しりとり

作:どらむかん


久しぶりの投稿です!


「じゃあ、いってまいります!さぁルゥちゃま参りましょう!!」
「だぁ!」
「いってらっしゃい。」
「ルゥのこと頼むな。」
「はい!任せてください!」
早朝そういうなりワンニャーとルゥが大荷物で出て行ったのはわけがある。
ワンニャーが買い物途中商店街のくじ引きでモモンランドのペアチケットが当ててきたのだ。

いつもなら留守番でいけない場所に遊びに行けるとワンニャーは大喜びで今回は二人に留守番を頼んだ。
未夢と彷徨もいつも留守番をしてくれるワンニャーに気を使ってか快く了承したのである。
そうして変身した1匹と1人は頭の上に音符をちりばめながら階段を軽い足取りで降りて行った。

今日は休日。
二人はどこへ出かけるわけでもなく居間でお茶を飲みながら個々の時間を過ごしていた。
未夢はテレビをつけてみたり雑誌を読んでみたりするものの2人で過ごすというのにまだ慣れなく集中ができてい。
チラッと隣を盗み見ると横になりながら本のページをゆっくりとめくっている。

私だけ緊張してバカみたいじゃない。

ふいと視線を彷徨から外し時計を見る。
時は一秒一秒ゆっくりと動いていく。
「あぁ、つまんないなー。」
本音半分嘘半分のその言葉は彼の耳に届いたようで本をぱたんと閉じた。
「じゃあさ、未夢。そんなに暇ならしりとりするか?」
「え?しりとり?」
「うん。」
なんでしりとりか分からないが彼がかまってくれるのだから断る理由もない。

「じゃあ、俺から行くぞ。」
「うん!」
「バカ」
「顔」
「おせっかい」
「…いろはうた」
「単純なやつ」
「つりめ!」
「面倒」
「さっきから何か言いたそうな感じよね!」
「別にただしりとりをしてるだけだろ?いいから続けろよ。」
「うるさい。」
「愛しい」
「え?」
「はやく、しりとり続けろよ。未夢の負けにするぞ」
「い、言うわよ!い、よね。いす!」
「好きだ」
未夢は顔を真っ赤にしながら彼の方を振り向いた。

先ほどまで本を読んでいた目線はいつの間にかまっすぐ未夢向いている。
目と目が合う。
未夢は耐えられなくなり目をそらすがそらした後も頬に彷徨の視線を感じる。

「んで?返事は?」
「冗談でしょ?」
「冗談に見えるか?」
向かい合わせに座っていたのに彷徨が自分の横に移動してきた。

「な?未夢。」
耳元でささやかれる。
未夢は誘われたかのように彷徨を見た。

しかし、そこにはいつものからかうときの顔がある。
未夢はすぐわかった。
「なに本気にしてんだよ、ばーか。」
「ウソついたのね!!」
こうしてだまされたと分かった未夢は3日間目を合わせることはなかった。



未夢が居間から出て行ってしまった後、小さい声でささやく。
「ウソじゃないんだけどな。覚悟してろよ未夢。」
これが聞こえたのか聞こえてないのかはわからない。



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