」

そっと丁寧にラッピングをはずしていく。
やっと中が見えてきた。

「…彷徨…」

中には地球の形をしたオルゴールが入ってあった。
丸いオルゴール。そっと中をあけてみるとゆっくりと流れ出す音。
とても綺麗な曲。
そして中にはメッセージカードが入ってあった。

“未夢 誕生日おめでとう&ホワイトデーのお返し。“

彷徨の字で書かれてあった。

未夢はふっと、涙を流す。
自分はこんなにも想われているんだと、
自分はこんなにも愛されているんだと、そう感じながら…

涙を拭くと彷徨の元に急いでオルゴールを持っていく。

「か…なた、入って良い?」

「良いよ。」

未夢はふすまを開けると彷徨に訪ねる。
「これ…私にくれたものなの?」

「そうだよ。」

「彷徨…っ」
そう言うと未夢は彷徨に抱きついて、彷徨は未夢を抱いた。
涙は溢れて流れていくばかり。
「どうして泣いてたんだよ?」
彷徨がそう聞くと未夢は理由を話した。

「んなわけねぇだろ。」
「そうだよ…ねぇ……ところでこれ、どうしたの?」

「俺が作った。」

「えぇ!?」
未夢は驚きながら、彷徨はちょっと照れ隠しでこう話した。

「今日、未夢の誕生日だろ?あとバレンタインチョコもらったから…一緒にしようと思ったんだよ。それで三太になんかいいとこないかって聞いたら“オルゴール作れば?”って言うから作れるところ紹介してもらって作ったんだよ。」

「彷徨…器用だね。」
未夢は感心と驚きで涙がもう止まっていた。

「まぁな。あと一緒って言うのも適当って思われそうだからオルゴールを誕生日プレゼントってことでホワイトデーのお返しはお揃いのキーホルダー。」

彷徨はポケットからキーホルダーを出した。
その形は地球と月。

「未夢が月で俺が地球な。」
「うん…ありがと。」
へへっと笑うとその可愛い姿にもう止められなくて彷徨は未夢を抱きしめた。





オルゴールが倒れ、甘い綺麗な音楽が流れ出す。
月夜で部屋が照らされて、二人の影が大きくなる。
そして二人の大きな影は、男の影が女の影の顔を持ち、ゆっくり自分の顔に持っていき、甘い甘いキスをしましたとさ。






終わり

どこかに私の体が入れるくらいの穴がありませんか。(爆)
もう最後らへんが意味不明で甘すぎてなにがやりたかったのかわけわかんなくて意味不明ですいません、ゴメンナサイ、もう書きません。私がバカでしたって感じなんですけど…(オイ)
もうまたまた豪華の顔ぶれが集まって私の小説なんてへちょくてやってられませんね。(あはは…)
でもまたこうやって企画をしてくださって本当に嬉しいばかりです。
私は卒業ということもあって(小六なんです;;)小説がちゃんとできあがるか少々不安でしたけどちゃんとできあがって良かったです。(変な小説でしたけど・汗)
…今度の企画は「エイプリルフール」でしょうか。(違)
有り得ませんね、私がバカでした。(爆)

それでは、神月香魚でした〜☆

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