夏休み、ガールズトークとバースデー

作:




夏休み。いつものドーナツショップ。…と来たら、他愛もないガールズトーク。

わたし、小西綾は、親友のななみちゃんと未夢ちゃんと、涼をとりながらいつものおしゃべりをしていた…はずだった。
ふと、ジュースを零した向こうの席のカップルが目について、「あ、あれ次のネタにいいかも!」
…なーんて思ってじっと眺めていたら、そこからわたしの中でどんどんお話が膨らんじゃって。

「ねぇ、綾! 聞いてる?」
「え? ご、ごめん、なになに?」

ななみちゃんに声をかけられて我に返ったら…

「ああぁぁぁぁ!!」
「な、何!?」
「どうしたの、綾ちゃん!?」
「……やっちゃった…」

やだ、思わず立ち上がっちゃった!注目浴びちゃって、あー恥ずかしい!

「…今のネタ全部飛んじゃった……」
「「へ?」」

あ、目が点になるってこーゆーのかな。ななみちゃんと未夢ちゃんの後ろにカラスが飛んでる気がする…。

「ごめん、文化祭の演劇のネタ浮かんじゃって…」
「文化祭!? って綾、まだ夏休みだよ? 8月に入ったばっかなのにー」
「文化祭って11月だよね? その前に体育祭もあるし…」

「そう! 2学期に入ったらまず9月、体育祭! そして11月は文化祭!
 まだまだ先だけど、その前にクラス対抗の演劇大会もあるし。 やっぱりそっちもわたしが取り仕切って優勝は2−1が戴かなきゃいけないでしょ?
 部活と違って、演劇素人でも出来るモノにしなきゃいけないし、予算もそんなに出ないから衣装とセットもあるもの持ち寄ってのオール手作りで時間もかかるし。
 演劇部の出し物は逆に手が込んだものになるから練習にも時間取りたいし、どっちも今からネタ仕込んでかないと間に合わないのよぅ!」

「…で、どんなネタだったの?」
「だからぁ、それが飛んじゃったんだってば! ふたりは何の話してたの?」

こーなったら、こっちからネタ見つけなきゃ!
…特に未夢ちゃん!未夢ちゃんはいつも何かしら良いネタ提供してくれるのよ!加えて西遠寺くん絡みのネタなら、ラブストーリーに持って来い!なのよね!

「何って…綾の誕生日の話! 夏休みだし、丸一日盛大にお祝いしちゃおうーって言ってたの!」
「たんじょう…び…?」

今度はわたしがキョトンとさせられた。
未夢ちゃんが「聞いてよ〜彷徨ったらぁ〜」って言い出すか、
ななみちゃんが「古着屋さんでイイモノ見つけちゃってさー!」って言うもんだと思ってたのに。

「うん、綾ちゃん今月でしょ? 三人でモモンランド行って、帰りに駅前のカフェでケーキ食べてさ!」
「24日は一日、あたしたちのオゴリってコトで!」

なぁんだ、誕生日の話。…確かに、夏休みの誕生日って、学校で友達におめでとうって言われないから、ちょっとつまんないけど…

「で、でも全部オゴリは悪いよぉ〜。 自分の分はちゃんと出すから! 誕生日を一緒に過ごしてくれるだけで嬉しいし、ね?」
「じゃーチケットとケーキくらいはあたしたちが!」
「う、うん…じゃあ、お願いします…」

ななみちゃんの気迫に圧されちゃった。チケットとケーキだけでも結構するのに…。
よし、ケーキはその日に何としても払おう!トイレ行くフリしてこっそ〜り伝票持って、お先にお会計〜よ!大丈夫、演劇部副部長のわたしなら出来る!
って。結局ネタにはならなかったな…。
あ〜〜〜あのネタなんだったっけ…かえって来ないかなぁ…。

「楽しみにしてるね! 誕生日」
「わたしも楽しみ〜」
「あたしもー! それまでには宿題終わらせなきゃなぁー!」
「ひゃあああぁ! なんてことゆーの、ななみちゃん! せっかく忘れてたのにぃ〜」
「…忘れちゃダメでしょ未夢ちゃん……」
「だ、大丈夫! まだ夏休みは長いしっ!」
「…未夢、絶対31日に徹夜するタイプでしょ」
「う゛っ……」

うわ〜ぁ、ななみちゃん図星ついちゃった。わたしも実は同じこと思ったけどぉ…

「大丈夫だよ、未夢ちゃん。 まだ夏休みあるし、ちょっとずつ一緒にやろ?」
「だね! ひとりだとつい後回しにしちゃって、なかなか手ェつけらんないもんねー」
「じゃー明日はココに宿題持って集合ってことで! あ、未夢! 先生連れて来てね!」
「「先生??」」

わたしと未夢ちゃんの声が揃った。先生って、水野先生?なんで未夢ちゃんが?家庭科の宿題あったっけ?

