作:杏
「ふぁ〜あったかこたつで一口アイス! 幸せですなぁ〜」
本を読みながら手だけ出してる彷徨にひとつ渡して、未夢はこたつにもぐりこむ。ぽいっと口に放り込むタイミングが揃った。
「…お?」
「? どひふぁの〜?」
「…当たり」
「あっ、 星! 可愛い〜!」
渡したそれを全く目に留めなかったのに、彷徨は舌触りの違和感だけで言い当てた。
ほら、と咥えて見せた星に未夢が前のめり。
「いいなぁ、いいなぁ〜! わたし、当たったことないよ〜」
あんまり目を輝かせて覗き込むものだから、彷徨の口は閉じるに閉じられない。
「ん」
「…えっ!? 」
舌先で器用にアイスの向きを変えて、彷徨は未夢の眼前に迫る。
「や、えっと、あの…」
自分も当たらないかな、とは思ったけど、それが欲しいとは言っていないのに。
溶けるから早くしろ、と彷徨は目で訴えるけど、未夢はしどろもどろ。
「………っ…」
観念した未夢がぎゅっと目を閉じた頃には、彷徨の口の中には甘いチョコレートが溶け出していた。
ひやりと星の角が触れ、甘い香りが鼻腔をくすぐる。
「ばぁーか」
「…?」
星を味わったのは、彷徨と、未夢の嗅覚だけ。
ぽかんと小さく開いた未夢の唇には、チョコレートが艶やかに主張していた。
こんにちは。杏です。
先日思い付きでなんとなくTwitterに上げた短編です。
新たな挑戦!?(笑)
字数制限のある中で書くのは難しい…。
スキルアップに挑戦する用にはいいかもしれません(^^;
このあと、未夢ちゃんの唇のチョコはどーなったのか!
…ご想像にお任せします♪