作:さくら
さらさらと流れる長い髪。太陽の光でキラキラと輝く金色の髪。彷徨の好きな、未夢の髪。
いつもはのばしたままだけど、最近は暑いせいかポニーテールにしていることが多い。未夢が喜んでスキップをしていると、ポニーテールも一緒に跳ねる。未夢が落ち込んでいると、ポニーテールも落ち込んでいるように見える。一心同体、彷徨はそんな未夢のポニーテールをいるのが好きだった。
今日もいつものように彷徨は未夢のポニーテールを見ていた。いつもと何か違う。
一本に束ねられた髪には、いちご柄のシュシュ。美味しそうな雰囲気を漂わせているそのシュシュは可愛くて未夢にとても似あう。彷徨は思わずそのシュシュに見とれていた。
「ん?彷徨どうしたの?」
彷徨の視線に気づいた未夢が聞く。
「あ、いや、何でもない」
「そう…」
彷徨のどこか変な様子に未夢は首を傾げた。
日曜日。居間で未夢は勉強、彷徨は読書をしていた。
「お前、いつも食いもんばっかだよな」
「えっ?」
「その、頭の…」
「あぁ、シュシュのことね」
「シュシュって言うんだ、それ」
「えっ、知らなかったの?」
「悪かったな、知らなくて」
ぷいっとそっぽを向いた彷徨に未夢は微笑んだ。ふてくされている彷徨はかわいい。いつもとは逆のパターン。できればこのままこの彷徨の表情を見ていたいが、未夢は話を戻した。
「で、シュシュがどうしたの?」
「だから、食いもんばっかだよなって」
「ん?」
「1日目はいちご、2日目はりんご、昨日がぶどうで今日はみかん。お前ってホントに食いもん好きだよな。だから太るんだよ」
「う゛っ…」
一気に形勢逆転。いつものパターンに戻る。
「ど、どーせ私は食いしん坊ですよーだ!」
と言って頬を膨らませる。彷徨にはその姿が可愛くて仕方ない。
「もっといいやつないのかよ」
「センスがなくて悪かったわね!」
もう信じられない!と未夢は怒って部屋へ戻っていってしまった。
しまった…
彷徨は「はぁ」とため息をついた。こんなつもりではなかった。果物の柄のシュシュが本当に嫌だったわけではない。むしろ似合っていた。できれば褒めたかった。
でもそれができない。思ってることと逆の言葉が口から出てしまう。何でも器用にこなす彷徨にとって数少ない不器用なところである。今まで自分の言葉でどれだけ未夢を傷つけてしまっただろうか。何回喧嘩をしただろうか。
少しは素直にならないとな
明日は素直になろう、そう思い彷徨は読みかけの本を開いた。
次の日。今日はもう果物の柄のシュシュはしてこないだろうと思っていた彷徨の予想は見事にはずれた。未夢のシュシュを見た瞬間、彷徨は固まった。
「えっ、お前…」
「ん?」
「かぼちゃ…」
「え?あぁ、うん。昨日彷徨が食べ物の柄はやめろーみたいなこと言ってたからやめようと思ったんだけど、かぼちゃ柄だったら許してくれるかな〜と思って」
てへへ///と未夢は笑った。
そう、未夢の今日のシュシュの柄はかぼちゃだった。かぼちゃ、彷徨の好きなかぼちゃ。
彷徨は優しく微笑んだ。
「いいじゃんそれ。結構似合ってるよ」
「えっ…////」
彷徨の思わぬ言葉に顔を赤くする未夢。その表情を見て彷徨の頬もほんのり赤く染まる。
「な、なんだよ//」
「う、ううん。ありがとう」
顔を赤くして笑顔を見せる未夢に彷徨はドキッとした。
反則だろ、その表情は///
そんな彷徨をよそに、未夢は幸せ気分で学校へ向かった。ポニーテールも嬉しそうに揺れていた。
ななみちゃんと綾ちゃんはどう思うかな?かわいいって言ってくれるかな?
そんな期待を胸に教室へ入ったが、2人の反応は期待通りではなかった。
「あれ〜未夢、今日はかぼちゃ柄?」
「うん、どう?」
「うーん、ちょっと微妙かな〜」
「そ、そう?」
「うん…」
ななみが申し訳なさそうに言う。そっかぁと未夢の表情が少し暗くなる。
「で、でもあえてのかぼちゃもいいかもよ」
すかさず綾がフォローに入った。
「かぼちゃ柄のシュシュをする子なんてあまりいないし、個性的でいいと思うよ〜」
「綾ちゃん、ありがとう」
綾の言葉に未夢は少し元気を取り戻した。が、
「でも普通かぼちゃ柄のシュシュなんかしないよね、ちょっとおかしいもん」
「やっぱりそうかぁ〜」
未夢は机に突っ伏した。でも正直未夢の耳にはななみと綾の言葉は残っていなかった。今朝の彷徨のあの言葉、それを思い出した未夢は誰も気づかれないぐらい小さくニコリと笑った。
それからは毎日、未夢はかぼちゃ柄のシュシュをつけて出かけた。どんなにななみと綾に不評でも、未夢はつけ続けた。
全ては、同居人のあの一言を聞くために。
どうもこんにちは。
せっかくなので書いてみました。初投稿です。
シュシュって可愛い柄いっぱいありますよね♪私は割と柄なしのをつけますが。友達がいちご柄のをつけていて可愛いな〜って思いました。今回の話はそこからもきてます。
…
……
……駄文失礼(汗)