いわゆる川の字ってやつ

作:かほ



「彷徨さんや」

真夜中、障子に映った姿と共に未夢の声が聞こえたかと思うと、追っかけてきたように雷鳴が響いた。
未夢が「ぎゃああああ」と、実に色気のない悲鳴をあげる。

「どうした?雷が恐いのか?」
「いつもはどうってことないんだけどさ、あの映画見たでしょ」
今晩、火事のパニック映画をビデオで一緒に見たのだ。
「・・・おまえ、うちが火事になること前提にしてんなよ」
「だけど、雷落ちたら、絶対この家燃えるよね?」
「まあ、こんだけ木造だしな。」
ずるずると布団をひきずってきている未夢をこのままにしておくわけにはいかないが、しかし、部屋に入れるわけにも・・・。
「一応、まずいよな・・・」
「あ、えーと、信じてるよ。」
「信じられても困る」
彼がどうしようかと髪をかきあげていると、大きな轟きとともに離れからルゥの泣き声が聞こえ始めた。
「あっち行くか?」


「あーなんか楽しい♪」
未夢がさっきまでの恐怖心はどこへいったのか、はしゃぐように言うと、
「私たちが真ん中でいいんでしょうか?」
と、変なことを心配している。
未夢、ルゥ、ワンニャー、彷徨の順番で布団を敷いた。
「これで彷徨も変なことできないし〜」
「おまえ、さっき信じるって言ってたよな」
「そんなこといいましたっけー」
妙にはしゃいでいる未夢のテンションに、ついていくのはやめにした。

「なんか川の字みたいだね」
と未夢がうきうきしながら言うと、
「なんですか?それ?」
とワンニャーに聞かれた。
「この並び方、【川】の字みたいでしょ」
「4本だけどな」
未夢が起き上がって、彷徨を睨む。
「ワンニャー・・・」
ルゥくんが、むにゃむにゃ言いながら目をこすり、ぷかぷかと浮きあがると、ワンニャーのお腹に着陸した。
それを見た未夢が『どうだ!』というように、

「ほらっ。【川】の字じゃん♪」

彷徨が苦笑しながら降参した・・・。


                           <END>


かなみゆじゃなくて申し訳ない。。
でも、ファミリーも大好きなんですよー♪
サイトから転載させていただきました。


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