「未夢んちの西遠寺センセイに決まってるじゃん! わかんないとこ教えてもらわないと進まないもん!」
「あぁ、なるほど〜」
「えぇぇぇ〜〜? 彷徨連れて来るの〜?」

未夢ちゃん、心底嫌そうな顔してる。…やっぱりネタはこのふたりのもとに転がってるかしら?…なんて、ね。

「…さっきもケンカしたばっかりなのに」

きた!ケンカ!さぁ、その原因は!?

「ホンットあんたたちよくケンカするよねー。今日は何でー? って、こらこら綾。 ネタ帳出さなぁーいっ」

ありゃ、つ、つい…。

「だって聞いてよ! 彷徨ったら…」

ネタ帳はさすがに仕舞って、未夢ちゃんの方に身を乗り出したら…なんだ、ななみちゃんだって興味津々じゃない!
わたしたち、同じポーズで次の言葉待ってるよ〜。

「………何だったっけ…」

がくっ

未夢ちゃん、わたしたちコケるしかないじゃない…

「ま、それだけ些細なことだったってことじゃない? ってゆーか、未夢たちのケンカは大体そうだけど!」
「うんうん、原因なんて小さなことで、言いあってるうちにふたりともヒートアップしちゃうんだよね〜」

…あ、その設定良いんじゃない?……仲が良いのか悪いのか、な親しい男女…

「結構それをお互い楽しんでたりしてねー?」
「ないないっ! ホントにホントのケンカなんだからっ!」

確かに!ふたりのケンカはいつもどこか楽しそうと言うか、見ててもギスギスしてなくて微笑ましいと言うか。
…そんなふたりがいつの間にかお互いを意識して……こっちがああなって、…そしたらこうなるから、ここで………



キラーン☆

いける…いけるわ…!
演劇大会の優勝はもらったわ!


「あーあ、また綾があっちの世界に行っちゃったよ…。 すいませーん! ドーナツ全種類おかわりー!」
「ね、ねぇ〜ホントに彷徨連れて来るのぉ〜? ぜーったい『おまえ、なんでこんなのもわかんないんだよ?』って嫌味言われるぅ〜〜〜」
「ここでヒロインが告白! …いや、やっぱりもうちょっと引っ張って…」



全くかみ合わないわたしたちの言葉。もはや会話でも何でもない…でも、三人でいるのがなんかしっくりくるのよね〜。

いつもこんな感じに話は飛び続ける。あとで、じゃあ明日は何時に、とか、24日はドコドコで待ち合わせね、とかする訳じゃない。
でも、ちゃんと明日もココに集まる。宿題持って、未夢ちゃんは西遠寺くんも連れて。
わたしの誕生日も、ちゃんとふたりで用意してくれてて、モモンランドで遊んで、駅前のカフェでケーキも食べる。



あれ?
…ありがちなラブストーリーより、そんな三人娘書いた方が面白いかも?






綾ちゃん、お誕生日おめでとう〜!ってことで、杏です。

わたくしごとですが、綾ちゃんの誕生日、私の誕生日なんです。
連載が始まった頃は彼らと同世代だったのに…
毎月発売日にチャリで本屋さん行ってなかよし買ってたのに…いつの間にこんなに歳くったんでしょう?(笑)
コンビニも今みたいにそこら中にはなかったですしねぇ〜。

え?いくつかって?
アニメ派の方のほうが、もーちょっと若い方多くなるんでしょうか?
原作派の私は、連載当初、確か中学……
…あ、訊いてない?失礼しましたw
ちなみに連載開始の前月号に載ってた予告カットの彷徨くんに一目惚れ。私はそこからだぁ!にハマりました(〃▽〃)
…え、だから訊いてないって?すみませ。。

そんなことはさておき。綾ちゃんの一人称、書いてて楽しかったです。
ガールズトークってこんなもんですよね?
この場合、私の仲間内では次の日、誰ひとりとして宿題を持たずに集まりそうですがw
私ももちろん31日徹夜派!なんとかなるもんです!(*^^)b
宿題から遠ざかった今でも、何かにつけてギリギリ派。
好きなことはひたっすらやってるんですけどね。…この辺は綾ちゃんと似てるのかも?(^^;

これからイベントがいっぱいですね。予告して、ちょっと自分にお題を課しました。
全部書けるかどうかはわかりませんが、のんびりとマイペースに頑張ります。

ご覧いただきありがとうございました!
拍手、ご感想は24時間受け付けておりまーす(>▽<)笑

拍手御礼小話に期間限定企画を隠しました。
小話自体は悪ノリだけで書き上げてますw
創作歴も短いのに加え、初めてのことなので上手くいくかどうかはわかりませんが、もしよかったらお付き合いください(*^^*)




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