作:さくら
「うわぁ〜すごぉ〜い」
よく晴れた日曜日の午後、彷徨と未宇は近くの広場に遊びに来ていた。辺りにはたくさんクローバーが生えている。
「ほら、こっちにもあるぞ」
「ほんとだぁ〜」
彷徨が教えると未宇はそっちの方へ走っていく。
「おっ未宇。走るのだいぶ速くなったな」
「パパよりはやいよ!」
未宇がニッコリ笑う。まだ小さくて可愛い歯が見えた。
「そうか?」
彷徨も自然と笑顔になる。
「きょうそう〜きょうそう〜」
そう言いながら未宇は彷徨の腕をブラブラさせる。
彷徨はしゃがんで目線を未宇に合わせにっこり笑い、愛娘の頭をぽんぽんと優しく叩いた。
「するか?」
「うん!あっ、このクローバーはっぱが4まいだぁ」
「どれどれ?あっ、ホントだね〜」
(懐かしいな。四葉。昔未夢が見つけるとはしゃいでたな…)
「彷徨!見て!四つ葉だよー!」
「お前四葉くらいで騒ぐなよ」
「別にいいじゃん。あっ、お願いしよっと!」
「何お願いすんのか?料理が上手くなりますようにとか?」
彷徨がからかう。
「違うもんっ」
未夢が頬をぷぅっと膨らませる。
ついつい彷徨の顔が綻ぶ。
(可愛いやつ)
「じゃあ何?」
「教えな〜い」
そういうと未夢は四つ葉のクローバーを大事そうに持ち目を閉じた。
彷徨はその姿に思わず見入った。
暖かい風になびく金色の髪、優しく閉じられた瞳、少し赤くなっている頬に桜色の唇…
四つ葉に願いを込めている未夢はとても美しかった。
(何をお願いしてるんだろう…?)
しかし、彷徨が未夢の願いを知ることはなかった。
「未宇知ってるか?四葉のクローバーにお願いするとその願いが叶うんだよ」
「えっ、ほんとぉ?」
未宇が目を輝かせる。
(可愛いな、未宇も。やっぱり親子だ)
「何お願いする?」
「え〜っとじゃあパパとママとず〜っといっしょににいられますように!」
未宇が目を閉じて言う。
「ホントか?」
「ほんとだもん!」
「よし、じゃあもっと探してママに見せてあげっよか」
「うん!!」
こうして2人は日が沈むまで探していた。
記録7枚
「パパ、すごいでしょ!」
「ああ」
「やっぱりみうっててんさい〜♪」
彷徨は四つ葉を持ってはしゃいでいる未宇をずっと温かく見守っていた。
短いですね。実はず〜っと前に自己満足で書いていたものです。個人的に好きなものだったのでこちらに載せてみることにしました。
未夢の願い事、それはもちろん『彷徨とずっと一緒にいられますように』ですよ♪
やっぱり親子って似るもんなんですねw←お前が似せてるんだろーが