作:ロッカラビット
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このおまけは、タイトル「想いの伝え方」の5話完結作品の後日談です。
未夢side、彷徨side、ワンニャーsideの3つがあります。
どれが見られるかは…。
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**タイトル想いの伝え方のおまけ**
〜二人の気持ちが通じ合ったその後・未夢side〜
クリスマスまで、あとわずか…。
間に合うかなぁ?
ネイビーの毛糸を前に、頭を抱える未夢。
思いがけない形で、彷徨と心が通じ合い彼氏彼女として過ごすクリスマス。
とは言ってもルウ君とワンニャーも一緒なのだが…。
とにかくプレゼントくらいは気持ちのこもった物を送りたい。
と意気込んではみたものの。
自分の不器用さに泣けるよ〜。
絡まり続ける毛糸にお手上げである。
あっ!そうだ!
ポンと一つ閃いて、コソコソと部屋を移動する未夢。
やってきたのは電話の前。
勝手に借りるのは忍びないけれど、今日くらい許してもらおう。
受話器をとって、ポケットから番号がかかれた紙を取り出す。
プルルルル プルルルル
「もしもし」
何度目かのコールの後、聞こえてきた声に安堵する。
「もしもし。遅くにすみません。光月未夢です。みずきさんですか?」
「あっ未夢ちゃん?どうしたの?」
先日会った時に、どうしても編むのに行き詰った時の為に連絡先を聞いていたのだ。
「実は、マフラーがうまく編めなくて…。」
***数分後***
絡まっていた毛糸と共に、混乱していた未夢の頭の中も解けていく。
「そっか!ここが違ったんだ〜!みずきさん、ありがとうございました!」
少しだけ形になってきたマフラーを抱きしめて、電話越しに頭を下げる未夢。
「いいなー彷徨君。僕も欲しかったな、未夢ちゃんの手編みのマフラー。……なんてね。お幸せに〜。じゃあね、頑張って未夢ちゃん。」
切れた電話を耳にあてたままボンッと真っ赤になる未夢。
「さ、さすがみかんさんの弟。冗談がキツイですなぁ…。」
アハハハハ〜と赤くなった頬を誤魔化すように一人呟く未夢。
受話器を置いて、編みかけのマフラーを抱きしめる。
「えへへ。ごめんね彷徨。みずきさんの言葉にちょっとドキッとしちゃった。
でも……。私は彷徨が大スキなんだからね。」
照れながらマフラーを見つめて呟くと、よしっ!と気合いを入れて立ち上がる。
「クリスマスまでに絶対完成させるんだから!」
冷たくなった手を握りしめて冷たい廊下を自室へ向かう。
クリスマスまであとわずか…。
拍手後のおまけ話。
タイトル「想いの伝え方」のおまけ***未夢side