僕が君を好きな理由

作:かなめ ゆき


見ようによっては、未夢たんが病んでます。
彷徨氏が…かわいそうかもwww
ご注意あれ!





















「ねえ、彷徨は私のどこが好きなの?」

 西園寺彷徨は、眼を瞬いた。
 今までただぼんやりとテレビを眺めていたはずの未夢が、突然、何の前触れもなく、そんなことを呟いたからだ。彷徨は読んでいた本をばさりと落とし、テレビに視線をやっている未夢の横顔を見つめた。
「……」
 未夢は、テレビを見ている。彷徨には一瞥もくれず、ただ、四角い画面を見つめている。
――――――――さっきのは、聞き間違い?
 首を傾げながら自分の耳の調子を疑った彷徨は、落した本を拾って、折れ曲がりや破損がないかを確認した。
 と。
「彷徨、聞いてる?」
「……」
 やはり、こちら振り返らないまま、今度はもっとはっきりと、未夢が問いかけてくる。…どうやら、聞き間違いではなかったらしい。
 彷徨は再び未夢の方に振り向くと、頬を引き攣らせながら口を開いた。
「…な、んだって?」
「だぁからぁ!私の、どこが、好きなの。って聞いてるの!」
 くるり、やっと振り返った未夢が、頬を膨らませてまなじりを吊り上げる。その顔に照れはなく、かといって思い悩んでいる様子もない。普通、だった。
 彷徨は、人の感情には敏い方だ。こと、未夢に関してはそれが顕著である(未夢がわかりやすい、と言った方が正しかろう)。だがしかし、今の未夢の考え、思い、感情は、どれだけ観察してもわからない。だから、なぜ未夢が何の目的で以てあんな質問をしたのか、彷徨には理解できなかった。(…いつの間に、こんなにわかりにくくなったんだか)
「…なんで、そんなこと聞くんだよ。急に」
 わからないものは仕方ない、疑問を素直に口にすれば、未夢はきょとんと眼を瞬かせ、小さく首を傾けた。
「何でも何も…ほんとに、私のどこがいいのかなって思っただけよ?」
 こともなげに、未夢は言う。
「私は可愛くないし、美人でもなし、頭も悪いし、料理も下手だし、運動音痴で取り柄もなくて、なのに彷徨みたいな何でもできる人がそばにいてくれて、私のことを好きだって言ってくれるなんて、変だと思わない?だから、彷徨は私のどこがよくて、どこが好きで、そばにいてくれてるのかなって思って。それだけよ?」
 ことも、なげに。
 未夢は、言った。
「…誰かに、なんか、言われたのか?」
 彷徨は、頭の回転が速い人間だ。未夢がこんなことを言うなんて、きっと、彷徨のファ
ンを名乗る女子が、心ないことを言って未夢に迫ったに違いないと思った。そうでなけれ
ば、未夢が、こんなこと、言うはず、ない。
 こんな、―――――眉ひとつ動かさず、自分を貶すようなこと。
「ううん、何も言われてないよ?誰にも」
 そして未夢は、嘘のつけない人間だった。ポーカーフェイスとは無縁の女の子で、だか
ら彷徨は未夢の嘘が見抜けなかったことはない。つまりこれは―――――嘘じゃない。
「彷徨くらいかっこよくて、勉強もできる人なら、もっと素敵で完璧な…、…そう、それこそアキラさんみたいな女の人がお似合いだと思うんだけどなあ。あんなきれいなひと、彷徨じゃなくてもすきになっちゃうの当たり前だし…。私がアキラさんに勝てるところなんて、ひとつも…あ、勝てないけど、髪の長さなら負けないかな。まあそれだけだけど。…ん!もしかして彷徨、髪の長い女の子が好き?それなら納得かも!」

 くるくる。
 髪を指に巻きつけて、楽しそうに語る未夢に、


「…かなた?変な顔してる…どうしたの?」


―――――――どうしたら、自分の気持ちを信じてもらえる?






(Remember, trust is the basis for love!)



…うん。
なんか私は、男の子をいじめたいらしい←
こんな話で申し訳ないです…


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